第64話 裁きと褒美
陛下との謁見の朝、宿にはロバート辺境伯の執事であるスミスさんが迎えにきてくれた。
「さぁ、皆さん。馬車に乗ってください。王宮に向かいましょう」
王宮からは来賓用の馬車が迎えに来ており、それに乗って俺達は王宮に向かう。
「ロイド、凄いわね。親衛隊の人達が敬礼して、お出迎えしてくれているわよ」
「そうだな、アンナ」
俺達は馬車の窓から外の様子をキョロキョロして見ていると、スミスさんに言われる。
「皆さんはお気づきではないでしょうが、既に上級貴族の間では皆さんの活躍のことが広まっています。既にどこかの公爵家が護衛として貴方達を囲うために、男爵の爵位を授けることまで検討されています」
「凄いな」
カインが爵位と言う言葉に顔を引きつらせる。
「カイン。もし、公爵家がカインに爵位を授けると言ってきたらどうする?」
「俺はいらないや。もともと、この間までCランクの冒険者だったし。それにノワールと一緒になってから強くなったことで、もう爵位なんてどうでもいいやと思えるようになった。ナシャはどうだ? 爵位を貰って一生安泰に暮らしたいか?」
「私も、今が一番楽しいからこのままでいいわ」
皆が頷く。
よし、それならば陛下に一発かますか。
王宮に入ると、俺達はこの前と同じように部屋に案内される。
「皆変わりがないようだな」
既に部屋の中にはロバート辺境伯が、俺達のことを向かい入れてくれた。
「スミスから聞いているように、君達は上級貴族の注目の的だ。今日は、全ての公爵家や数名の上級貴族が参列しているぞ。緊張すると思うが、君達のことだから大丈夫だろう」
「わからないことがあれば、俺に聞け」
柱の陰からロビンが姿を現す。
「ロビン、来ていたのか」
「ああ、俺だって君達と同じく今回の立役者として扱われているからな」
俺達はロビンから数日間の王宮で起こったことを聞いて状況を把握する。
「そうか。ラムズ侯爵も同席するのか……」
しばらくすると、ドアを誰かがノックして入ってくる。
「ノワールさん」
「おお、ロックか。この前は言えなかったが、デーモンとの戦いは良かったぞ。更に強くなったな」
「はい、軍・ いや、ノワールさんのお陰です。私もこの度の働きが認められて、陛下よりお言葉を頂くことになりました」
「おお、それは良かったな」
しばらく、ロックを含めて皆で雑談していると時間が来たようだ。
俺達は前回と同じように謁見の間の前まで着くと、親衛隊から説明を受ける。
「ロバート辺境伯、ロビン子爵、白銀の翼は黄色い線まで行き、陛下のお言葉があるまで跪いて待機するように。ラムズ侯爵、ロックさんは水色の線で同じように待機していてください」
俺達は謁見の前と入る。
「デミグラード国 第12代国王 バウド・デミグラード陛下の出御!!」
「皆の者、楽にして良い。この度のミスリル鉱の高騰の件に関し、宰相のダイド公爵より説明する」
ダイド公爵は、バンク男爵のことからラムズ侯爵の息子のワキトがデーモンジェネラルだったこと。
ロイヤル騎士団のゴッズ隊長がデーモンジェネラルに敗れ、デーモンコマンダーが出現したが、ロビンやカイン達の活躍によりデーモンコマンダーを討伐し、ロック隊を中心としてデーモンを討伐したこと。
最後に、デーモンジェネラルとラムズ侯爵に取り付いたパラサイトグレートデーモンを、俺が倒したことが簡潔に説明される。
上級貴族からは噂は本当だったのかと話し声が聞こえ、一通り話が終わると陛下が口を開く。
「皆の者、ダイド公爵より説明したことが真実であり全てだ」
先程までざわついていた謁見の間に、静寂が訪れる。
「今回の一件であるが、悪事に加担した者達に裁きを言い渡す。バンク男爵は男爵の爵位を奪爵する。また、ミスリル鉱に高騰に加担した闇ギルドは極刑とし、貴族であるダミド子爵、ソレド伯爵も爵位を奪爵する。最後にキルト公爵の次男であるデキドについては廃嫡とする」
「恐れながら陛下、我が息子であるデキドが加担しているとは思えませぬ」
「ならばこの資料を見るが良い」
キルト公爵は、ダイド公爵から渡された資料を見ると、顔色がだんだん青ざめていき、最後は崩れ落ちるように跪く。
「陛下の仰せのままに」
参列者達からは動揺する声が上がる。
「なお、ラムズ侯爵については不問とする」
「恐れながら陛下に申し上げます。なぜ、私目が不問となるのでしょうか?」
「貴殿は長年、ミスリル鉱石の供給にて我が国に多大なる貢献した実績がある。この功績は、パラサイトグレートデーモンに寄生されていても、我が国に対する忠誠心、そして領民を思う心がパラサイトグレートデーモンに打ち勝っていたからこそ、なし得たのだと余は確信している。これからも我が国を支えてくれ」
「勿体なきお言葉。我が全身全霊を持ってして、陛下のご期待にお答えするように精進します」
陛下は静かに頷く。
「ラムズ侯爵 近衛兵隊長 ロック」
「はは」
「其方のこの度の働きは、我がロイヤル騎士団に引けを取らない働きであった。よって、其方には男爵の爵位を授ける。これからもラムズ侯爵を支えてやってくれ」
「はは、有難き幸せ。陛下のお言葉に応える様に精進します」
陛下は静かに頷く。
「ロビン子爵よ。この度は大儀であった。貴殿の情報がなければ今頃王都は魔族軍と対峙していただろう。貴殿には伯爵の爵位を授けよう」
「有難き幸せ。これからも陛下に忠誠します」
陛下は静かに頷く。
「ロバート辺境伯よ。よくぞこの度は尽力を尽くされた。貴殿のお陰で王都は救われたのだ。感謝する」
「勿体なきお言葉」
「貴殿には王国の危機を救ったことによる褒美として第一級宝珠勲章を授け、侯爵の爵位を授けよう」
「おおおおお」
周りの上級貴族から驚きの言葉が上がる。
「有難き幸せ。我は陛下に忠誠します」
陛下は静かに頷く。
「さて、待たせたな。白銀の翼の冒険者達よ」
いよいよ陛下は、俺達に向かって話を始めるのであった。
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