プロローグ
よろしくお願いします。
「俺様の女になれよ」
真紅の髪を靡かせた赤い瞳の魔女。その抜群のプロポーションに目を奪われる。怪訝な目を向けられ、私はふと自らの胸元に視線を落とす。
「はぁ……」
その平らなものを撫で下ろし、床へ視線を放り投げた。
「お前……話聞いてないだろ……」
彼女は髪を掻き上げ、眉を八の字にする。
「そもそも誰?」
「俺様はシンク――最強だ」
出会って30秒足らずでこの美女は何を言っているのか。頬を引き攣らせるだけで言葉は出てこない。
きっと残念美人てこの人の為の言葉なんだと本能的に理解する。
「……お前今、すげぇ失礼なこと考えてるだろ」
「いきなり俺の女に〜とか言われても、ねぇ?それにあなた、私のこと何も知らないでしょ。多分強いよ――私の方が」
そして私は惨敗した。シンクと名乗った彼女はそれこそまるで、本物の赤子を相手するように私をあしらった。
“なんて警戒心の薄い人。そんなんじゃサクッと死んじゃうよ”
見下していたついさっきの自分を呪う。
「ほらっ」
ニカッと笑い手を差し出される。その手を取ったあの日から、私というナニカの物語は初めて始まったんだと思う。
こちら百合作品ではありません。
ありがとうございました。