第85話 龍の涙
「そうだ、忘れていた!! 俺達は全員が結婚するからネックレスを取りに来たんだ」
そうだよ。本来の目的を完全に忘れていたよ。
ネックレスを持って帰らないと、また女性陣に怒られるぞ。
「じゃあな、バハムート。俺達は10層に行ってネックレスを取ってから帰るよ」
「待て、慌てるな。それならば、儂のネックレスを持って帰れば良い」
そう言うとバハムートはアイテムボックスから何かを取り出し、それに龍気を流し込むと自分の涙を上から落とす。
「うむ、儂ながら上手にできたぞ。これを受け取るが良い」
俺達は、バハムートから三組のネックレスを受け取る。
ネックレスはチェーンがオリハルコンで出来ており、虹色に輝く半球体の宝石が付いていた。そして、半球体の宝石を合わせると球体にすることができた。
色はこの前に見たレプリカの龍の涙に似て虹色に輝いているが、こちらの方が段違いで鮮明に輝いており、半球体の中には六芒星が描かれている。また、六芒星は半球を合わせて球体すると、何故か六芒星は一個に合わさるのであった。
不思議なネックレスではあるが、惚れ惚れするほど美しいネックレスである。
「バハムート、ありがとう」
「礼には及ばぬ。友人の新しい門出の贈り物だ。そのネックレスは儂が300年前に剣聖トルクと賢者マーリンに渡した物と同じだが出来栄えが違うぞ。確か人族では、『龍の涙』と呼ばれているな」
「なに! トルクとマーリンが夫婦だって?」
おいおい、あの二人は元夫婦ってことを隠していたな。今度、会う機会があれば問い詰めてやろう。
「それじゃ、今度こそ帰るよ」
「そうか。儂はもう少しここで龍気を取り込んだら、ゆっくりとこの国を空から見てみよう。それと、そのネックレスだが、龍気を通せば儂やネックレスを持っている者と話ができるぞ」
「本当か?」
「本当だ。トルクとマーリンに渡したネックレスは五芒星だが、お主達のネックレスは六芒星であり、儂の最高傑作品だ」
「凄いな。それならいつでも連絡ができるな」
「そうだ。さぁ、行くが良い」
俺達はバハムートと拳を突き合わせ別れることにした。
「ノワール、俺は水の都に行って、久しぶりに実家に帰ろうと思う」
「ロイドは、水の都に実家があったのか?」
「ああ、それにアンナの実家もある。カイン、今まで言わなかったが、俺とアンナは幼馴染だ」
「そうだったのか。それで、初めて俺と会った時もロイドとアンナが一緒にいたんだな」
「それでカインはどうする?」
「ロイド、俺はナシャの所に帰るよ」
「そうか、ノワールはどうする?」
「まだ、結婚式まで日数があるし、折角だから水の都を見学してみようと思う」
「それじゃ、俺が案内してやるよ」
俺はロイドと一緒に水の都 グランディアに向かうことにした。
「それじゃ、後でカザト邸で会おう」
「ドラゴンウィング」
早速、俺達は龍気を使って飛翔する。
凄いな、エンジェルウィングより三倍の速度で飛翔ができる。
俺とロイドは、水の都に着くとロイドに案内される。
「この水の都は、西にある汽水湖のルク湖で行われる漁業で成り立っている都市だ。北は商業区、東は貴族区、南がギルドや住宅区、そして西が漁港区だ」
俺はロイドから一通り水の都の説明を受けるとロイドと別れる。
さてと、まずは北にある商業区に行ってみるか。
商業区はコートダールと比較すると、魚介類の取り扱いが多いな。
西にあるバッカル湖は汽水湖だから、淡水魚と海水魚の両方が獲れるので賑わっている。
でも、どうやって魚介類を他の都市に運んでいるのだろうか?
魚屋で聞いたところ、魔石による魔導具で冷蔵庫のような物があるそうだが、魔導具が高価であるため他の都市では鮮魚は高級として扱われているそうだ。
俺はアイテムボックスを持っているから、魚介類を運べば鮮度抜群で提供ができるので、ひと儲けができるぞと考えていると、俺の目はある看板に釘付けになる。
『豆腐屋』
なんで豆腐が売っている!?
俺は興味本位で豆腐屋と看板に書かれた店に入る。
「へぃ、いらっしゃい!!」
威勢のいい掛け声と共に女性の獣人が現れる。
「お客さん、この辺では見かけない顔だね」
「ああ、コートダールから来た」
「それなら、一度うちの豆腐を食べて行ってね」
女性は半ば強引に俺をテーブルの席に座らせると、豆腐を持ってくる。
これは驚いた。豆腐と言ってもおぼろ豆腐程度の物が出てくればラッキーと思っていたが、これは絹ごし豆腐と木綿豆腐ではないか。これは絶対に転生者の仕業だが、薬味や醤油がないぞ?
俺が躊躇していると、
「お客さん、ふたつの豆腐は混ぜて食べるのよ。そうすれば、柔らかいのと固いので、ふたつの触感を楽しめるわよ」
いや、違うから。豆腐は生姜、細ネギ、鰹節等の薬味、醤油やポン酢等で食べようよ。
取り敢えず食べてみる。うん、普通に美味しい。作り方は間違っていないようだが、食べ方が変だ。
「どう、お客さん」
「うーん、美味しいけど、何か付けたり添えて食べたりしないのか?」
しょんぼりする猫耳店長。
「それがわからないの……」
俺は猫耳店長の話を聞くと、たまたま露店で調理本を見つけて豆腐を作ってみたら美味しかったので、最初は自分で作って楽しんでいたそうだ。
その後、偶然知り合いがこの店を畳むことになったので、店を譲り受け豆腐屋を始めたそうだ。最初の内は珍しいこともあり売れていたが、最近は売れなくなって困っているとのことだ。
それなら俺が豆腐の食べ方を教えてやるか。
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