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幼馴染×幼馴染(駄菓子を嗜む)

 After


 ダイニングで。二人の老婆が……いや、『魔女』が顔を突き合わせている。一人が大鍋……ならぬ小さな小さなプラスチックの容器に入ったナニカをかき混ぜていた。

「へっへっひゃっ! ねればねるほど……」

 変な笑い声と説明のあと、かき混ぜて色の変わったそれを……ぱくっ!

 カッと目を見開き、

「……うんまい! テーレッテレー!」

 感想と効果音を一息に。それを見たもう一人の魔女……わたしのおばあちゃんが、手を叩いて大喜びする。

「あっはっはっは! 似てる! 今も似てる! 何なら今の方が似てるわ! ひゃっはっはっは!」

「そうだろう、そうだろう~あっはっはっは!」

 大笑いする二人の周りには、他にもちっちゃくてカラフルなお菓子がたくさん。自分で作る和菓子やら、ショコラやら……完成品や作りかけが、所狭しと置かれてあった。

 まるで小さな女の子のおもちゃ箱。

 私は、それを見ながら、

 いいなあ。こんなおばあちゃんになりたい。

 としみじみ思った。

 土曜日の昼下がり。

 老婆二人の笑い声は、未だ高らかに響いていた。


 Before


「やだねぇ、そんな毒々しい色のお菓子なんて食べて。ぞっとするよ」

 頼子おばあちゃんが、まゆをぎゅっとよせて言った。

 わたしたちのお菓子を見ながら。

 ……おばあちゃんのことは好きだけど、たのしいときに嫌なことを言うのは、よくないなって思う。

 むう、とこちらもまゆをよせてしまったちぃちゃんに顔を近づけて、ひそっと言った。

「ね、ちぃちゃん。わたしたちはさ、たのしい大人になろ」

「たのしい大人?」

「そう。……おねーさんになっても、おばあちゃんになっても、これを食べて、あのCMのまねするの」

 どう? と聞けば、ちぃちゃんの顔が、ぱあああっと晴れた。ちびまる子ちゃんみたい。その笑顔を見ると、わたしの心もぱあああっと晴れになる。

「なる! なろう!」

 ちぃちゃんが、きっぱりとそう言ってくれた。

「うん。やくそく」

「やくそく!」

 二人でゆびきりをする。

 何だろう。ぜったいかなうねってそのとき、わたしはとっても強く思ったんだ。



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