第32話 正直に教えて
カインとナシャさんの関係が公になってからは、二人でテントに入って野営している。
ロイドとアンナは女性陣が使っていたテントを使い、何故か俺のテントにはルミアさんが入ってくる。
ルミアさんがテントの中で真剣な顔で俺に聞いてくる。
「ノワール君。貴方の成長速度は異常過ぎるわ。この前に盗賊に襲われた時とは別人のような強さよ」
「そうか?」
俺が適当に答える。
「私は魔法士。ノワール君は魔法戦士だったよね。だけど、魔法は命中率や効果が圧倒的に貴方の方が上。魔法が専門クラスの魔法士を魔法戦士が魔法で圧倒することはあり得ないの。正直に教えて!!」
「何を?」
ルミアさんは大きなため息をつく。
「ノワール君の急激成長は経験値アップの効果よね。まさか、禁断の魔導具に頼っていたりしない? 誰にも言わないから教えて!!」
ルミアさんがあまりにも鬼気迫るように質問してくるので、俺は正直に答える。
「安心してください。経験値アップは俺のスキルのお陰です。どうやら渡り人の俺には特別なスキルが備わっているようだ。これは内緒ですが、俺は魔法戦士ではなく、既に中級クラスの魔導剣士になっている」
「魔導剣士!? 本当に?」
ルミアさんは、俺の目をじっと見つめる。
「わかったわ。ノワール君、真実を話してくれてありがとう。私はノワール君が急激にも強くなり過ぎたので心配なの……」
「すまない」
「それにしても魔導剣士だったとは。驚いた、道理で強い訳ね」
「ところで禁断の魔導具って、どんな物だ?」
「禁断の魔導具は、通常の付与効果では得られない効果をもたらす半面、使用者の体に大きな影響を与え命に関わるような代償を伴う装備よ」
「そんな物騒なものを、どうすれば手に入る?」
「ダンジョンよ。ダンジョンは気まぐれ。禁断の魔導具は、ランクに関係なくドロップする時があるけど、ドロップさせた者がその場で装備しなければ効果は発揮されないの。だから、代償は装備した後にわかるのよ」
「それは物凄くリスクが高いな」
「でもね、その効果が常識外れであるので、冒険者の冷静な心を惑わすのよ」
「実際、装備した人はいるのですか?」
「何人もいるわ。森の木漏れ日と言う宿屋の女将から聞いた話では、昔一緒に冒険していたメンバーが装備して、ノワール君と同じように急激に成長したそうよ」
「それで、その代償は?」
「身体の魔素が乱れてひとりしか子供が産めない身体になって、その子が20歳になり成人を迎える時には死ぬ運命よ」
「それは酷い代償だ」
「だから、私は心配したの。でも、安心したわ」
緊張の糸が切れたのか、ルミアさんはそのまま毛布に包まって横になる。
「ノワール君、正直に話してくれてありがとう。お休みなさい」
「お休み、ルミアさん」
どうやら俺は誰にも心配を掛けずになるべく過ごして来たと思っていたが、それは思い上がりだったようだ。これからも同じようなことが起きると思う。
でも、これが人と係わっていく中で必然的に起きることなのだろうと思いながら、眠りにつくのであった。
◇
翌朝、俺が微睡の中にいると、何か柔らかい物が俺の右手に収まっている。
何だこれは? もみもみ。
「あん、ノワール君ったら朝からお盛んなのだから」
「うおぅ!!」
俺はベッドから飛び起きる。
「ルミアさん、何で俺の毛布の中に入っている!! それも下着姿で」
「ふふふ、昨日、ノワール君が正直に話してくれたので、そのお礼にと」
「そう言うのは勘弁してくださいよ」
ルミアさんは悪戯気に舌をぺろっと出す。
「ところで、ロイドさんとアンナさんの方は一緒で問題ないのかな?」
「ふふふ、言ってなかったけど、あの二人はできているから」
「えええ!! そうなのですか? 全然そんな素振りなかったですよ」
「だ・か・ら、私達も仲良くなりましょうよ」
下着姿で俺を追い掛け回すルミアさん、俺は朝から何をやっているのだ……
そんなこともあったが、盗賊から襲撃を受けた後は、特に問題なく馬車は進み、王都が見えてくる。
◇
「でかいな。ここから見ると凄く大きな町、いや都市だ」
俺が王都の大きさに驚いていると、ルミアさんが王都について説明を始める。
「ええ、王都 デミグラードは、広さだとコートダールの五倍ぐらいはあるわ。中央には 王宮があり、王宮を取り囲むように上級貴族区、更に囲むように第二の城壁があり近衛兵を配備されているわ」
「へぇ――」
「そして、西に下級貴族区、北には運河がある商業区、東にギルド区、南に住宅区ね。最後に第一城壁で東西南北に城門があり衛兵を配備され、城壁の外には八つの村があり作物や酪農等で王都の食料を賄っているわよ」
「凄いな」
「王都を横断するだけでも徒歩で半日はかかるから、乗り合い馬車があるわよ」
城門に着くとギルドカードを提出して町の中に入る。
コートダールよりも道が整備され、町中も碁盤の目のように建物が建てられている。
建物は、ヨーロッパのような建築物が多いが、中には中国風や日本家屋のような建物まである。
「みなさん、着きましたよ。ここが取引先のドラムーン商会です」
カザト邸と同じような大きさの邸宅があり、執事やメイドが迎えてくれた。
一人の男性がカザトさんと話し、ジェフさんは執事と久しげに話してから俺達の方にくる。
「この紹介状を持ってホテル エンパイアに行けば無料で泊まれるように手配しました」
「おい、これは凄いぞ。ホテル エンパイアと言えば五つ星ホテルだ。一泊 金貨1枚はするぞ」
ナシャさんは興奮するカインを落ち着かせる。
俺は白銀の翼のメンバーと一緒にホテル エンパイアに向い中に入り部屋に着くと、豪華な部屋で、食事はいつでも食べられて無料となっている。
流石は五つ星ホテルだ。
俺が気にいったのは大浴場にサウナ、まさか異世界に来てサウナがあると驚きだ。
ルミアさんがディナーに俺を誘ってくれて、ドレスアップしたルミアさんはとても綺麗だ。
「ルミアさん。そのドレスは凄く似合っていて素敵です」
「ふふふ、それは私を口説いているのかしら、ノワール君」
「口説いていると言うか、俺は素直に似合っているから素敵ですと言ったまでだ」
俺はなんだかからかわれているようで、ちょっとムッとしたので真顔で言う。
「もう、そんなに真顔で言わないで」
ルミアさんは、少し照れながら笑っている。
ノワール君って、年下の弟君って感じなのだけど、時々年上のような感じを見せるのよね。
「ねぇ、ノワール君。王都は初めてでしょ。明日、用事がなければ案内してあげるわよ」
「はい、お願いします」
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