第6話 闘気を纏え
「よし、今日は二つ目の極意を教えるぞ。初日のように手首を切り落とすことはしないので、安心するが良い」
「二つ目の極意とは闘気だ。この世界では、戦闘での強さはレベルとスキルに依存する。だから、ランクを飛び越えて勝つと言うことはほとんどない。しかし、勝てる方法がある。それが、闘気だ!!」
「ノワールよ。儂に剣で切りかかってみよ。左腕の手首を切り落とす勢いで良いぞ。万が一、切り落とされても、神水があるから問題ない」
「問題ないって…… どうなっても知らないぞ」
俺はトルクに勢いよく切りかかった。
『ガキッ』
鈍い音が響き、剣はトルクの左手首を捉えたが、トルクの左手首はほとんど無傷であった。
「ほれ、この通り儂は無傷だ。これがレベルの差であり、この世界がレベルに依存していることがわかったはずだ」
「もっと傷が付いていると思っていたが…… これはまさにゲームの世界で、ダメージ0って表示されるヤツだな」
「その通りである。闘気を教えるぞ。まずは、両手の拳を握って自分の鼓動を感じてみよ」
「ああ、やってみるよ」
深呼吸して両手の拳を握ると、わずかだが自分の鼓動を感じる。
これが、闘気か?
その鼓動を感じていると、段々大きく鼓動が脈打つことを感じる。
「いいぞ、ノワールよ。そのまま全身でも感じるようにして、さらに鼓動を更に強く感じろ」
俺はトルクが言うように全身に鼓動を感じ、さらに鼓動を強く感じていく。
そして、ある程度のところでキープをしていると俺の身体に変化か起き、身体全体を覆う薄い赤色の膜ができる。
「できたな。それが闘気を纏った状態だ」
「闘気を使いこなすことで、クラス特有のスキルも使うことができるのだ。ゲームでは勝手にスキルを覚えるが、この世界では自分で会得する必要がある」
「なるほど、俺は勝手にスキルを覚えると思っていた」
「やっぱりそうだったか。では、次に纏った闘気の厚みを増やすイメージをしろ」
早速、イメージをすると身体が軽くなり、力が湧いてくる。
「うん、いい感じだ。それが身体強化のスキルだ」
「どんどんいくぞ。闘気を腕に集中させるとためると言うスキルで、身体から闘気を放てば威圧や挑発だ。さらに目に纏えば集中、様々な身体の箇所に纏えばクラス特有のスキルを身に付けることができる。そして、一度身に付けたスキルはクラスを変更しても使える」
「待ってくれ。一度に色々と言われても良くわからない」
「大丈夫だ。お主ならきっとできるから、色々と教えてやろう」
最後の方はゴリ押しとなったが、色々教えてもらった結果、俺のスキルはこんな感じになる。
クラス
第一 戦士 レベル 22
第二 拳闘士 レベル 22
第三 狩人 レベル 22
スキル
鑑定、マッピング、全言語理解、アイテムボックス、ステータス隠蔽
挑発D new、身体強化D new、ためるD new
気功回復D new、集中D new、隠密 D new、威圧D new
調理D、痛覚耐性A、恐怖耐性A、再生A、限界突破、根性
「ここまでは実は極意ではなく、Dランク相当の冒険者であれば使える。極意とは、スキルをいくつも同時に発動する複合スキルのことだ。まず、闘気を全身に纏った状態から、次に手や足等に順に纏う。闘気の洋服を重ね着するようなイメージだ」
「こんな感じか?」
「いい感じに仕上がったな」
「その状態で儂に剣で切り付けてみよ」
「身体強化、ためる、集中、いくぞ!!」
『ガキーン』
今度は手応えがあり、トルクの腕から血がにじみ出る。
「儂にかすり傷を負わせるとは。良い攻撃だったぞ」
「良い攻撃って言われても、かすり傷程度かよ」
「馬鹿者!! DランクがSSSランクにかすり傷とは言え、ダメージを与えるなど前代未聞だ」
「そうか、ゲームだと序盤でラスボスに挑んでいる感じで、確かにダメージなど与えられるはずもない」
「しかし、お主の闘気は良かったぞ。一時的とは言えレベルが三倍にアップして、Bランク相当の攻撃力になった。上出来だ!! 今日はこれまでにしよう」
「ありがとう、トルクのおかげだよ」
「いや、ノワールは素質があり、恐ろしいほどにのみ込みが早い。これは、お主のオリジナルスキルによる恩恵だろう」
そんなに俺のオリジナルスキルは効果が凄いのか……
確かに、通常の100倍のスピードで成長できるからな。初めて実感が湧いてきた。
さて、明日は何をするのか楽しみだ。
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