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アウイナイトとストロベリークォーツ  作者: ブルーベリーチョコナッツミルク
第1章:ニコラシカ
2/3

第一話:怪物

(うぅ…体がだるい。それに腹も減ってるし、眠いし、トイレにも行きたい…死んだのに)



驚いた。

正直言って想像していなかった。

天国…いやあの世ってのは案外緑が多いらしい。


緑と茶色の中間のような葉をつけた木にどこにでもありそうな茂み。

鳥の囀りすら聞こえてくる。

鳥も死んだらあの世に行くんだろうから当然か。


(とりあえず体を起こして歩こう…歩こう…??

あれ体っていうか顔が持ち上がらない?というか、体に違和感がある。なんだ何か…こう…違う。)

わからない。

ただ体が動かないのはまずい。


これが地獄の刑だったら諦めもつくが、とりあえずはもがいてみたい。

寝返りすら打てない。

なんだこれ?というか、俺生きてるんじゃないのか?

そんな風に思考が駆け巡る。

こんなことを考えても無駄だとわかっていてなお。

考えるくらいしかできないからこれは正しい行動だと思うが…


「………………▲●⬜︎?」


声が聞こえた。

きっと勘違いや空耳ではないとなんとなくだが分かった。


誰かいる。


鬼か、牛頭か、馬頭か、はたまた同じあの世のお隣さんか…

そんなことを考えていて現れたのは巨人だった…

いや、おそらく巨人じゃないだろう。

この感じおそらく多分maybe 『俺』が小さいんだ。



「…?……?×☆♧*?」



その巨…いや少しヤクザっぽい爺さんはそんな馬鹿げたことを口にした。

馬鹿げたというと語弊がある。

何言ってるのかわからなかった。

恐らく落ち着いて考えればちゃんと正解に辿り着けただろう。

ただ目が覚めてから体感で5.6時間経っている。

長時間、1人で、体も動かず、トイレもヤバい…そんな状態で落ち着けるのは軍人か、日々命を狙われるアウトローくらいだろう。


つまり何が言いたいかというと、爺さんが俺に対して言葉を発し、俺を保護しようとしてるという簡単なことすらわからなかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



抱えられ連れ去れる間に色々考えてようやく自分が赤子なのだとわかった。

恐らく「転生」というやつだろう。正直実感がない。


今「ドッキリでしたー!!」とネタバラシをされてもきっと簡単に信じるだろう。

だが、そんな考えもヤクザっぽい爺さんが少し民族的な建物に入ると同時に消し飛んだ。


なぜって?


建物の中にいた完全にヤクザな方達が全員刃物を持っていたからだ。

ほとんどが刀みたいな、なっがい剣を、一部の人はナイフみたいなやつとか、棍棒みたいな物を持ってる奴もいる。


そいつらが全員こっち向いて駆け寄ってくる。何言ってるのかはわからないが恐らくこの爺さんが偉いのだろう。

言葉がわからなくても雰囲気は分かる。


正直漏らしそうになったよね。

いや実際漏らしたのだろう、尿意も限界だったし赤ん坊だし…トドメにヤクザな兄ちゃん達がワタワタし出して布を持ってきたり、陶器の壺?土偶?みたいなのを持ってきてる奴もいる。



(なんだこの光景…本当、なに…これ)


わからない…!!っと思ったら爺さんが俺に被ってた布を外し、体を拭いてくれた。

なるほど漏らしたからそれを拭いてくれたんだ。

そのままにしたら肌かぶれるし当たり前か。

戸惑いすぎてそんなことにすら気づけなかったらしい。

というか優しいのなヤクザーズ。

何言ってるのかはさっぱりわからないが…


安心すると余裕も出てくる。

余裕があれば色々と気づくことがある。


例えば服。

少し民族的で個性的だが皆ほとんど同じようなデザインの服を着てる。

さらに顔は日本人とヨーロッパ系のハーフって言ったところか。

ちょいちょい金髪や茶髪もいる。

中にはゴリゴリのヨーロッパイケメンも。


……は?


な、なんで腕が四本もあるやついるの????さらに目が多いやつ、肌が黒に少し紫を混ぜた感じのやつ、ケモ耳、エルフ耳、トカゲ頭…と言ったようにハロウィンのコスプレ大会のような見た目のやつがちょいちょいいる。


(なんだ…???ここは現代の地球じゃないのか?……………もしかして異世界?)


大学時代一度聞いたことがある。

この世にはトラックに撥ねられ、死亡、チートみたいな能力を手に入れ、常識も人々の見た目も、動物の大きさ能力までもファンタジーみたいな世界で無双&ハーレムできるなんて本があると…


(まさか本当だったとは…)


っていうことは俺にもチート能力が!!??

っと思ったが恐らく何もないだろう。

あったら森で5.6時間も寝たままな訳がない。ある程度成長しないとチート能力が付与されないとか意味がわからないからな。


まぁどうせ死ぬ間際少し幸せな夢を見ているのだろう。

夢なら夢らしく適当に楽しもう。

どうせ束の間の幻だ。


っと、勝手に戸惑っている間に片付けが終わったらしい。と、と、とにかくお礼…か?


「あ、あ、うぇうぁ」


声を出そうとするとこんな音しか出なかった。赤ん坊の体ってこんな不便なのかッッッッッ!!


だがそれが可愛かったのか、ホッとしたのかヤクザーズは俺から見ても相当気持ち悪い笑みを浮かべて布団…?とも言えるかわからない場所に俺を寝かせてくれた。

…まぁちょうどいい。

そろそろおねむの時間なんだろう。眠い。


ここはヤクザーズに甘えて寝かせてもらおう。すまんね、この借りは必ず返す…なんちって。


かくして、俺の異世界転生ライフが始まった。奇妙で恐ろしく、不安で、正直投げ出してしまいたいような、第二の人生が…始まった。

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