第71話 追跡者
翌朝の午後、俺達はライザンさんの所に向かう。
「ライザンさん、いるかい?」
「おお、やっと来たか。あんちゃんには、いつも驚かされるぜ。昨日と今日の午前中に、あんちゃんの仲間が5人も来たぞ」
「ああ、この前に依頼した装備の件だ」
「そりゃいいけど、剣聖、弓聖、賢者に聖騎士が二人来たぞ。全員が上級クラスだったから、たまげたぞ。あんちゃんは一体何者だ?」
「ん? 普通の冒険者だぞ」
「ふはは、こりゃいい。それで今日は何の用だ?」
「装備の件だが、六人分を三か月で作ることはできないか」
「そうだな。、聖騎士の二人分はゴッズと同じ装備で良ければ、弟子に任せられるので大丈夫だ。でも、今、六人分って言わなかったか」
「そうだ。最後のルミアの分を頼みたいが、ちょっと特殊でな」
「あんちゃんが特殊って言うことからには面白そうだな。聞かせろや」
「ルミアのクラスだが、賢者と拳王だ」
「ん!? 俺の聞き間違いか。賢者と拳王?」
「ああ、ルミアは二つのクラスを取得して同時に使用することが出来る」
「おいおい、こりゃ驚いた。あんちゃんと一緒にいると気が変になりそうだ」
「ふっ、それは今に始まったことではないだろ」
「違いねぇや。そうなると、中遠距離の魔法による攻撃と支援を活かし、近距離では格闘により攻撃と防御ができる装備が必要だな。こいつは面白いぞ」
流石はライザンさんだ。俺が考えていた装備と同じだ。
「できるのか?」
「やってやるさ。こんなに面白い仕事は弟子には任せられねぇ。俺が責任を持ってやるから期待してくれ」
「ああ、頼むぜ」
ルミアの採寸が終わると、俺はライザンさんと固い握手をすると、一路コートダールに向かうのであった。
五日後、俺とルミアが冒険者ギルドに向かうと、冒険者ギルドの前でギルド長のゴンザレスさんが、緊張した顔をして辺りを窺っている。
「久しぶりです。ゴンザレスさん」
ゴンザレスさんは、俺が挨拶するともの凄い勢いで駆け寄ってきた。
「おい、ノワール。久しぶりなんて躊躇なこと言っている場合か。今、アッサムザルクの近衛兵隊長であるロック子爵も来ているぞ。一体、お前は何をやったのだ?」
混乱しているゴンザレスさんを、落ち着かせるように話す。
「ゴンザレスさん、落ち着いてください。俺が彼を呼びました。彼は、ギルドで俺と待ち合わせするために来たと、言っていませんでしたか?」
「確かに、そう言っていたような……」
俺はゴンザレスさんを落ち着かせると、ルミアと一緒にギルドに入る。
「兄さん。待っていました」
「早いな、ロック」
俺とロックが親しく話しているので、やっとゴンザレスさんは落ち着いたようだ。
「そうだ、兄さん。ここのギルド長を紹介してください。実は陛下より報奨金を承っていますので、渡したいです」
俺はロックから言われたのでゴンザレスさんを紹介する。
「ロック、こちらが冒険者ギルド長のゴンザレスさんだ。俺は渡り人だったので、最初に大変お世話になった人だ」
ゴンザレスさんは、緊張しながらロックに挨拶する。
「兄さんが、お世話になっています。詳細は言えませんが、陛下より兄さんが所属する冒険者ギルドに対して、報奨金が出ています」
ロックはゴンザレスさんに収納袋を渡す。
「俺は冒険者登録の手助けをしただけで、そんな国王陛下にお礼を言われるなんて……」
ゴンザレスさんは、すっかり恐縮している。
「そんなに恐縮しないで下さい。貴方がしたことが、私が兄さんと会えたことにも繋がりますから」
「そうですか……」
「それと陛下より、この女神像をここで祀るように命があります」
ロックは収納袋から女神像を取り出してゴンザレスさんに渡す。
「この女神像は?」
「めぐり逢いの女神 フロリナート様です。この女神は人生において人とのめぐり逢いを良好にする女神で、必ず冒険者達のことを見守ってくれます」
「わかりました。是非、この女神像を祀りましょう」
そんなやり取りをしているとカインとナシャ、ロイドとアンナがギルドに入ってくる。
「よし、全員揃ったな。出発だ」
俺達は俺を先頭して目的地に向けて走っていたが、何か違和感を感じる。
マッピング。うーん、俺達の方が圧倒的に移動速度は速いが追跡されているな。
「皆、ちょっと止まってくれ。誰かに、後を着けられているようだ」
俺は集中と気配察知のスキルを使い、追跡されている原因を探る。
「ロック。その首飾りは、この前は付けていなかったがどうした?」
「これですか? 王都から出た時に小さい子供から貰ったネックレスです」
そう言って俺に見せると、中央にある小さな魔石から微妙な魔素が漏れていることを感じる。
「その首飾りの魔石から微妙な魔素が漏れていることが原因で、誰かが俺達を追跡しているぞ」
「本当ですか?」
ロックは首飾りを見ながら集中する。
「私としたことがすみません。確かに魔素が漏れています」
「ノワール、どうする? 俺がその辺に捨て来ようか?」
「ロイド、待ってくれ。捨てるだけだと、追跡者に俺達が首飾りに気付いたことにバレる」
俺はロックから首飾りを受け取ると、丁度良く近くにいたブルーバードを捕まえて首飾りを付けた。
「ブルーバードか、良く思いついたな。ブルーバードは警戒心が強く、長距離も飛べるので追跡者を騙せるだろう」
でも、一体誰がロックに首飾りを持たせ追跡しているのだろうか?
まぁ、相手だって必要であれば、もっと仕掛けてくるので出方を窺うか。
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