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第4話 試練に打ち勝て


 俺は早朝から外に出て、残念女神を呼んでみる。


「おはよう、戦闘系を覚えたいので、誰か先生を頼むよ」

「はーい、今日は、伝説級のSSSランクである剣聖トルクを呼びますね」


 賢者の次は剣聖か……


 家の中が突如明るく光ったかと思えば、扉から今度は男性のご老人が現れた。


「この世界は久しぶりだな。儂は剣聖トルクだ」

「俺はノワールです。ご指導のほどよろしくお願いします」


「そう固くならんでよいぞ。気軽に接してくれ」

「わかった」


 でもな。トルクの身体から何かが出ており、俺はどうしても委縮してしまう。


「ん? ああ。悪い。闘気を抑えるのを忘れておった」

「おお、なんだか身体が軽くなりました」



「さて、時間も限られている。まずは、この世界での戦闘の極意を教えるぞ。極意は三つあり、一つ目を教える。剣を持て」


 トルクは右手を上にかざすと空間から剣が現れる。


「それはアイテムボックスですか?」


「良く知っているな。アイテムボックスのスキルを持っている者は全体の1割程度だ。アイテムボックスを持ってない者は、錬金術で作った収納袋を持っている。だから、収納袋は冒険者の必需品だぞ。家の中の収納棚に置いてあると思うが見てないのか?」


「なかったような」


 ああ、残念女神と俺は天を仰いだ。



「まぁ、アイテムボックスと収納袋は、使い方を覚えておいたほうが良いぞ。さて、剣を受け取れ」


「では、行くぞ。剣を構えろ。一つ目の極意だ。見事、試練を乗り越えてみせろ!!」

「試練?」


 俺は剣を構えてトルクさんを見据えた。


 闘気を抑えたとは言え、未だに凄い威圧を感じていると、一瞬でトルクさんの姿が視界からブレて消える。


『ヒュッ!!』


 風を切る音。

 左手に違和感。


 俺は音がした方向を見ると、俺の左手首から上が無くなっていた。


「うぉおおお――」


 俺は止血するために、右手で左手首を強く握る。激しい痛みと左腕の麻痺を感じ、俺はその場にうずくまってしまう。


 トルクさんへの怒り、死への恐怖、さまざまな感情が溢れ、俺は身体の震えを止めることができない。


「すまんな。でも、これが一つ目の極意に必要不可欠だ。この世界は、お主が思っているゲームのような世界だが、現実は切られれば痛いし、血も出るし、死への恐怖も感じる」


「…… うっ…… 確かにそうだが……」


「そろそろ痛みは感じなくなってきて、腕の痺れだけを感じていないか? ここは異世界だ。元の世界とは違う。深呼吸して感じろ。お前ならできる」


「……無理かも」

「できると信じているぞ、実は儂も転生者だ。そして、お主と同じ日本人だ」


 俺はトルクさんが転生者で、しかも日本人だと知った瞬間、自分でも驚くほど冷静になれた。確かに左腕の痺れはある。でも、先程よりも出血は少なく、今では痛みがほとんど感じられない。


「落ち着いてきたな」

「ああ、だいぶ落ち着いたよ。でも、左腕が痺れ、ほとんど感覚がない」


「それで良いのだ。やはり、転生者は適応能力があるな。よし、これからが本番だ!!」


 トルクさんはアイテムボックスから何本か小瓶を取り出し、中に入っている液体を俺の左腕に振りかけた。


「まずは、ポーションだ。これは軽度な切り傷や止血効果がある」


 傷口の血が止まる。


「次にハイポーションだ。これは骨折や部位損失以外を回復できるぞ」


 傷口は塞がり痛みも無くなり、左腕を自由に動かせるようになる。


 トルクさんは、俺の左手首を持ってきて左腕に付ける。


「そして、これがマキシマムポーションだ。命に関わる怪我や腕を切断されても、直ぐであればこれで治せる」


 おお、俺の腕と手首がつながり、動かせるようになった。


「まだだぞ。身体がだるいだろ。それは、血液が失われたからだ。解決するためには、このエナジーポーションを飲め」


 俺は言われた通りエナジーポーションを飲むと、直ぐに身体が軽くなり効果を実感する。。


「極意の一つ目は、これを体験してほしかった。なぜなら、これを体験する時は生か死の境地に立たされている時が多いからだ。実際、戦闘中であれば深呼吸する暇なぞないぞ」


「確かにそうだ。それにしても事前に言ってくれ、心の準備が出来ていないし酷いだろ」


「心の準備が出来れば問題ないと。むしろ、事前に言ったら、お主はどうするつもりだった」


「すまない、返す言葉がない。でも、痛いのは嫌なんだよ!!」


 俺は、あまりの痛さに逆切れしてしまうのであった。

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