第72話 極み
「よし、皆着いたぞ」
「ノワール、着いたと言っても何もないぞ」
「ロイド、良く見てみろよ」
皆は俺が指さす方向を凝視する。
「ノワール君、わかったわ。そこの前から景色が少し歪んで見えるわ」
「あっ、本当だわ」
「そうだ。ルミアとナシャが言うように、その前に結界があって誰も入れないし、見つけることもできないようになっている。皆は、俺の後に続いて入って来てくれ」
俺の後に続いて、カイン達が結界の中に入っていく。
結界の中は久しぶりだな。その前より小屋が増えており、結界の中も広くなっている。
「ノワール君、待っていたわ」
女神のフロリナートが、俺達に向かって手を振っている。
「おおお、女神か?」
「私は女神様を初めてみたわ、可愛らしい人ね」
皆から驚きの声が上がりながら俺達は、女神の前まで歩く。
「えっと、ロックさん、ルミアさん、カインさん、ナシャさん、ロイドさん、アンナさんですね。よろしくね。私はめぐり逢いの女神 フロリナートです」
女神は、俺達をひとりひとり確認するように言うと、
「ここまで来るのに疲れたでしょ。まずは、小屋で休憩してね。えっと、ロックさんはこっちの小屋、後はカップル同士で小屋に別れて使ってね」
俺達は、小屋で少し休憩すると残りの大きな小屋に集合した。
「さて、準備は良いか。これから訓練を始めるぞ。皆にはこれから限界突破のスキルを習得してもらうぞ。それから、闘気と魔素を練り上げる訓練だ。それから、じっくりと上級クラスのレベルアップのため、エベルス鉱山の5層に行く予定だ」
「ノワール、限界突破だが簡単には習得できないだろ? 特に限界突破は自分達で習得するのは無理なスキルであり、上級クラスで取得できれば英雄への道が開けるスキルだ」
「カイン、心配するなよ。特別な先生を呼んでいるから大丈夫だ」
俺がそう言うと小屋の中が眩しく輝きだし、二人に人影が現れる。
「ノワール、久しぶりだな」
「元気にしていたかな、ノワール君。あっ、隣の綺麗な子は、もしかして彼女さんかな」
俺はトルクとマーリンの前に行くと、お互い固い握手を交わす。
ルミアが気が付いたように言う。
「ノワール君、まさか、この人達は」
「ああ、剣聖トルクと賢者マーリンだ」
「えええ――」
「おい、剣聖トルクと賢者マーリンが師匠だと言っていたが、本当だったのか!!」
「本物か?」
皆驚いている。それはそうだろう。剣聖トルクと賢者マーリンは300年前の英雄で伝説になっている人物達だ。
俺は皆が落ち着いた所で自己紹介させたが、ロックがトルクに対して凄く緊張して話していたので、少し笑ってしましった。
「トルク、マーリン。俺達は上級クラスを取得したが、このままでは十分に活かすことが出来ないと思っている。特に、皆に限界突破を習得して貰いたい。それに、上級クラスに見合った闘気と魔素を使いこなすことが重要だ」
「ノワールよ、賢明な判断だ」
「ノワール君、私も同意見よ」
「それとトルクにマーリン、クラスで忍者を知っているか?」
俺はミスリル装備から忍者装備に装換する。
「おお、シンジの装備だな。懐かしいぞ」
「そうね、でも、良く見つけたわね」
「見つけることが出来たのは、俺が渡り人で神事さんと同じ場所から渡ってきたからだ」
「忍者か…… シンジは大人しいヤツで人に干渉されることが嫌いだったから、いつも一人で行動していた。儂も忍者については、刀を使い忍術を用いて戦うことぐらいしか知らないのだ」
「そうね、私もあまり知らないわ」
神事さんや忍者について何か知っていればと思ったが残念だ。気を取り直して訓練を始めるか。
「儂とマーリンは限界突破をやるが、ひとりずつになるぞ。誰からやる?」
「そうだな、ロック。お前からやってみろ」
「わかりました。兄さん」
俺が体験したように、限界突破の習得には皆も大変苦労するが無事に取得できた。やっぱり、神水により完全回復できることが凄い。
皆も慣れてきたようで、トルクからは闘気、マーリンからは魔素を学んでいる。
「よし、皆の者。これより上級クラス用の闘気を使う方法を伝授するぞ。これができれば、それぞれの極みが取得できる。例えば、剣聖と聖騎士であれば剣の極みだ」
「そうよ。同じように魔素も極みを伝授するわ。ルミアとナシャは私の方ね」
「待ってくれ。全員で両方を取得するつもりだ」
「ノワール君。あまり期間がないから両方取得するのは無理よ。このままだと中途半端になってどちらも習得できないわよ」
マーリンから言われ、俺が困っていると女神が言う。
「大丈夫よ。前にも言ったと思うけど、パーティーボーナスで経験値が更に3倍になっているわよ」
「そうだった。俺は少し焦っていたようだ」
俺の効果が100倍、パーティーボーナスとの効果で3倍だから合計300倍だ。これならいけるぞ。
「マーリン、問題ない」
「わかったわ。では、始めるわよ」
俺達は訓練を行い、皆が極みを取得するのであった。
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