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家出少年ルシウスNEXT  作者: 真義あさひ
ルシウス君、冒険者になる
34/156

side 父と兄と嫁〜お兄ちゃんが処理します

 ルシウス少年のおうち、リースト伯爵家にまた、ゼクセリア共和国ココ村の冒険者ギルドにいる次男ルシウスからの荷物が届いた。


 さすがに、前回のデビルズサーモンの件があるので、屋敷内に入れず庭先にまず運ばせてある。


 今回は大の大人サイズの荷物が三箱。


「旦那様、お手紙はこちらに」

「うむ……」


 家人たちが麻袋の口を開くと、出てきたものは。


「あらー。おっきな牡蠣ねえ」


 ルシウスの兄カイルのお嫁さんブリジットがのんきな声を上げた。

 カイルとその父メガエリスは呆気に取られている。


「いや待って、本当にまって。また脚生えてるんだけど。ほんと何なのあいつ、何がやりたいんだ!?」


 カイルは、透明な魔法樹脂に封印された脚付き牡蠣三体を前に頭を抱えている。

 牡蠣の殻は開いていて、中の身が剥き出しだ。

 その身の上半分の辺りに、黒いインクで魔法樹脂の上から顔が描かれていた。



 ・∀・


 *´ω`*


 ´Д`



「あらー。顔文字、可愛いわねえ」


 それで、短い脚まで生えているものだから、まさにゆるキャラの如く。




「……父様。それで、ルシウスのやつは何て?」

「蝶つがいを壊して二枚貝を割れば、食用の普通の牡蠣に戻るそうだ。何十個かの牡蠣の集合体らしいぞ。あと、殻に毒があるから気をつけろとのことだ」

「わかりました」


 とりあえず一体目の後ろに回り、蝶つがいの位置を確認する。


「魔法樹脂、解除」


 透明な魔力でできた樹脂が、瞬時に消失する。

 少しだけ魔法樹脂の分だけ宙に浮いていたポイズンオイスターは、そのまま地面に落ちて、短い脚だけでは衝撃を殺しきれずにズベッと倒れた。

 脚はあるが手や腕はない。

 立ち上がれず脚だけをちまちまっとバタつかせている。


「何という無駄の多い魔物だ。こんなものが自然界にいたら、餌食になり放題じゃないか」


 呆れたカイルから放たれた魔力が、次々と周囲に透明な剣を創り出していく。

 最初、魔法樹脂で創られた剣は次々と素材をダイヤモンドに変換させて輝いた。

 宙に浮かせたダイヤモンドの魔法剣は、カイルが軽く指を鳴らすと一気にポイズンオイスターに剣先を向けた。

 そのうちの一振りが、蝶つがい部分の上部からするりと切り込む。

 そしてバターにナイフを入れたときのように滑らかに、一気に蝶つがいを破壊して二枚貝を割った。


 二枚に分かれる殻。片方の内側にだけ身がへばり付いている。

 と思ったら、一瞬だけ鈍く光って、後には二十個ほどの通常サイズの牡蠣がバラバラと地面に落ちた。


「ふう。今回は簡単な魔物で良かったよ」

「前回のデビルズサーモンは怖かったものな……。鮭は領地で見慣れているが、さすがに人の大人より大きなものは見たことがない」


 しかも人間の脚が生えていたから、妙にフットワークが軽くて、怖い。

 結果的に、今回と同じようにカイルが魔法剣をぶっ刺しまくって頭を切り落としたのだった。


 なお、頼まれていた解析は進んでいない。

 弟ルシウスが手紙に書いていたように、人間の脚は切り離すとふつうの魚のヒレに戻ってしまっただけだった。

 魚のヒレを人間の脚に変える術など、聞いたことがない。

 現在、まだ調査中なのだった。




「お義父様、この牡蠣はどうされるのですか? 召し上がられます?」

「うむ、滋養に良い貝とのことだ。カイルと一緒に夕餉で食すといい」


「あらー、お義父様は?」

「我らだけで食すのはもったいない。王宮に行って国王陛下たちに献上して来ようと思う」


 ついでに、うちの息子こんな大物仕留められるんだぜイェーイ! と自慢してくる気満々のメガエリスだった。


 夜は牡蠣で飲もうぜと王族の皆さんに先触れを出し、夕方から王宮に向かうことにした。



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