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家出少年ルシウスNEXT  作者: 真義あさひ
ルシウス君、冒険者になる
22/156

side アケロニア王族の皆さん1

「最初に謝っておく。済まない」




 とメガエリスは夜遅く到着した王宮、国王の執務室に通されるなり、当の国王テオドロスに頭を下げられた。


「随分唐突ですな。まずは説明を求めてもよろしいですかな?」


 慇懃な物言いだったが、致し方ないことだ。

 うちの可愛い息子に何してくれとんじゃ、と詰め寄りたいのをメガエリスは必死で抑えていた。

 いくら日頃から仲良しの国王様たちとはいえ、さすがにそれをやっては不敬なので我慢している。


 国王テオドロスの執務室には、国王、その王女グレイシア、そして先王のヴァシレウスと、黒髪黒目の王族三人が勢揃いだ。


 まだ二十代前半の王女や、壮年の国王はともかく、メガエリスと先王ヴァシレウスは早寝早起きタイプの年寄りだ。

 普段ならとっくに夢の中にいる時間帯である。


(正直、こんな夜遅い時刻に呼び出されるとキツイのだがなあ……)


 メガエリスが髪と同じ青銀の髭の口元で欠伸を噛み殺していると。



「メガエリス。……タイアド王国がまたやらかした。本格的に戦になるかもしれない」


 この場の一番の年長者、79歳で巨躯の先王ヴァシレウスがズバリ切り出した。

 一気に眠気が覚めた。




 タイアド王国は、このアケロニア王国の同盟国だ。


 この世界には、円環大陸と呼ばれる巨大大陸のみがある。

 タイアド王国は、アケロニア王国と同じ、大陸北西部にある大国だった。

 間に小国がいくつかあって離れてはいるが。


 先王ヴァシレウスの一番最初の子供である王女、現国王テオドロスの姉クラウディアが、タイアド王国の当時の王太子に嫁いでいる。


 だが嫁ぎ先で粗末な扱いを受けたため、若いうちに王子ひとりを産んですぐ亡くなってしまっている。


 先王ヴァシレウスは穏やかで思慮深い賢王だったが、この件だけは生涯許さんと、タイアド王家を心底憎んでいた。




「お聞きしましょう。何があったのですかな?」


「タイアド王国にいる私のひ孫の娘が、現王太子から言いがかりをつけられて婚約破棄された」


「は?」


「タイアド王国の暴挙を、我が国はこれまで二回、苦渋を飲んで受け入れてきた。今回は三回目だ。そろそろ痛い目を見せてやろうと思ってな」


 先王ヴァシレウスの口調は穏やかだったが、その黒い瞳は全く笑っていない。




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