第59話 陛下との謁見
「では、これより陛下に謁見する。昨日、執事のスミスから説明を受けた通りに対応してくれ」
俺達はロバート辺境伯の後ろに付いて行き、大きな扉の前に立つ。
親衛隊からも改めて、謁見の説明を受ける。
「ロバート辺境伯の近衛兵隊の方はこちらの控室で待機してください。護衛の方はロバート辺境伯に同行され、部屋に入ると水色の線がありますのでそこで跪いて待機してください。ロバート辺境伯は黄色の線まで行かれ、陛下と謁見願います」
俺達は頷き大きな扉の前で待機する。
「ロバート辺境伯、入られるが良い」
大きな扉が開くと、40メートル四方の大きなホールがあり、天井にはシャンデリア、壁には絢爛豪華な絵や装飾品等が飾られいる。
前方の奥は階段がありその上には玉座がある。
部屋の周りはロイヤル騎士団が配備されており、金色に輝くゴールドアーマーを装備している。
俺はあまりキョロキョロすると不審に思われるので、気配察知で探りを入れようとすると、一際輝くゴールドアーマーを装備している人物から睨まれる。
うーん、中々だ。きっと、あの人がロイヤル騎士隊長だな。
数歩行くと水色の線が見えたので、俺達はそこで跪き、ロバート辺境伯は黄色の線まで行くと跪いて待機する。
「デミグラード国 第12代国王 バウド・デミグラード陛下の出御!!」
「久しいな、ロバート辺境伯よ。息災か」
「はい、陛下もお元気そうで何よりで御座います」
「うむ。さて、堅苦しい挨拶は抜きにしよう」
「はい、では、早速本題について説明させて頂きます」
「うむ。最近騒がしいミスリル鉱の高騰の件だな。余も気になっていたところだ」
陛下の隣にいる宰相が資料を陛下に渡して説明を始める。
陛下は説明を受けながら時折頷き、宰相に質問しており真剣身が伺える。
「うむ。大体のことはわかった。バンク男爵のナルド家は男爵の爵位を奪爵とする」
おおお、周りにいる公爵から声が漏れる。
「ロバート辺境伯よ。ミスリル鉱の高騰の原因を其方から説明されよ」
「はは」
ロバート辺境伯は、ラムズ侯爵と商業ギルドとのミスリル鉱の売買記録を説明し、エベルス鉱山での密輸により、私腹を肥やそうとしたことがミスリル鉱が高騰した原因であると説明する。
「なるほど。確かにラムズ侯爵は調査する必要があるな」
陛下の言葉にロバート辺境伯が安心していると扉が開かれる。
「陛下、お待ち願います。わたくしラムズは潔白でございます」
親衛隊の制止を振り切って、ラムズ侯爵と護衛の6名が部屋の中へ入ってくる。
「陛下の御前であるぞ。ラムズ侯爵よ、無礼ではないか!!」
声を荒らげ宰相のダイド公爵が言う。
ラムズ侯爵と付き添いの男は、ロバート辺境伯の隣に行くと跪く。
「恐れながら陛下に申し上げます。その資料はロバート辺境伯が商業ギルドから売買記録に基づいて調査した記録でございます。その記録は公式な売買であることを証明しており、何ら問題はございません。従いまして、私が関与したとされるミスリル鉱の高騰には結びつかず、ミスリル鉱の高騰は偶然の産物であります」
陛下は、ラムズ侯爵の弁明を黙って聞いている。
「また、我が領土はミスリル鉱石の採掘から加工まで一貫した産業が成り立っており、ミスリル鉱の高騰は物価を高めるだけで、我が領民を苦しめるだけでございます。私が高騰の計画を企てる意味がありません」
やっぱりそうきたか。
「うむ。ラムズ侯爵の言っていることには一理ある。双方の言い分を収めるためには、さてどうしたものか?」
俺は小声でルミアに話しかける。
「おい、ルミア」
「なに?」
「俺も発言していいのかな?」
「護衛が主君の了解を得ずに発言したら、駄目に決まっているでしょ」
「ふーん、じゃあ、了解を得れば良いのか」
「ちょっ、ちょっと、ノワール君?」
「ロバート辺境伯、私に陛下との発言することをお許し願います」
ロバート辺境伯は驚いているが、俺は陛下の目をじっと見つめる。
「よいぞ。予が認めよう」
「はは、ありがとうございます。では、陛下とラムズ侯爵にお尋ね申し上げます。陛下はラムズ侯爵に今日のことをお伝えしておりますでしょうか? ラムズ侯爵は何用でこの場に来られたのでしょうか? まさか偶然ではないでしょう」
「うむ。余は今日の件、ラムズ侯爵には伝えてはいないぞ。ラムズ侯爵よ。何故、今日の件を知り得たのだ」
返答に困るラムズ侯爵、まさか自分の放った諜報士からの情報だとは言えないだろう。
「陛下にお答え申し上げます。今日の件は、長年に渡りミスリル鉱を取引している商業ギルドの者から、何やらミスリル鉱の高騰の首謀者として嫌疑をロバート辺境伯から掛けられていると聞きました。そこで、ロバート辺境伯の日程を調査して所、今日陛下と謁見することがわかり、自らの潔白を証明するため参上した次第でございます」
「果たしてそうか? ラムズ侯爵の諜報士が俺達の周りを調査していたぞ。それで、どこまで俺達が調査したことを知っているのだ。因みにエベルス鉱山の隠し部屋の移転装置は、ラムズ侯爵邸の地下に繋がっていたりしないよな」
「無礼者!! お前ら如き冒険者が何を言う。私は隠し部屋や移転装置のことは知らない。何を根拠に話している。証拠はあるのか?」
さて、お膳立ては整えたぞ。
「そこの柱の後にいることはわかっているぞ。お膳立ては整えたから、そろそろ出て来てもいいだろ。ロビン」
「ノー 見つかってしまいました、流石はノワールだ」
もしよろしければブックマークへの登録、評価をよろしくお願いします。
評価は下にある『☆☆☆☆☆』より押すことで可能です。
簡単ですので、面白なければ☆1、面白ければ☆5等を是非とも
よろしくお願いします。
ブックマークも頂けると本当に嬉しいです。
作者のモチベーションになりますのでよろしくお願いします。




