魔砲少女達の引き金は重い 〜The・TriggerZERO〜
目を通して頂きありがとうございます!黒井冥斗の新作予告編みたいな感じなので楽しんでください!
僕の名前は清水清香、僕っ子だけどそんな事気にしてたら人生は面白くない。
所属は陸上自衛隊の陸上総隊直轄の魔法特殊作戦コマンド。階級は一等陸佐なんだよね。
僕はいつも年齢を聞かれるといつもこう答える。
「君たちが理想だと思う年齢で居たい」ってね。痛いかもしれないけど。
さて、その『君たち』の中に最も多く含まれてるのは魔砲少女達だ。
その中に今訓練生卒業試験を受けている朝月弥生訓練生は、僕のお気に入り。
彼女はどのような試験の最後を見せてくれるか見物だね。
「朝月訓練生、最終想定における非正規魔砲少女の排除は出来そうか?」
「はっ!国岩二等陸佐、現在我が小隊は4名残存。非正規魔砲少女であれば2人くらいなら簡単に倒せます」
「よし、非正規魔砲少女のデータだが……君の先輩に当たる清水一等陸佐が担当する。強敵なのは分かるだろ?」
私は少し下を向いてしまった。相手が清水先輩なら世界で唯一の飛行魔法による機動展開が可能なはずだ。
私の愛用している45口径ロングスライドのコルト・ターミネーターでは分が悪い。
「朝月小隊長。自分なら清水一等陸佐の苦手な弾幕射撃をMINIMI軽機関銃で実行可能です」
同じく訓練生の坂井訓練生が申し出る。
彼女なら信頼できるだろう。ここで犠牲を出して、訓練やり直しは避けたい。
「わかった。坂井訓練生、生存最優先に」
「はっ!」
「他の小隊員も生存最優先にしつつ、力を貸して欲しい」
「「了解!」」
そして私達は森の中を進む。都市部を想定した演習場の裏手から攻める作戦だ。
だが相手は空を飛ぶ。
見つかって、撃たれたらかなりまずい。おまけに清水一等陸佐は対物狙撃銃を撃ってくる。新人訓練生の私達では魔力が足りず、教官の判断次第では即死もありうる。
「1-2と1-3は20式小銃準備。私と1-4は建物内にいると思われるターゲットを制圧に向かう」
「「「了解」」」
私と坂井訓練生以外の隊員が少し古い20式小銃のマークスマンライフル(選抜射手用ライフル:簡単に言うと中距離専門のエリートスナイパー用のライフル)仕様に空砲弾を込めて、建物に狙いを定める。
そして私と坂井、1-1と1-4は建物に接近する。
「こちら1-2!2人が狙われてます!」
無線から略式で飛ばされた、緊急の合図に私はすぐに横に転がるようにコンクリート壁を盾にしながら、状況を確認する。
「1-1から1-2、敵は視認できるか。おくれ」
「こちら1-2、敵は1-4を狙ってる模様。こちらの狙撃許可を。おくれ」
「1-1了解。敵方位の確認240°付近から上空20m程度を浮遊。東から風速3km。返答不要おわり」
するとサイレンサーで減音されたバシューーン!という銃声がいくつも演習場に響き渡る。
するとドンッ!という12.7mmNATO弾特有の重たい銃声も鳴り響き、無線が流れ込んできた。
「こちら、1-3!1-2がKIA(キル・イン・アクション:戦死を表す)判定!私は距離を取る!」
「1-1了解!速やかに安全を確保!」
無線の途中だったが5.56mmNATO弾をばら撒くような銃声が鳴り響く。
「1-3!分けて送る」
「1-1から1-4へ!状況どうか。おくれ!」
「こちら1-4!弾が全く当たらない!流石先輩ですよ!」
「1-1了解!すぐに支援に向かう!」
「1-3へ、すまん。狙撃支援を頼む!」
するとヘッドセットから「言われなくても!」と心強い返答と共に減音された発砲音が聞こえ始め、私も建物の階段を全速力で登る。
心臓が張り裂けそうなくらいキツイ階段を登りきって、窓からコルト・ターミネーターを向ける。
「チェックメイト!」
パァン!
