第29話 枯山水とトンボ
俺はカザトさんと一緒に調理ギルドに行くと中に入る。
「カザトさん、お待ちしていました。そちらの方がノワールさんですか?」
「そうだ」
「初めまして、私は調理ギルド長のメルクです。早速ですがクレープ作りをお願いします」
俺が調理室に入ると既に調理器具や材料が揃えられていたので、俺は作り方を説明しながらクレープを焼き始めると調理場にはクレープが焼ける香ばしい匂いが漂う。
「ほら、出来たぞ」
メルクさんに渡すと、待ちきれなかったとばかりに勢いよくかぶりつく。
「うむ、これは美味です」
そう言うと、一気にクレープを食べてしまった。
「まさか、クレープがこれほどの食べ物かと想像していませんでした。新レシピで認定しましょう」
カザトさんは、クレープが新レシピに認定されたので一安心しているようだ。
「カザトさん、このクレープのレシピと調理器具を一緒にして販売権を登録しましょう。レシピは調理ギルドで扱いますので、カザトさんのマラッカス商会で調理器具を扱ってください。あと、ノワールさんは調理ギルドのDランクとしてサブ登録しますので、手続きしてください」
「わかりました。ノワールさん、販売権はカイトの条件と一緒で良いでしょうか?」
「一緒では駄目だ。教会の人達と手伝っている獣人達には、無償でレシピと調理器具を扱えるようにしてほしい」
「そうでしたね。出店の件がありますので、販売権を登録する際に追記しましょう。それにしても、ノワールさんはいつも営利目的ではなく、困っている人のために尽力されるのですね。このカザトも全面的にバックアップしましょう」
そう言うと販売権の契約ために、メルクと一緒にギルド長室に入って行った。
俺は調理ギルドのDランクとしてサブ登録を完了してカザトさんを待っていると、ギルド長室のドアが開く。
「ノワールさん、未だ時間がかかります。カザトが対応しますので、よろしければ退出しても大丈夫です」
「そうですか、それでは木工ギルドに行ってから戻ります」
俺は木工ギルドに行くのには目的がある。
それは、カザト邸の庭とクレープを作っていてあることを思い出したからである。
クレープを作る道具にトンボがあったのだが、大きさは違うが良く似た熊手がある。
カザト邸には、ガーデニング用の庭があるのだが、防犯用に白い玉砂利が敷き詰めてあったのが、そこだけでは殺風景だ。
そこで、ふと思ったのが枯山水のようにしたら面白いと思った。
そう、俺が木工ギルドに行くのは枯山水用のトンボを作るためである。
俺は木工ギルドに入ると、木工ギルド長のデビットに声を掛けた。
「久しぶりです。デビットさん」
「おお、久しぶりだな、ノワール。今日はどうした?」
「実は作りたいものがあるので、手伝ってくれ」
俺は枯山水のことや枯山水用のトンボについて説明する。
「落ち葉集めや農業用の熊手があるので、改良すればトンボを直ぐに作れるぞ」
俺はギルドの職人と一緒にトンボを作って、費用として大銀貨3枚を支払う。
「おい、カイトと同じように金儲けの臭いがするな」
「当たるかどうかは微妙だぞ。もしかしたら、豪商や貴族等の金持ちが買うかも知れないが、当たれば儲けはでかいな」
「お前のことだ。俺は当たると思うぞ。明日で良いので、カザトさんに販売権の契約を結びたいので、直ぐに来るように言っておいてくれよな」
俺は気が進まないが、カザトさんに相談することをデビットに伝えてカザト邸に戻った。
まだ、カザトさんは戻っていなかったので、執事のジェフさんに断って枯山水を作って見せる。
昔、京都で枯山水の作成を体験してから一時期夢中になっていたので、直ぐに作ることができた。
「よし、久しぶりに作ったけど我ながら良くできたぞ」
俺がトンボで枯山水を作るところを、ずっと見ていたジェフさんは興味津々だ。
「この模様と風景は一体何でしょうか?」
「これは枯山水と言って、水を用いず、地形や砂礫、石のみで山水を表現している。線は水の流れや波紋です」
「素晴らしいです。私はガーデニングが大好きで旦那様に言って、この庭園を整備させて頂いております。その他、勉強のために色々な庭園を見て参りましが、このようの表現された庭園は見たことがありません。是非、私に枯山水の表現方法を教えて頂けないでしょうか?」
「良いですよ」
俺はジェフさんと一緒に枯山水を作りながら、ジェフさんに色々なことを教え終わった時に、カザトさんが帰ってくる。
「ジェフ、この庭園に書かれている模様は何だ?」
「はい、これは枯山水と言ってノワールさんが作られました。旦那様、私に庭園で枯山水を作ることを許可して頂きませんでしょうか? この枯山水は庭園できっと流行りますので、今のうちに腕を磨きたいのです」
「お前がそこまで言うのであれば許可しよう。立派な庭園にしてくれよ」
「かしこまりました」
ジェフさんからは凄くやる気に満ちた闘気を感じる。
いつもの冷静沈着のジェフさんからは想像できないな。
「ノワールさんは、このトンボを作るために木工ギルドに行かれたのですな?」
「はい、そして察しているかも知れませんが、木工ギルド長からは販売権の契約を結びたいと言われていて、すみません」
「いえいえ、商売人と嬉しい限りです。調理ギルドとの販売権の話は終わりましたので、それでは明日にでも木工ギルド長と話してみます」
「助かります」
俺は宿に戻ってベッドの中で、長年庭園を管理していたジェフさんが夢中になるのだから、きっとトンボは売れるだろうと思いながら寝るのであった。
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