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サンタ×サンタ


 After


 もう何十年も、私たちは『サンタクロース』をしている。

「じゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい、明日ね」

 十二月二十四日。いつもは同じ寝室で寝る私たちが、別々に寝る日。

 彼女はアトリエにある仮眠用ベッド。私は、いつものベッド。

 習慣になった『おやすみなさいのキス』をしてから、彼女が部屋を出ようとして。

「……自分で言い出したことだけど、寂しいわ」

「ふふっ、今日一日だけですよ」

 やっぱり今年も戻って来て、私を抱き締めた。背の縮んだおばあちゃんになっても、寂しがりやなところは変わらない。なんて可愛いんでしょう。

「おやすみなさい、私のサンタさん」

「ええ、おやすみ。私のサンタさん」

 私たちは、お互いの背をぽんぽんと叩き合うと、明日の朝を約束した。


 恋人はサンタクロース。なんて素敵なことかしら!


 Before


「ねえ、私たち、お互いのサンタクロースにならない?」

「お互いの……?」

 親の反対を押し切って、私たちは二人で見知らぬまちに来た。

 誰も私たちを知らない、私たちも誰も知らない。そんなまちに二人きり。きっと子供時代のまちには、一生戻らない。戻れないから。

 せめて『クリスマス』なんていう甘く優しい家族の夢みたいなイベントを、その甘さのまま二人でも抱えていたいと思ったのだ。

「私のが宵っ張りだからさ。朝子が寝てる間に朝子の枕元にプレゼントを置いて……」

「早起きした私が、まだ寝てる夕海の枕元にプレゼントを置く、というわけね」

 そういうこと、と私が笑うと、彼女は「いいわね」と柔らかく微笑んだ。

「とっても素敵」

 この穏やかな笑顔をいつまでもいつまでも隣で見続けたいと、狂おしく願う。

「楽しみだね」

「ええ、とても」

 一番欲しいのは、そんな未来がずっと訪れるという約束かも知れなかった。


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