教官から清水一等陸佐に飛行継続不能判定が降りたらしく、速やかに降りると共に、走りながら狙撃で1-3を撃ち抜いたようだった。
味方だと心強い清水先輩だが、敵になるとこれほど厄介なことはない。
「1-3、撃たれたか?」
返事は無い。電波妨害も考えられない以上、KIAは確定のようだ。
1-4にも連絡を取ろうと無線周波数を整えていたら、1-4から無線が入る。
「1-4から1-1へ!我、重傷。止血帯を巻けたため、猶予は15分!貴官に命を託す!」
かなり厳しい状況だな。だが飛べない以上距離を詰めれば、拳銃の私に分がある。
さて、問題はその先輩はどこにいるかだ。
入り組んだ市街地の地図はこちらも向こうも叩き込んでるだろう。
慎重にクリアリングをしながら、足音を立てずに、それこそまるで幽霊のように、素早く、音もなく、移動する。
先輩の特徴を思い出せ……優秀かつ、安定重視、常に周りを見る。
まさか!!
すぐに伏せて、鏡を取り出して、最も高いビルに向ける。
やはりと言うべきか、先輩は屋上から私を捜索してるようだ。
見つけられたなら魔砲少女としての能力の本分を発揮する時なのは間違いない!
コルト・ターミネーターを魔砲化させ、実弾では無いため、初速を維持できる距離なら全て貫通は意味ないが、無限発砲なら……!!
慎重に部屋の中に入り、先輩を視認する。
あとは……!
鏡をフリスビーのように離れたビルに向かって投げて、バリンという音と反射光に引っ張られた先輩に向かって連射する。
パァン!パァン!パァン!……!!
「状況終了!総員演習本部へ戻れ!」
国岩二等陸佐の合図で私は勝利を確信した。そのまま演習本部に向かうと、清水先輩は笑いながら、声をかけてくる。
「おめでとう、朝月三等陸佐。無事に訓練を終えられたね。僕は嬉しいよ。今日から君も本物の自衛隊所属の魔砲少女だ。坂井三等陸佐もね」
「「光栄です!!」」
その日は魔法特殊作戦コマンドの寮舎でロビーにて、朝まで先輩と話し合った。
「先輩は今後どうするんですか?」
「僕かい?僕はね……朝月ちゃんと結婚したいけど……きっと断られるって分かってるからねぇ。だから旧内調(内閣情報調査室)の魔砲少女部隊に応募しようかなって」
「倍率高そうですね……でも結婚はまだ早いって言うか……」
「アハハ!分かってるよ。朝月弥生、君は良い自衛官になれる。それも世界の希望になるくらいの。だから……いや、今はよしておこう」
その日は昼まで休ませてもらい、魔法特殊作戦コマンドの司令部のある市ヶ谷駐屯地へ向かうための軽装甲機動車に国岩二等陸佐と坂井三等陸佐と乗り込んだ。
国岩二等陸佐は背が高く、ごつい身体に、低い声で人によっては恐怖を覚えるかもしれないがとても優しい教官なのは間違いない。
だから聞かせてもらった。
「国岩二等陸佐、その……清水一等陸佐はこれからどうなるんですか?」
「あぁ、聞いた話だと統幕(統合幕僚監部:海外等では参謀本部に相当)から国家情報局へ派遣になるらしい。だが、お前が冬季演習時にお世話になった特殊作戦群の御崎二等陸尉の妹が教官だからかなり厳しいだろうな」
私はあの先輩なら特殊作戦群の妹の厳しいセレクションもクリアできるという謎の自信に満ちていた。
疑う余地すら無い。それだけ強いと盲目的に思わせる実力が彼女にはある。
市ヶ谷に着くと、魔砲少女という強力な軍事革命に伴い、魔砲少女の一部も警戒に当たっていた。
中にはまだ小学生じゃないかと思う子も20式小銃とプレートキャリアを装備し、鋭い目つきで周囲を警戒している。
「ここが魔法特殊作戦コマンドの指揮官、山岩陸将補がいる部屋だ」
