第24話 MPK
俺はダンジョンに入ると、マッピング、鑑定、気配察知、隠密、身体強化を使う。
既にマッピング、鑑定、気配察知、隠密は常用スキルで使えており、身体強化は使い続けてもあまり苦にはならないようになっていた。
順調に下層に進んでいくと、一層から四層までが、コボルト、ウルフ、ゴブリン、ボアの魔獣で、大体湧く位置も各階層で同じであることがわかった。
途中、ソロやパーティーで狩っている者達がいたが、移動の途中で襲われたりするので、結構苦労しているようだ。
俺はと言うと、マッピング、鑑定、気配察知のお陰で簡単に探索することができる。
まぁ、俺のオリジナルスキルで幸運10倍、不運1/10があるので、その効果により俺の都合が良いように動けているのかも知れない。
五層はセーフティーエリアと聞いていたが、そこには監視小屋やテント設営場所、おまけに屋台や武器防具のメンテナンス用鍛冶屋等まであり驚かされる。
まぁ、商魂逞しい。
六層からレベリングするので、俺の拠点はしばらくここになるな。
俺は監視小屋に行き、三か月のテント設営費を金貨3枚払って場所を確保した。
さて、準備は整ったぞ。まずは、レベリングを開始だ。
俺は六層の入り口に行くと、既にパーティーが狩りをしていたので、別の場所を探すと、反対側の七層の入り口が空いているので移動する。
移動しながらマッピングで確認すると、下層の上位種であるゴブリンマジシャン、ゴブリンソルジャー、ジャイアントバット、ベアー、グレートウルフ、グレートボアがいることが確認できた。
大体D~C+ランクの魔獣だ。
俺のレベルと比較すると同じか上だが、スキルや魔法を使えば負けることはないだろう。
俺に取っては丁度良い相手だ。
俺のレベリングは今まで戦ったことがある魔獣もいるので順調だったが、一か月すると拠点でパーティーのリーダーらしき人物から声をかけられた。
「俺達はランクDのパーティーで覇王の灯火だ。お前は強そうだから、俺達のパーティーに入れてやってもいいぞ。どうだ入るか?」
うわー、面倒臭いパターンのヤツだ。
「いや、俺はソロの方が気が楽だし、誰ともパーティーを組む気はない」
「そんなことを言うなよ。パーティーを組めばレベリングする上で安全だし、アイテムの報酬だって一割分配するぞ」
「おい、計算が可笑しいだろ。お前達は4人パーティーなのに、アイテムの報酬が一割だって? それに俺の方がレベルが高いと思うぞ」
「そう怒るなよ。最初はお試し期間中だから一割だ。様子を見て報酬をアップするぞ」
後ろにいるメンバーが、ニヤニヤしているので本当かどうかも怪しい。
「話にならないな。他を当たってくれ」
「はぁ、俺達が誘ってやっているのにお前は何様だ!!」
知らんがな。正直面倒だ。
「ああ、なんだ喧嘩売っているのか?」
と言うと同時に俺はスキルで威圧を使うと、リーダーが冷や汗を垂らしながら言う。
「ちっ!! お前ら行くぞ」
『なんだあいつ? ルーキーでそんなには強く見えないが、凄いプレッシャーを感じたぞ。まぁ、いいや』
『生意気なルーキーだな。黙って、俺らの奴隷になれば良いものを。例のヤツを明日仕掛けるぞ』
『ああ、あいつのビビった顔が早く見たいぜ。ひゃひゃひゃ』
何やらコソコソと話しているようだが、俺には聞こえているぞ。
俺はこいつらに気付かれないように鑑定で確認すると、二人が戦士、魔法士、治癒士でレベルが25前後だ。
パーティー構成は良いのだが、中身が腐っている。
パーティーを組む際にお互いを信頼しなければならないのに、お前らは俺を奴隷のように扱えると勘違いしている。
そういえば、MMORPGの時もプレーヤーをNPCのように扱っているヤツがいて、掲示板で大炎上していたな。
まぁ、念のためマッピングでマーカーすれば、あいつらの位置がわかるので仕掛けられても問題はないだろう。
◇
翌朝、昨日と同じように七層の入り口で狩っていると昨日のあいつらが現れ、俺の近くで狩りを始める。
俺はあいつらが何か仕掛けてくると思い、ギルドカードで録音を開始すると、早速あいつらが仕掛けてくる。
