プロローグ
モノローグ
気づいたら死んでいた。
別に適当に生きたわけでも
生きたくて生きていたわけでもない。
ただ死にたくないから必死に生きて、
勉強して、
仕事して、
呆気なく命を手放した。
驚くほどに…呆気なく……
これでも、それなりの人生を歩んできたと思う。
人並みに頑張って、休んで…
ただ運がなかった。
そう、運がなかったのだ。
特に死ぬ半年前なんて最悪に最悪が重なって、最悪が襲ってきた。
もう限界だった。
俺は死にたくなったのではない。捨ててしまいたかったのだ。
金も、仕事も、義務も、責任も。
そして言ってやりたかったのだ。
こんな世の中を作りやがったやつに、
「なんで文明を発展させたのか。なんで競わせようとしたのか。」
神がいるかはわからないが、きっと幽霊くらいならいるだろう。いて欲しい。
(あぁ最後に貯金使い切って旅行でも行けばよかった。)
ふとそんな後悔が頭を通り過ぎた。
まぁ今こんなことを思いついたって何もできない。
自分でも冷めていると感じる。
でもしょうがないとも思う。
なんせ死んでるんだから。
体が軽い。
(まるで無重力の中にいるみたいだ。
……いや、なんか水の中…か?)
まるで、無重力の空間にいたのに急に水の中に飛び込んだみたいだ。
三途の川か?
そんなことを考えていると森が見えた気がした。
海も一瞬見えた気がする。
死後の世界ってのは本当によくわからない。
この世のものとは思えない。
まぁ死んだんだから当たり前か。
この時の俺はこんなことを考えていたと思う。ただこんな悲しくて、悔しくて、でもどこかホッとしていて安心感に包まれた感情だったのはきっとこれが最初で最後だったと思う。
●● ●●●(28歳) 死因:自殺