そう言って、国岩二等陸佐は部屋をノックすると、初老のような低い声で、「入りたまえ」と聞こえ、国岩二等陸佐が「失礼します」と言って入り、正面に立つと同時に、休めの姿勢になる。
そして私と坂井も倣う。
「貴官らが、新しい戦力か。歓迎しよう。私はちょくちょく海外に行っていてね、高級コーヒーかご当地コーラ、好きなものをプレゼントしよう」
「小官はまだ未熟です!閣下から頂き物を頂くには不適格です!」
私の儀礼上かつしっかりとした発言に坂井も「自分もです!」と言って、山岩陸将補はため息をこぼしてしまった。
「貴官らの成績や能力は全て把握済みだ。それを踏まえての贈り物だが受け取ってくれないか?」
これ以上の謙遜は失礼に値しそうだな……コーヒーは好きだし受け取っておくか。
「では、僭越ながらコーヒーを頂きます」
「小官はコーラを!」
山岩陸将補はニコニコしながら、冷蔵庫から鼻歌と共にロシア語で「超炭酸!!」と書かれたコーラと英語で「キリマンジャロ」と書かれたコーヒー缶を渡してくれる。
「では、貴官らの今後の配属について示す。坂井三等陸佐は習志野に残れ。新人教官課程を受けてもらう。この前の筆記試験の結果教官適性が見出された。朝月三等陸佐は……魔砲特殊作戦コマンドの主力大隊MagicCanonHuntingMCH大隊に配属だ」
「「はっ!ありがたく、拝命致します!」」
「私は魔砲少女を信頼している。高級幹部にしては珍しくな。だからこそ困った時はいつでも頼って欲しい」
「「はっ!!」」
そしてキリマンジャロのコーヒー缶を握りながら、部屋を後にして、私は国岩二等陸佐に着いていく。
そんな時清水先輩の直属の上司から連絡用の特殊なメール通知音が鳴る。
「二等陸佐、失礼します」
メール内容を見た時、私はスマホを落とした。
「どうした!三等陸佐!?」
「清水先輩が……国家情報局の試験に落ちて……記憶処理に失敗したと……」
「クソッ!朝月!国家情報局本部へ行くぞ!」
私がスマホを拾うと同時に国岩二等陸佐に引っ張られ、軽装甲機動車に乗り、総理官邸近くの国家情報局本部へと着く。
警衛からは怪訝な目を向けられたが、何故か通してもらった。
待合室と書かれた部屋で待っていると、私より幼いが、圧倒的な魔力を感じる魔砲少女が姿を見せる。
黒い長い髪に冷徹な瞳。黒い海外の将校の制服を着ているのは何かのカムフラージュだろうか?
「私が彼女に落選の印を押した。私が欲しかった人材では無かったからだ。むしろ朝月三等陸佐、貴官が欲しい。今からでも補充要員として来ないか?」
「ふざけるな!先輩の記憶処理に失敗した事は知っている!その恨みがある部署には入れない!」
「無能にはお似合いだろう。ロシア語の挨拶文や極東アジア情勢も見えない無能など国家情報局には不要だ」
私はコルト・ターミネーターを引き抜きそうになったが、二等陸佐に止められ、席に座る。
「いつか、報復してやるぞ……」
「なら、名前を教えてあげよう。私は御崎黒姫、あなたを尊敬し、憎む存在だ。これからの活躍を楽しみにしてるよ」
私は夜も老けた都内で、二等陸佐に誓う。
「国岩さん……私あんな奴には負けない……!もっともっと強くなる!だからもっと厳しくシゴいてください!」
「……分かった。だが来年の高校受験にまずは負けるなよ」
「はい!!」
こうして、私は現在の国際言語文化高等学校に入学することとなった。ここからが私の新たなスタートであり、作戦開始の合図を告げるものとなった。
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