第33話 名工 ライゼン
翌朝、俺はホテルのロビーに行くと既にルミアさんが待っていた。
「おはよう、ノワール君」
「おはよう、ルミアさん」
俺はルミアさんの服装に驚いた。
もっと派手な服装かと思ったら、意外と清楚な落ち着いた感じで、気品さえ漂っている。
「どう、ノワール君。似合っているかしら?」
「はい、とっても素敵です」
「ありがとう。これでも一応は貴族の出身だからね。あっ、この事は皆には内緒よ」
ルミアさんが貴族出身と言うことに驚いたが、何かわけがありそうだ。
まぁ、内緒なので黙っておこう。
「ねぇ、ノワール君、どこに行きたい?」
ノワール君は私とどこに行きたいのかな。
ちょっと、ドキドキするわ。
「鍛冶ギルドに行きたいかな。俺の装備がかなり使い込んでいるので、そろそろメンテナンスしたいと思っている」
あああ、ノワール君に期待した私がバカだったわ……
鍛冶ギルドに着くとルミアさんが俺に忠告する。
「ここの鍛冶ギルドのギルド長は腕が良いけど、口が悪いのが玉に瑕なのよね」
俺達は鍛冶ギルドに入り装備品メンテナンスの受付に行くと、お姉さんではなく強面のドワーフのおっさんが受付をしている。
「あんちゃん、ようか?」
「ああ、装備のメンテナンスをしれくれ」
俺が鋼の装備を一式カウンターに置くと、ドワーフは隅々まで装備を確認する。
「あんちゃん、ランクは?」
「Cランクだ」
「Cランク? もっとランクが高いと思ったぜ。そうだな、Bランク、いやB+か」
鋭い!!
確かに俺のスタータスはB+ランクに相当するが、それを装備の使い方を見て言い当てるとは驚きだ。
「あら、なぜ、B+ランクと思うの?」
「お姉ちゃんの彼氏かい? いい男を捕まえたな」
「あら、見る目があるじゃない」
「この装備だが使い方が実に旨い。強度が一番強い所で防御して、防具の性能を最大限に活かしている。剣も同じで剣筋に無駄なく力が入り、切れ味を最大限にしている。それにだ、装備の手入れが行き届いているから、装備冥利に尽きるってもんだ」
「ノワール君、やるわね」
「これだけ装備を上手く使っているからB+ランクだと言ったのだ。理由がわかったかい、お姉ちゃん。ただ、この装備だとそろそろ買い換えた方がいいぞ。あんちゃんの能力に装備の性能が追い付いていないだろ」
俺が鍛冶ギルドに来た本当の理由を言い当てられた。
このドワーフはできる。
「そうだな。あんちゃんならワンランク上のクロム鉱、金、銀等を使った装備が良いと思うが、俺の見立てではミスリル鉱、魔鉱石、ダマスカス鋼の合金で作った装備一式が良いな。あんちゃんは魔法も使うだろ?」
「良くわかるな。俺は魔導剣士だ」
「はっ、魔導剣士だ!? そいつは久しぶりに聞いたクラスだ。確か150年前振りで、そいつはA+ランクの冒険者だったな」
「へぇー そんな人もいたのか」
「よし、決めた。あんちゃんの腕ならいずれ金を貯めることができるだろう。ミスリル貨3枚で良いから俺が作ってやろう。どうだ格安だろう」
「ミスリル貨3枚が安い?」
前世の金額だと3000万円だぞ……
「ああ、普通売っているのはミスリル貨5枚になるぞ。なにせ、Aランク者の最高装備品だからな。それに、このライゼンが作るのだから業物だ」
奥から可愛らしいお姉さんが出てくる。
「あああ、またライゼンさん!! あれ程、受付はしないでっていたでしょ。貴方は愛想がないので、お客さんが減るでしょ。まったく、ギルド長なのだから、もっと立場をわきまえてください」
この人は鍛冶ギルドのギルド長だったのか。
「おい、ノワール。金が貯まったら必ず来いよ。お前なら使いこなせるはずだ」
「ああ、きっとまた来るよ」
「そうか。この装備は俺がメンテナンスを夕方までに仕上げるから、精々お姉ちゃんと楽しんで来いよ」
「ふふふ、任せて」
ルミアさんは俺の腕を抱えながら、鍛冶ギルドを出るのであった。
装備をメンテナンスする予定ではあったが、思わぬ所から新装備の目途が立ってよかったな。
俺はルミアさんの胸の感触を腕に感じながら考える。
「ルミアさん、お金を貯めるならば、どこのダンジョンが良いかわかります?」
「うん、エベルス鉱山の近くのダンジョンが良いわね。鉱石や魔獣のレアドロップ品は高価な物がでるので人気かな」
「それならエベルス鉱山の情報を聞きに行きたいな」
「いいわよ。地図屋へ行きましょう」
さっきから俺の左腕に抱きつくように歩くルミアさんだが、こんな俺でも良いのだろうか?
中身はおっさんだぞ。
「何かさっきから左腕に当たっているのだが…… 」
「もう、若いのだからそんなことは気にしないの」
どうやら良いらしい。
そうだよな。外見は28歳で身長は175cmの細マッチョでイケメンなのだから。
よし、これからは中身おっさんの考え方はやめて28歳のノワールとして、生きて行くことに決めた。
折角の二度目の人生だし、気持ちを切り替えてこれからは楽しむぞ。
俺達は地図屋を行ってから、ルミアさんに王都を案内してもらった。
「恋人のような感じで楽しいね。洋服とか買いたいから付き合ってね」
「いいぞ」
次の日も俺達は恋人のように腕を組んで笑いながら、ショッピングや食事して王都を満喫するのであった。
「さあ、みなさん出発の準備を大丈夫ですかな?」
カザトさんが旅の確認している中、ナシャさんが気が付く。
「あら? ノワール君とルミア。なんで腕を組んでいるのかしら?」
しまった。二日間、腕を組んで歩いているのが普通だったので、気が付かなかった。
「ふふふ、内緒よ」
意味ありげに笑うルミアさん。
「やるじゃないか、ノワール。ルミアは一見すると派手に見える女性だが、結構真面目で今まで男を寄せ付けなかったからな」
カインが笑いながら話す。
俺はカインの言葉を聞きながら、真面目な顔でルミアさんを見ている。
「またー そんな真面目な顔でガン見されると恥ずかしいでしょ」
「ふふふ」
俺の困った顔をしていると、ナシャさんが笑っていた。
馬車が王都を出発して4日目が過ぎ、道中で下級の魔獣がでたが問題なく討伐ができた。
あと1日でコートダールに着くが、それは突如として起こった。
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