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第16話 クエストは未だ終わらないぜ


 俺とソアラちゃんは、昨日のカイトでの害鳥対策ができているのか気になって、朝早くから畑に行くと、既にダンカンと数人の獣人達が畑の前で待っていた。


「おはよう、ダンカン」

「おお、ノワールか、大変なことになっているぞ」


「大変なこと!? 何か問題でもあったのか?」


「いや、カイトを設置した畑では害鳥被害が全くなかったぞ。それを聞いた他の畑の管理者が朝から駆けつけて、俺の畑にも設置してほしいと言って大変なことになっている」


「良いじゃないか、それなら今日は皆と一緒にカイトを作ろう」


 俺はカイトが設置されていない残りの畑を見回り、ソアラちゃんはカイトの作り方を獣人に説明していた。


 説明を受けていた獣人達は、誰にでも対等に接するソアラちゃんに最初は戸惑っていたが、ソアラちゃんの気立ての良さに皆魅かれて和気あいあいでカイトを作っている。


 今日は半分の畑を見回れば良いので、昨日と比較して随分と楽ができ、レッドバードを10羽も仕留めることができたぞ。


 一方、カイトの作成も順調に終えて、全ての畑に設置することができた。


 ダンカンが俺に近づいてくる。


「ノワール、ソアラさん、ありがとう。予定では一週間だが、害鳥対策の依頼はこれで完了だ」


「そうか、俺の考えでは未だ依頼を完了できない。確かに害鳥対策は出来たが、収穫量を増やしたことにはなっていない。そこで、俺に考えがあるので明日また来るよ。それと、今日は、レッドバードを10羽仕留めたので皆で分けてくれ」


 俺はレッドバードを収納袋から取りだして、ダンカンに渡す。


「そうか…… お前は本当に変わったヤツだな。ところで明日は何をやるのだ?」


「ここの畑は水不足と土が痩せている。畑を健康にすればもっと美味しい作物ができ、収穫量も増えるはずだ。俺に任せてくれ」


「任せるのは良いが、依頼の内容を超えている内容だが……」


「気にするな、俺が勝手にやっていることだからな。それよりも明日も今日と同じ人数を集めておいてくれよ」


 そう言い残して俺とソアラちゃんはカザト邸に帰り、夕食を食べることにする。



「どうでしたか、害鳥対策のカイトの効果は?」


「はい、とても効果的でした。そこでカザトさんに相談があります」


「何でしょうか?」


「マラッカス商会の力添えでカイトを販売できませんか? 多分、他にも害鳥で困っている人はいるはずです」


「そうですな。販売できるか商業ギルド以外に木工ギルドと裁縫ギルドに声をかけてみましょう」


「お願いします」





 翌朝、俺が畑に行こうとするとソアラちゃんも一緒に来る。


「ノワールさん、今日は畑で何をするのですか?」


「今日は井戸を作るので、レンガや滑車等を買ってから畑に行きたい」


「そうですか、それなら良い店を知っているので一緒に行きましょう」


 そう言うと、ソアラちゃんは俺の腕を掴んで歩き出した。


 う—―ん、何かが俺の腕に当たっているが気にせず行こう。


「待たせたな。ダンカン」


「来たな、ノワール。ところでどうやって井戸を掘るのだ。それに適当に掘ったところで、水は出ないぞ」


「昨日も言っただろ、任せろって」


 俺は昨日のうちにマッピングと鑑定でここの水脈を把握していた。


 俺の鑑定が正しければこの辺りで水がでるだろう。


「よし、皆ここに井戸を掘るぞ、危ないから少し離れていてくれ」


 俺は井戸を掘り位置に目印を付け、皆に離れるように言うと魔法を唱えた。


「まずは、ストーンホール」


 俺は直径2m、深さ7mの穴を掘る。


「次に、エアーストーム」


「続いて、エアープレッサ」 


 掘った穴の壁を滑らかにして、空気圧で固め崩落しないようにした。


「おい、ノワール、その魔法はなんだ。それにお前は魔法が使えるのか?」


「ああ、言ってなかったが俺は魔法戦士で、剣と魔法が両方できる」


「はぁ? お前は、やっぱり変わったヤツだな」


 ダンカンが不思議そうに作業を見ているが、俺はお構いなしに作業を進める。


「よーし、皆滑車を設置してくれ。それが終わったら、このモルタルとレンガで壁を補強してくれ」


 皆の協力のお陰でお昼過ぎには完了した。



 あとは、モルタルが乾くのを待つため今日の作業は終了だ。


 とは言え、今日は昼ごはんも未だで、重労働な井戸掘りで皆疲れている様子だった。


「よし、皆昼ご飯は一緒に食べよう」


「おい、ノワール。一緒に食べるのは良いが、食事の用意なんてしていないぞ」


「ダンカン、俺に任せてくれ」


 俺は収納袋から取り出して見えるようにして、アイテムボックスの中からボアの肉や野菜と携帯調理器具や大鍋等を取り出す。


「ソアラちゃんは野菜を適当な大きさに切ってくれ。俺は鍋で煮込む準備をするから、よろしく」


「はい、わかりました」


 グツグツと音を立てながら大鍋で具材を煮込み丁寧に灰汁を取る。


 味の決め手は味噌だ。


 昨日、井戸の材料を探して商業区に行ったら、たまたま味噌を見つけた。きっと俺以外の日本から来た転生者が作り方を伝授したのだろう。


 転生諸先輩方に感謝だ。


「よしできたぞ。豚汁だ」


「豚汁? 初めて聞く料理だな」


「まぁ、試してみろよ」


 俺はダンカンに豚汁を渡す。


「なんだこれ!! 凄く美味いぞ」


 それを聞いて皆にも豚汁を振る舞った。


「おい、ノワール。これ旨いな」


「作り方を教えてくれ」


 豚汁は皆に大好評だ。


「おい、皆。まだ、野菜とボア肉、それに味の決め手の味噌も余っているから夕飯にでも持っていけよ」


「いつもすまないな」


「気にするな。それから明日も今日と同じくらいの人数を集めてくれ。井戸の仕上げと畑の肥料を作るからな」



 俺とソアラちゃんは、豚汁の後片付けをしたから、町を散歩してカザト邸へ戻った。


 夕食を食べている時に、カザトさんから販売権について説明を受ける。


「ノワールさん。昨日のカイトの販売権ですが、私ではなくあなたの名前で登録しておきます」


「そうですか? すみませんが、お願いします」


 まぁ、良くわからないが、登録しておけば剣の一本でも買えるだろう。

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