それは、定番の擦り付けによるMPKだ。
俺が矢で釣るのと同時に釣って、魔獣の挙動と習性を利用して複数の魔獣を俺に擦り付ける。
何だよ。グレートウルフが1匹だったのが3匹になったよ。
でも、あいつらの方にも2匹のグレートウルフが向かっていったな。
あいつらレベル25程度で2匹は少々厳しいだろうと考えていると、覇王の灯火のメンバー達がこっちへ向かって走って来る。
「すまん、リンクしたので俺達は逃げるぞ」
と言ってはいるが、逃げることを前提にして釣ったとしか思えない行為である。
魔獣に囲まれて逃げきれなければ、弱い冒険者だったら最悪死ぬ行為である。
「エリアパラライズ」
俺はあいつらの姿が見えなくなったことを確認してから魔獣達を麻痺させ、ストレス発散のためスキルを発動させ、武技の真空連撃刃でグレートウルフ達を瞬殺した。
「おい、お前達。あれは俺達がわざとやったってバレていないよな」
「ああ、リンクのタイミングはバッチリだし大丈夫だろ。あいつ今頃ブルってるぜ」
「そうだな、ははは」
「ざまあみろ、俺達の誘いを断るからこうなるのだよ」
覇王の灯火のメンバーは余裕を装っていたが、待っていても俺が逃げてこないので不安になる。
「おい、まさか死んでないよな?」
「ああ、転移石もあるし大丈夫だろう。ちょっと、戻ってみるか」
俺はと言うと平然と狩りを続けていた。
「さっきはすまんな。ところで魔獣はどうしたのだ」
「ああ、狩ったよ」
覇王の灯火のメンバー達は、俺が平然と答えたのであっけに取られる。
「おい!! 次に同じようなことやったら許さないからな」
「ああ、わかっている。すまなかったな」
覇王の灯火のメンバー達は、遠くで俺に聞こえないように相談しているつもりのようだが、身体強化と集中のスキルを使っている俺には聞こえているぞ。
『なんだよ、あいつは。全く応えていないぞ。それに5匹のグレートウルフを一人で相手にして無傷な訳がない』
『狩ったのはハッタリだ』
『そうだな、もう一回やるか。次はグレートベアーでも擦り付けてやるぜ』
『ひゃひゃひゃ、今度はあいつ漏らすぞ』
しばらく様子を見ていた覇王の灯火のメンバー達だが、俺がグレートベアーを釣った後、4匹のグレートベアーをリンクさせ、こっちに向かって来た。
「またやっちまったよ。今日は厄日だぜ。悪いが俺達は逃げるぜ」
お前らのやり口はわかっているし、俺が見逃すわけないだろう。
俺はあいつらに気付かれないように、エアーウォールを唱えてあいつらが逃げられないようにしてから、スキル威圧を発動する。
「おい、やばいぞ。グレートベアーが全部こっちに来たぞ」
「なんで、あいつが釣ったグレートベアーもこっちに来るのだよ」
急いで逃げる覇王の灯火のメンバー達は完全に気が動転する。
「痛っ、なんでこんなところに見えない壁があるのだ」
「おい、早く進めよ」
「ぎゃゃゃ―― やられる、助けてくれ」
「もう、わざとリンクさせないから助けてくれ――」
横に逃げればエアーウォールを回避できるのに、慌てるのでグレートベアーに追い付かれボコボコに殴られている。
今や覇王の灯火のメンバー達の命は、俺が助けなければ風前の灯火だ。
俺は頃合いを見て、エアーウォールを解除してやる。
「おい!! こっちから周り込めば逃げられるぞ、ついて来い」
覇王の灯火のメンバー達は階層をチェンジして逃げることに成功する。
「悪いな、助かったよ」
覇王の灯火は、急いで治療士によるハイヒールやハイポーションを飲んで回復する。
「おい、さっき逃げる時に言ったことを覚えているな」
「知らねえな」
「はぁ、覚えてねぇーよ」
俺はギルドカードを指で指すと、覇王の灯火の顔つきが変わる。
「おい、おまえらこいつを取り囲め」
「お前が素直に言うことを聞いていれば、こんなことにはならずに済んだのにな。残念だよ」
周囲に殺気が帯びる。
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