第47話 新たな装備
俺とバルクさんは庭に出て対し、俺はクロム製の剣を取り出して構える。
「いつでもいいですよ。ノワールさん」
「随分と余裕だな」
「はい、これでも最近まで盗賊やゴロツキ共を相手にヤンチャしていましたので」
そんなバルクさんを見て頭を抱えるカイン。
カインには、俺が今からやることの想像がつくようだ。
「そうか、それならば耐えて見せろよ。一歩でも動くと本当に死ぬぞ」
周りの空気が変わり、カザトさん達が固唾を飲んで見守る。
スキル威圧を放つとバルクさんの顔は強張り、後ろによろめきそうになる。
「どうだ。さっきまでの余裕はどこにいった? もし、ソアラちゃんが窮地に立たされた時に、そんな根性でお前はソアラちゃんを守ることができるのか!!」
「できる!! 俺は絶対にソアラを守る」
その場から逃げ出したくなるような威圧を、バルクさんは必死に堪えようとしている。
「いい根性だ。いくぞ、奥義 剛重撃破斬!!」
俺はバルクさんに当たる寸前で剣を止めたが、もの凄い剣圧がバルクさんを襲う。
しかし、バルクさんはその場から一歩も動かなかった。
「う、う……」
「バルクさんの勝ちだ」
バルクさんは真剣な顔で俺に言う。
「違う、俺の負けです。俺は動かなかったのではなく、動けなかったのです。実は、ノワールさんの威圧で動けなくなっていました。だから……」
「見事だ!! 俺が本当に見極めたかったのは、バルクさんが自分に正直である漢かどうかだ。凄いよ、バルクさん」
「あ、ありがとうございます」
バルクさんは、目に涙を浮かべながら俺にお辞儀する。
「ソアラちゃん、いい漢を捉まえたな」
「はい、ありがとうございます」
カザトさんやシェリーさんも加わり、バルクさんを讃え合う。
「しかし、ノワールさん。本当に死ぬかと思いましたよ」
「ああ 動いていたら死んでいたかもな」
俺が後ろに向くように合図すると、枯山水が一定方向に遠くの庭の端まで荒らしく波立っている。
まるで、そこは大海原の荒波のようだ。
「俺にはどれだけの剣圧があれば、これほどの威力になるのか全く想定できません。けど、これに耐えたことは俺の自信となります。ありがとうございました」
深々とお礼するバルクさんとソアラちゃん。
本当に良い彼氏を見つけて嬉しい限りだ。
おっさん嬉しくて涙がでてくるよ……
皆は落ち着きを取り戻し部屋に戻ったが、ジェフさんが俺に駆け寄ってくる。
「ノワールさん。あの枯山水は素晴らしく、私は大変感銘を受けました。ありがとうございます」
「いやー、そんなつもりではなかったのだが……」
見当違いなやり取りを見て、皆から笑いが起きる。
「カザトさん。俺からも話があります。実はルミアと付き合っているので、ソアラちゃんとのことは大丈夫です」
「ええ!? それならもっと早く言ってください。私は今日のことで夜眠れなかったのですから……」
まぁ、色々とあったが、丸く収まったようだ。
その後、領主との謁見についてカザトさんと俺達は打ち合わせして解散となった。
俺はカイン達と別れて、ライゼンさんが作った装備を受け取りに王都へ向う。
「ライゼンさん、いるかい」
「おお、その声はノワールか。丁度出来上がったところだぜ。俺の傑作を見てくれよ」
装備を見ると、それが常識を逸脱していることがわかる。
「凄い!! ダンジョンでレアドロップした上級品のミスリル装備より鮮やかな碧色に輝いている」
「あんちゃん、流石に見る目があるねぇ」
俺は装備を鑑定すると、ダンジョンでレアドロップした上級品の攻撃力や防御力を上回り、全ステータスが20%アップ、全ダメージを20%低減の付与効果も付いている。
「ライゼンさん、全ステータスアップと全ダメージダウンで20%の付与効果がついているぞ」
「あんちゃんは鑑定スキルを持っているようだな。だが、流石の鑑定スキルでもわかるまい。この剣の柄には魔核が埋め込まれているだろ。その効果により、あんちゃんの魔法剣をブーストできるぞ。それとだ、あんちゃんが言うように盾と胴着の胸にあるミスリル魔晶石により、付与効果以外に自己修復もある。ちょっとくらいの傷なら、あんちゃんの魔素により自己修復するぞ」
「凄すぎるな」
「ああ、このライゼンが全身全霊を込めた最上級よ。そうだな、売るならミスリル貨30枚だな。Sランク者が着ていても可笑しくない逸品よ」
鍛錬に作り込まれており、ペガサスが翼を広げて大空に駆け上がるような彫刻も見事である。
「あんちゃんのために作ったのだから、ほら、装備して見せろよ」
俺はミスリル装備を一旦アイテムボックスにしまい、一瞬でクロム装備と入れ換えミスリル装備を装着した。
「なっ!! おいおい、あんちゃんは鑑定以外にアイテムボックスまで持っているのかよ」
俺はミスリル装備を装着すると着心地の良さに驚く。全く違和感がなく身体を吸い付くように動き、剣や盾も俺の身体の一部になったような感覚だ。
「うん、俺のイメージ通りだ。本当に凄い!! ライゼンさん、受け取ってくれ」
俺はミスリル貨10枚を渡す。
「おいおい、あんちゃん。この装備は素材を提供され、前金で道具代のミスリル貨を6枚も貰っているのに、こんなに貰うわけにはいかねぇよ」
「貰ってくれ。それに聞きたいことと、作ってもらいたい装備がある」
俺は忍者の装備について色々と聞いてみたが、ライゼンさんでも知らなかった。
そこで、クナイと手裏剣だけでも作ってもらうために、俺は土魔法で作成したクナイと手裏剣を渡す。
「この形と同じように作ればいいのだな。それなら半日もあればできるぞ。あんちゃんはどこかで時間を潰してくれ」
折角なので、俺は武器防具や骨董市場や雑貨屋に行き、忍者の装備がないか探し回ったが、やはりなかった。
これだけ探してもないとなると、上級クラスの忍者が存在自体を知られていないと思えるようになった。
丁度、半日が過ぎてライザンさんのところに行くと、イメージ通りにクナイと手裏剣は仕上がっていた。
「クナイと手裏剣はそれぞれ100本でいいのだな。無くなったらいつでも言ってくれよ。あんちゃんの装備なら他の仕事を止めて作るぞ」
「ああ、ありがとう。この装備は大事に使わせて貰うよ」
俺はライゼンさんにお礼を言うとコートダールに帰るのであった。
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