第43話 忍具を作りたい
さて、忍者にクラスチェンジしたところで、色々と鑑定してみる。
まずは強さの上昇率だ。
下級クラスを基準にすると中級は1.5倍、上級が2倍であることがわかる。
武技は刀技があり、刀を装備した際に発動できるが、肝心の刀がどこにも売っていない。それと、 スキルの二刀流は、両手で2本の武器を自由に扱うことができる。
二刀流は忍者だけだと刀以外では使用できないようだが、俺はクラスを同時に3個も設定できるので剣でも使用できるので問題ないだろう。
スキルの瞬地と忍び走りは想像通りで、瞬間移動と移動の際に音や気配等を全く出さないので、これに刀技の居合を合わせたら敵に気が付かれることがなく、息の根を射止めることができそうだ。
最後の忍法は使用するためには忍具が必要で、忍具は魔石と素材を錬金で製作できる。
投擲はクナイや手裏剣等を扱えるそうだが、これも武器屋に売っていない。これは、消耗品だから鍛冶ギルドに依頼して作ってもらうしかないな。
よし、武器と防具を製作するのは時間がかかりそうなので、忍具を作ることに決める。
では、錬金ギルドへGo!!
◇
「こんにちは、錬金ギルドにサブ登録するのはどうすればいい?」
「はい、こんにちは。私は受付のマルセです。冒険者で錬金ギルドにサブ登録するのは珍しいですね。ギルドカードを拝見させてください」
マルセさんはギルドカードを見ると、顔色が変わり焦り始める。
「ちょっ、ちょっとお待ちください。上の者が対応します」
俺は個室へ案内される。
後でマルセさんに聞いたら、Bランク者は優遇処置があり個室で対応するそうだ。
なんかあれだ。昔、海外出張が多くて飛行機会社の上級ステータスを取った時、専用カウンターやラウンジが無料で利用できたのと同じだな。
「私は試験官のラスクです。ノワールさん。今日はサブ登録となりますと、筆記試験と実技試験がありますが、受けていきますか?」
「試験内容がわからんが、受けても良いのか?」
「筆記は錬金術に必要な計算問題で、実技はレシピと製作方法が記載された資料を元に製作して頂きます。でも、事前の勉強も無しで、それに冒険者では無理かも…… 」
俺がBランク者なので遠慮して言ってはいるが、所詮冒険者が受かるわけないでしょと言われているようで、なんか腹が立ってきた。
「受けますよ」
俺は受験料の金貨3枚を渡して受けることにする。
えーと、筆記は中学生レベルの算数問題であった。
例えば、いやし草の汁18グラムと聖水200グラムを混ぜると濃度何%のポーションができますか?とかで、応用問題はそれらを混ぜ合わせた場合の計算である。
昔数学が得意で中学生の算数で家庭教師をやっていたので、これくらい問題は容易いのさ。
試験時間が2時間のところ40分で終わらせる。
「諦めるのが早いですね。もう、すこし粘るかと思っていましたが!?」
と言っていたラスクさんの顔色が変わる。
「少々、お待ちください」
答案用紙と解答用紙を何度も見比べるラスクさん。
「す、凄いです。100点です」
ラスクさんは急いでギルド室に入るが待っても戻って来ないので、俺はマルセさんに連れて工房へ向かう。
何人かの職人が俺のことを見ており、遅れて来たラスクさんと一緒にいるエルフの女性は、俺のことを注視する。
「遅れましてすみません。次は実技を試験しますので、そこにある道具と素材でポーションを作ってください」
道具は中学生の理科で実験に使ったビーカーやフラスコ、魔石ランプが置いてあり、資料を見ると素材からエキスを抽出して、濃度になるようにポーションを完成させるようだ。
俺は道具と資料を確認すると問題を発見した。それは、抽出、蒸留、混ぜ合わせる等で失われる量が書いていないので、出来上がりにムラや違いができてしまうことだ。
しばらく考えて、それならば道具を使わないで、全て魔法でやれば失われる量がわかるので正確に調合できるはずだ。
風魔法、水魔法、火魔法を発動させ、器用に空中で調合していく。
「おおお」
「なんだよあれ、あんなのみたことがないぞ」
「あれでまともに調合ができないだろ」
今や俺の周りには職人達が群がり注目の的である。
そんなことはお構いなしに、次々と素材を入れて調合していく。
「ふぅ、出来上がった」
ラスクさんにポーションを渡すと、俺のことを注視していたエルフの女性にポーションを渡す。
「こ、これは、ハイポーションよ、しかも、最上級よ!!」
「おおお」
周りの職人達から驚きの声があがる。
どうやら完璧に抽出や調合ができたせいで、本来濃度に多少誤差があっても製作できるポーションだが、最上級のハイポーションを作ってしまったようだ。これも俺のオリジナルスキルで幸運による成功率の上昇と、不運による失敗率の低下による効果だろう。。
「私は錬金ギルドのギルドマスター セリアです。私がギルドマスターになってから、初めてこの試験で最上級のハイポーションができるのを見ました。Bランクの錬金職人でも難しいですし、ましてや魔法で作るなんて前代未聞です」
「それは合格と受け取ってよいのか?」
「当然です。貴方、冒険者をやめて錬金ギルドに入りなさい。すぐにでもBランクにします」
「それは勘弁してくれ。俺は冒険者だからな。それにそんなことしたら、他のギルドが黙っていないと思うからやめておいた方がいいぞ」
「他のギルド? あなたの名前を教えてくれるかしら」
「俺はノワール。カザトさんところで厄介になっている者だと言えば、多少はわかるかな」
「ああ、貴方がマスクやトンボ、クレープで販売権を持っているノワールさんね。確かに移籍したら他のギルドが黙っていないわね。わかりました、貴方をCランクでサブ登録しましょう」
「ありがとう」
俺がCランクでサブ登録されたことにより、驚きを隠せない職人達であったが、俺の素性を知ると皆納得したようにそれぞれの職場へ戻っていく。
「セリアさん、ちょっと聞きたいことがあるので、後で行っていいか?」
「いいわよ」
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