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家出少年ルシウスNEXT  作者: 真義あさひ
ルシウス君、冒険者になる
24/156

おうちにお手紙かきました

『拝啓 メガエリス父様


お元気ですか。

僕はとてもとても元気です。


王女様たちに唆されて僕は今、ゼクセリア共和国のココ村にある冒険者ギルドにいます。


ギルドでは皆さんとても良くしてくれて、なに不自由することなく過ごせています。


僻地ですが、ごはんがとても美味しいです。

毎日、新鮮なお魚さんが食べられます。

もちろん、領地の鮭ほどではありませんが!



それで、そろそろ兄さんは新婚旅行から帰られた頃でしょうか。


兄さんはお嫁様と仲良くされてますか。


兄さんは僕のこと何か仰っておられませんか。


僕はこんなに長い間、兄さんと離れたのが初めてなので、とてもとても寂しいです。


兄さん、僕はお国のために頑張ってお魚さんモンスターを日々倒しまくってます。』



 以下、兄への切々とした思慕の文章が続く。


 息子ルシウスの手紙とは別に、冒険者ギルドのギルドマスター名義での手紙も添付されていた。



『お宅のお子さん、めっちゃ強いな!?


 しかも賢いし、人柄も良い!


 お父様やご家族のご指導の賜物かと存じます』




「うむうむ。そうだろう、そうだろう」


 息子からの手紙も、ギルドマスターからの手紙も、何回も何回も何十回何百回と読み返して、端が擦り切れかかっている。


「旦那様。旦那様! ……そろそろ……」


 執事がメガエリスの握りしめている手紙を、そっとその大きな手の中から引き抜いた。


「ルシウス……我が息子よ、父のことももうちょっと書いてほしかった、な……」


 屋敷の執務室で呟いた主に、執事も、家令も、部屋で控えている侍従や侍女たちも皆、涙をこっそりと拭った。


(ルシウス坊っちゃま。お父様にもいろいろ尋ねて差し上げて!)


 以降もルシウスから実家への手紙は、父メガエリスへのメッセージ一割未満、残りほとんどがお兄ちゃん宛メッセージとなる。


 それでも父は毎回、息子を気遣い、分厚い手紙を返すことになるのである。

 



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