第73話 意思と教えを受け継ぐ者達
「トルク様、マーリン様。闘気と魔素の極みを教えて頂きまして、ありがとうございます」
ロックがトルクとマーリンにお辞儀してお礼を言う。
「それに、この一か月間で、俺達は大幅にステータスがアップしたと思います」
「確かにそうだろう。儂の鑑定でも皆は、Sクラスのステータスになっているだろう。だが、ロックよ、慢心は禁物だぞ」
「はい、師匠」
「師匠、良い響きだ。ノワールの他に弟子が五人も増えたからな。ははははは」
「何をいっているの、皆は私の弟子よ、特にルミアとナシャはね」
トルクとマーリンの不毛な議論に皆苦笑いしているが、訓練をやり遂げ極みを会得した皆からは自信がみなぎっていた。
「さて、ノワールよ。儂はお主達には全てを教えた。これで、儂らはお主達と会うことはないだろう」
「私も全てを教えたわ。皆楽しく生きて、この世界を満喫してね。あと、ロックは女難の相があるわ、騙されないように注意してね」
「女神フロリナート様。儂とマーリンはここで行きます。将来、有望である若者達を指導できて有難き幸せです」
「私もありがとうございます」
「剣聖トルク、賢者マーリン。貴方達の意思と教えは、この者達が受け継ぐでしょう。さぁ、安らかに休まられるがよいでしょう」
女神がそう言うと剣聖トルクと賢者マーリンの体は光の粒となり、天に登っていき消えるのであった。
「ノワール君、ありがとう。実はね、剣聖トルクと賢者マーリンは、生前自分達が会得した技を次の世代を担う若者達に伝授出来ないことが心残りだったの」
「そんな…… なぜ、伝授できなかった?」
「ノワール君ならわかると思いますが、王に認められ英雄となった者達は、自分が思うような行動ができないことがあります。それは、トルクやマーリンも例外ではなく、伝授する者も自分で決めることが出来なかったのです」
「全て政治か……」
「そうです。しかも、一国の英雄だけではなく、魔王軍を退けた英雄であれば尚更でしょう。だからね、最初ノワール君の話をトルクやマーリンにした時は、凄く喜んでくれたわ」
「そうか。でも、最後にさようならを言わないのは、トルクやマーリンらしいな」
「そうね」
剣聖トルクと賢者マーリンとの別れを惜しみながら、俺達は小屋で夜まで休憩するのであった。
「ノワール君、この後はどうするの?」
「そうだな、極みを習得しても実践で使い熟せなければ意味がないから、エベルス鉱山でレベリングしながら訓練かな」
「ふーん。なんだか、最近、訓練ばかりね」
「確かにそうだな。少し落ち着いたら、一緒に旅行でも行くか? 俺は、未だ行ったことがない町があるから行ってみたい」
「うん、行こうね」
『コンコン』
誰かが、ドアをノックする。
「兄さんロックです。話したいことがあります」
「どうした?」
「実は、追跡に使われていた俺の首飾りですが、誰が仕掛けた物か見当がつきました」
「そうか」
「兄さん、このことを皆に伝えるべきか悩んでいます。もしかしたら、伝えたことによって、これまでの関係が崩れていまうのでは…… でも、俺は伝えたい」
「何を悩んでいる。ロック、自分を信じろ」
しばらく、ロックは考え込むが意を決したようだ。
「わかりました、兄さん。休憩が終わったら大きい小屋に集まってください。皆にも言っておきます」
そう言い残すとロックは小屋に向かったようだ。
しばらくして、俺達が小屋に入ると皆が既に集まっていた。
「皆聞いてください。追跡に使われていた私の首飾りですが、誰が仕掛けた物か見当がつきました」
「なんだって!」
皆がロックを見る。
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