第60話 真の黒幕とは
柱の陰からロビンが姿を現す。
流石は上位クラスの弓聖だな。
カイン達は気が付いていなかったようだ。
「おお、ロビン子爵、戻って来ていたのか。早速だが、調査結果の報告を命じる」
ロビンは陛下の前に行くと、俺達の方に向かって説明を始める。
「私は陛下直属の情報院参謀のロビン・ジェームス子爵である。この度、陛下の勅命を受け、ミスリル鉱の高騰について調査した結果を述べる」
ロバート辺境伯とラムズ侯爵は、ロビンをじっと見る。
「エベルス鉱山の隠し部屋の移転装置は、闇運営されている鍛冶ギルドの地下に繋がっている。そして、闇の鍛冶ギルドではミスリル鉱からミスリル貨が偽造され、既に市場に流出したことが、ミスリル鉱の高騰の原因になっている。いずれは、この国の経済は破綻になるだろう」
ロビンの調査結果に皆が驚愕する。
ミスリル貨幣の偽造は重罪となり、経済の破綻をもたらせば国家転覆罪として係わった者が死罪となる。
「私は闇の鍛冶ギルドの商人と取引をしている人物を知っている。これが証拠だ!!」
ロビンは一枚の紙を皆に見えるように掲げると、そこに写っていた人物はラムズ侯爵の隣で跪いていた男に、そっくりであった。
「おおおおお」
周りにいる上級貴族やロイヤル騎士隊から驚きの声が上がる。
「ラムズ侯爵よ。どうゆうことだ!! 答えてみよ」
ラムズ侯爵の隣で跪いていた男が立ち上がる。
「何ということだ。俺様が25年も費やした計画が水の泡ではないか」
「ワキトよ、控えよ!! 陛下の御前であるぞ」
ラムズ侯爵は、ワキトを制止する。
「黙れこのクズが!! 俺様はお前の息子ではない」
「何を言っている。ワキト、乱心したか?」
「ふっ、お前が俺様を息子と信じるのも無理はない。それだけ我が国の秘薬である鵜呑み薬が優秀だったようだ。お前は、俺様が飲ませた鵜呑み薬により、俺様を本当の息子だと信じ込んでいる」
「ワキトよ。何を言っているのだ? やはり乱心したか」
「黙れ!! エアーショット」
ラムズ侯爵はエアーショットを受け、壁際まで吹き飛ばされる。
「もう、こうなっては偽装の魔導具で化けていても仕方がない。俺様の真の姿を見るが良い」
ワキトの身体から湯煙のような物が出ると、人型で青黒っぽい肌、羊の角、コウモリのような羽、長い尻尾を持ったデーモンが姿を現した。
ワキトが変貌する姿を見たロイヤル騎士が、ワキトの前に立ち塞がる。
「俺はロイヤル騎士団の隊長であるゴッズだ。貴様は何者だ!!」
「これは挨拶が遅れたな。俺様は魔王軍 諜報機関将軍のワキトだ」
「くっ、貴様はデーモンコマンダーか? ロイヤル騎士団は陣形を組み陛下をお守りしろ。親衛隊は貴族様を避難させろ」
ゴッズ隊長の指示に従い、速やかに陣形を整え避難が完了する。
『パチパチパチ』
ワキトが拍手する。
「素晴らしい、日頃の訓練の賜物だ。それと、俺様はデーモンコマンダーではなく、上級種であるが故にデーモンジェネラルのワキトと呼んでくれ」
「それでワキト。お前の狙いは何だ?」
「良いだろう。冥土の土産に聞かせてやろう。俺様は諜報機関の魔族で、他の将軍と比較して戦闘は劣っている。しかし、頭脳は他の将軍より優れているので、一緒にはしないでくれ」
「それで?」
「焦るな。俺様は他の脳筋将軍とは違う故に潜入計画を考えた。それは、ミスリル鉱の高騰により経済を破綻させて内戦を引き起こし、国力が弱った頃に内外部からこの国を攻め落とすと言う計画だ」
「だが、ワキトよ。その計画は崩れたぞ」
「確かにゴッズの言う通りだ。しかし、この国の王は俺様の目の前にいる。殺すのは容易く王が死んだとわかれば国外から魔王軍が攻め込み、この国を亡ぼすことができるだろう。計画が少し変わってしまったが、この国が亡ぶことには間違いがない」
「させる訳にはいかんぞ。聖騎士 ゴッズが相手になろう」
「笑止!!」
二人の剣が交じり合い、お互いが武技を繰り出す隙を伺う。
「行くぞ!! グランドクロス」
「小癪な!! デーモンスパイラル」
二人の武技がぶつかり合うが、ワキトのデーモンスパイラルに押し込まれゴッズを吹き飛ばす。
「くっ、膝さえもってくれれば」
「人族にしては良くやったが、これで終わりだ」
ワキトがゴッズに近づき止めを刺そうとするが、隊長が敗れた動揺でロイヤル騎士団の動きが止まっており、ゴッズが危ない。
「スタングレネード!!」
『ドォ――ン』
凄まじい閃光と轟音が辺りを包む。
「みなさん、聞こえますか?」
俺の問いかけに皆が頷く。
「えーと、ゴッズさんとワキトだっけ? 何を二人で盛り上がっているのさ。俺達のことを忘れてないか?」
「ロバート辺境伯の護衛か? 早く避難しろ、お前達では無理だ」
「果たしてそうかな。皆、闘気と魔素を解放しろ」
俺達は収納袋から武器を取り出し、闘気と魔素を練り始める。
「なんと言う闘気と魔素だ。王を倒すためには、お前達を倒す必要があるようだな」
ワキトは大きな魔石を窓に目掛けて投げると、魔石は庭に落ち爆発すると15体のデーモンが現れた。
「ははは、面白い仕掛けだろ。Bランクのデーモンが15体出来上がりだ。それと、これもだな」
今度は先程よりも大きい魔石を部屋の中に投げると、5体のデーモンコマンダーが現れた。
「どうだ。Aクラスのデーモンコマンダーが5体だ。これで終わりだな」
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