表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生と…  作者: 秋華(秋山 華道)
転生と…
18/89

天才

長く生きていると、学生の頃が一番わかりやすかった事を知る。

テストというチェックシステムで、見た目でわかる数字として。

それは評価。

素晴らしいものが、全て素晴らしいと評価されるわけではない。

ゴミのような物が、凄い高値で取引される事もある。

歌のうまい歌手が、売れずに消えてゆく。

面白くない芸人が、今日もテレビに出ている。

金持ちが、それだけで会社の社長になる。

生徒に支持される先生であっても、生徒の事を本気で愛している先生であっても、PTAやら校長は評価してはくれない。

数字が全ての世界だから。

でも数字ほどあてにならないものもない。

正確に数字で表したい、表して欲しいのに、それは絶対にできるはずもないジレンマ。

人の努力が、価値が、成果が、正当に評価される事は無いのだから。

いや、できないのだから。

まあ、本当にテストとはあてにならない。

今日は、チリちゃんに補修の試験に一発合格してもらうべく、俺の部屋で勉強を教えているわけだが・・・

いや、図書室で教えるのも考えたのだが、俺はPCの有る俺の部屋を選んだ。

何故なら、プログラムがあれだけできるチリちゃんが、数学ができないなんておかしいもん。

とにかくPCを使って、チリちゃんに勉強を教えてわかった事。

やはりチリちゃんは天才だ。

チリちゃんのテストの点数が悪いのは、まあチリちゃんがやる気を出さないのが一番の原因なのだが、興味を持たせればそれはスゴイ。

言ってしまえば、先生の教えかたしだいで、チリちゃんは100点にだって0点にだってなるって事。

数学に関しては、プログラムを組む時に必要な計算に当てはめて教えてみたら直ぐ理解した。

公式は丸暗記ではなく、理屈を教えるとそこから直ぐに公式を導き出す。

暗算は16進数にすると何故か早い。

正直、これでもうチリちゃんは、数学で赤点をとることは無いだろう。

いやむしろ、毎回100点だったりして。

俺はチリちゃんの顔を見つめながら、この世に埋もれてる天才は、果たしてどれくらいいるのだろうと考えた。

 知里「せんせ~できましたぁ~」

先生と言われて一瞬ドキッとしたが、俺はいたって冷静なふうを装って、チリちゃんからノートを受け取る。

 達也「うむ。どれどれ?」

・・・

凄い。

1学期の範囲全てを、教え始めたのが今日の10時。

今12時だ。

実際教えていたのは1時間くらい。

その後教科書を読みながら、範囲全ての問題を解いてもらったのだが。

 達也「凄いよチリちゃん。天才だよ。何でこんなに出来るのに」

わかっているのだよ。

興味を持ってやれば出来すぎる子なのだ。

そしてやりすぎる子なのだ。

ベタな出会いがしたいからって、本当にパンをくわえて走る子なのだ。

興味が有れば一直線。

好きこそものの上手なれ。

 知里「達也ちゃんのおかげだよぉ~ありがとぉ~」

うむ。

なんだかマジ和むなぁ~

俺にもし子供がいたら、丁度これくらいなんだよな。

親に甘える子供に勉強を教える。

こんな感じなのかなと思った。

 達也「じゃあ、この後の試験頑張ってね」

俺はそういうと、チリちゃんを追試に送り出した。

チリちゃんを送り出した後、俺は食堂で昼飯をとり、そして部活に出た。

今日はいよいよ迫ってきた大会への最終調整をする日だ。

まずは「ポケアニ」の大会が明日から始まる。

うららとまこちゃんはライバルとなるから、直接対決はとりあえず避ける。

まあ、勝ち抜けるわけもないから、そこまでする必要はないけど。

俺は得意のファイヤーデッキで、まこちゃんの相手をしていた。

 達也「おら!リザーボスじゃ!なぎはらえぇ~!」

 まこと「たっちゃん、自信つけさせる為に勝たせてよ!」

 達也「俺はどんな時も手を抜かないことにしているのじゃよ。ふっふっふっ!」

 まこと「なーんてね。進化するよ。カメセンニン!君にほれた!!」

アニメの台詞を真似て、まこちゃんはカメセンニンカードを場にたたきつけた。

 達也「くそぉ~効果は莫大だ!」

俺のリザーボスは一撃でやられた。

 まこと「ふふふ。もう勝ち目はなくってよ?」

まこちゃんがお嬢様言葉を使うと、やたらとむかつくんですけど?

 達也「おらー!最後の手段、草系のボールじゃ!!」

ボールは草系のポケアニだが、使いやすくて俺の好きなカードだ。

しかし敵はカメセンニン。

たいしたダメージは与えられない。

 まこと「くらえ!ギガポンプ!」

一気に瀕死の状態になるボール。

 達也「まだまだぁ~」

俺はボールを一度逃がすと、再び別のボールを出す。

 まこと「むだぁむだぁむだぁ!」

まこちゃんの言うとおり、無駄だった。

俺は得意のファイヤーデッキで初めて負けた。

まあ相手は苦手の水系だったけど。

 まこと「やったぁー!たっちゃんに勝った~!」

マジで喜んでるよこの子。

俺は不覚にもカワイイと思ってしまっていた。

てか見とれてしまった。

その後はうららと美鈴先輩の対戦を見ていた。

てか、うららの後ろでアドバイスをしていた。

うららの戦術は、実に基本とかけ離れていて、見ていて面白い。

この子が基本をもっとしっかり覚えれば、きっと強くなる。

でも如何せん大会は明日からだ。

時間がない。

本番は冬の大会かなぁ。

俺はそんな事を思った。

 達也「うらら、何故そこでそのカード使うの?」

俺はふと疑問に思って聞いた。

もちろん内容まで言うと相手にばれるので、俺ならこれを使うというカードを指さしてたずねる。

 うらら「んー・・・だって、それでやってもおそらく2ターン後にはダメになるでしょ?だったらいらないので時間を稼ごうかと」

なるほど。

うららは相手の出方と流れから、ココで2ターン勝っても、後で負けると考えていたのだ。

しかしそれは後ろ向きな読みだ。

うららの読みは的確だし、持ちカードだけで勝負するなら正解だ。

でもカードゲームでは、手札は常に変わる物だ。

特にこのポケアニは手札入れ替えが激しい。

使える物はとにかく使う。

それが基本。

子供向け簡単系だと言われるのはそこだ。

うららは「遊び王」の方が向いてるのかもしれないな。

そう思った俺だったが、結局手札が大きく変わる事はなく、結果的にうららの判断は正しかった。

今日はチリちゃんが天才だと思ったけど、うららも天才系かもしれないなと思った。

運が強いって事もあるかもしれないけれど。

こうして今日の部活は終わった。

追試のチリちゃんは、もちろん楽勝で合格した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