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俺だけのオリジナルスキル10と1/10の世界 ~転生したので異世界生活を満喫します~  作者: 月詠 神路
第6章 合同結婚式

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第80話 手伝ってくれ


 俺はカイン達との待ち合わせには早いが、下見も兼ねて龍神のダンジョンを行ってみる。


 移動中は隠密で目立たないように忍者装備を着ていたので、龍神のダンジョンの近くでクロム装備に着替えて辺りを確認する。


 龍神のダンジョンは、他のダンジョンと一緒で守衛場や宿泊所等があり代わり映えしないが、唯一ここならではの施設があった。


『ネックレスの斡旋所』


 中に入って確認すると、結婚式用のネックレスを取り扱う施設となっており、交渉人が冒険者とネックレスの希望者を仲介するシステムとなっている。


 俺は、壁にあるシステムの説明文を読み終えて辺りを見回すと、一人の男と目が合う。


 目が合った男は、30代前半で身なりの良い人で、切羽詰まったような顔をして俺に話しかける。


「突然で失礼する。自分は水の都グランディアに近衛兵隊のイニスだ。君は相当な手練れの冒険者と見受ける。是非、俺の依頼を受けて貰いたい」


 いきなり言われて困ったものだと思っていると、近くにいた冒険者から言う。


「おい、お前は水の都の冒険者ではないな。こいつの事情は知らないと思うが止めておけ。きっと、トラブルに巻き込まれるぞ」


「忠告どうも。だが、俺はいつもトラブルに巻き込まれているので問題ないぞ」


 男は、俺にやれやれと身振りを見せると、この場から立ち去る。


 イニスさんは、人が近くにいない席に俺を案内すると、エールと肴のチーズを店員に頼んだ。


「まずは、一杯やってくれ」


 俺は、エールを飲みながらイニスさんの話を聞くことにする。


「まずは俺の話を聞いてくれて礼を言う。俺のことを知っているか?」

「いや、知らないな。でも、お前は貴族の出身だろ」

「ああ、そうだ。君は凄いな」


 イニスさんは、少し考えると自分の身の上話を話し始める。


「俺は元侯爵家の長男イニス・バーバラで、今の爵位は男爵だ」

「なぜ、降爵された」


「すまなかった。順を追って話そう。父上のテンゲは、昨年に生活水用浄化魔導装置の公共事業で、住民からの利用料に関わる横領罪により爵位を降爵された。しかし、それはルギー侯爵に謀られたのだ。お陰でバーバラ家は住民から目の敵にされている」


 イニスさんは悔しそうにエールを煽る。


「取り乱してすまない。そうだ、君の名前を聞いていなかったな」

「俺は、Bランクの冒険者でノワールだ」


「俺の目に狂いはなかったようだ。早速、依頼内容だが10層のボスであるグレートワイバーンが落とすワイバーンの涙と言うネックレスを取るのを手伝ってほしい」


「おい、斡旋所からの情報ではグレートワイバーンはBクラスの魔獣だ。討伐するのはBランクのパーティーを編成する必要があるぞ。それに、イニスさんは、どう見てもDランクの実力しかないだろ」


 イニスさんは俺の指摘に驚いた顔をする。どうやら図星だったようだ。


「少し待っていてくれ。直ぐに集める」


 そう言って席を立とうとするイニスさんを俺は止める。


「待て!! さっきの冒険者の口ぶりから本当に集められるのか?」

「くそっ」


「まぁ、座れよ。ところで、なぜネックレスを取る必要がある? 結婚でもするのか?」

「わかった、君には全部話そう」


 俺は、エールの追加を頼みイニスさんの話を聞く。


「俺には許婚でフロキ・ノトジク伯爵の次女シチアがいたのだが、最近になってルギー侯爵の息子であるビスマとの婚約の話が出ている。だから婚約される前にシチアへ求婚する必要がある」


「ん? フロキ伯爵は許婚がいるのに、なぜ断らない?」


「私の父とフロキ伯爵は、旧友の仲で水の都グランディアの公共事業を一手に引き受けていたのだ。しかし、今回の横領事件でフロキ伯爵は父と一緒に嫌疑をかけられて、ほとんどの資産を没収されてしまった。そこに弱みに付け込んで、今回の婚約の話が出た」


「つまり、横領罪と一緒で全てが仕組まれている可能性があるのか」

「そうだ、ノワールさん」


「もっと詳しく聞かせてくれ」


 その後も話を聞いたことをまとめてみる。


 デンケ侯爵がルギー伯爵を公共事業の横領罪で訴えたが、逆に犯人にされてしまいデンケ侯爵が男爵に降爵される。そして、デンケ侯爵の横領罪を暴いたルギー伯爵は、クリド公爵に功績を認められて、侯爵に推挙され侯爵となる。


 フロキ伯爵は横領の手助けをしたことで資産を没収される。

 弱みに付け込んで、ルギー侯爵の息子ビスマが婚約を申し込む。


 こんな感じだが、イニスさんがシチアさんと求婚したところで何も解決できていないぞ。それにシチアさんが素直に求婚を受けるとは俺には思えない。


「冷静に考えてみてくれ。イニスさんがシチアさんと求婚したところで、シチアさんが求婚を受けなかったらどうするつもりだ?」


「うう…… そんなことはない」


「それに本当に解決しなければならないことは、デンケ侯爵の汚名を晴らすことではないのか?」


「そんなことはわかっている。父上の汚名を晴らし、領民のためにグランディアを良い街にすることが父上と私の志だ。でも、俺には力がない…… だから、最高級品のワイバーンの涙でシチアに求婚さえすれば何とかなるかと……」


 イニスさんはうな垂れる。


「それなら、俺がイニスさんに力を与えてやる。それに、一緒にデンケ侯爵の汚名を晴らそうではないか」

「そんなことができるのか?」


「イニスさん。俺を信じてほしい」

「わかった。これからは俺のことをイニスと呼んでほしい」


「ああ、じゃ、俺のこともノワールと呼んでくれ」


 俺達は固い握手を交わす、明日の朝に斡旋所で待ち合わせすることにした。


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