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第15話 クエスト 畑を守れ


 翌朝、俺は冒険者ギルドに行くために道をマッピングで確認すると、既に冒険者ギルド内には4組のパーティーがいることがわかった。


 俺が冒険者ギルドに入ると、パーティーのリーダーらしき人物が俺に駆け寄って来る。


「おまえがノワールか?」

「ん? おまえは」


「ああ、俺は猛虎の牙でリーダーをしているダートだ。昨日は大活躍だったみたいだな。俺達のパーティーに入らないか?」


「おい、お前、抜け駆けするな。ノワールは俺達のパーティーに入るのが相応しい」


「いいえ、紳士のノワールさんは私達のパーティーこそ相応しいのよ」


「言っておくけど、俺は誰のパーティーにも入らないぞ。だから誘っても無駄だ」


「てめぇー こっちが下手にでていればいい気になりやがって。どうせ、試験官との模擬戦は不正か偶然で勝ったのだろ」


 こういうヤツは何を言っても通じないのだよな。


 ギルド内では一切の暴力行為はできないし、ここは威圧スキルを発動だ。


「ひぃ!!」


 男は萎縮して後ろに後ずさり、他のパーティー達も怯えながら散っていった。




「おはようー シャルアさん」

「おはようー ノワールさん、大人気ね」


「別に人気者にはなりたくないのだが。えーと、クエストの依頼を受けるにはどうすれば?」


「そこのクエストボードから依頼書を剥がして受付に持ってきてね。そうすれば依頼許可書を発行するわ」


「どうも」


 依頼ボードを見ると様々な依頼があるが、下の方は依頼許可書の紙が古く、上の方が新しい。


 俺はマーリンさんから聞いていたことがある。


 依頼ボードの下にあるものは貧しい住人からの依頼で、本当に困っている人の依頼だと。


 その話を聞いている俺は、依頼を受けるのであれば下の方から順に依頼を受けることを決めていた。


「シャルアさん、これにします」


 シャルアさんは一瞬驚いた顔をしたが、依頼許可書を受け取ってくれた。 


 クエスト

 内容  :畑の害鳥対策 

 期間  :一週間 

 依頼主 :獣人 

 報酬  :大銀貨5枚 

 詳細  :畑の害鳥を対策して、収穫量を増やしたい





 俺は北の城門から出ると城壁に沿って広大な畑があり、城壁の側にある小屋に行く。


「おーい、誰か居るか?」

「ん、誰だ?」


「俺は冒険者のノワールだ。クエストの依頼により来た」

「そうだったのか、俺はダンカンだ」


 小屋の中から狼の姿をした獣人が現れた。


「おお、カッコいいな」


「お前は変なヤツだな。俺達獣人は人間種から見れば異形の者だ」


「そうか、おまえ達から見れば俺達も異形の者だと思うぞ」


「ははは、おまえは本当に変なヤツだな」


「ところで問題の畑はどこだ?」


 案内された畑を見ると、作物の実りが豊かではないのに食い荒らされた跡がある。


「なぜ、日当たりが悪く作物の生育がよくないここで被害があるのだ?」


「この街には東西南北で城壁に沿って畑があるのだが、風当たりが悪く日当たりも悪いこの畑が獣人用になっており、それ以外が人族の管轄だ。エルフやドワーフは農作しないからな」


 ダンカンが怪訝そうな顔に説明する。


「ここ以外の畑は、魔導具による害鳥対策ができているから被害が少ない。俺達も魔導具を使いたいが、高価で手がだせないのだ。そこで冒険者を雇って、昼間だけでも害鳥が来たら狩ってもらう依頼を出したが、受注者がいなくこの荒れようになっている。獣人は夜が得意だが、習性上で日中はあまり得意ではない」


 以前、マーリンから説明を受けたが、昔よりは随分改善されたが、獣人は未だに苦労しているようだ。


「ところで、弓の腕前を見せてくれ」

「ああ、いいぞ」


 俺は収納袋から弓と矢を取り出す。


「これからこの的を三つ放り投げるので射抜いてくれ、いくぞ」


 俺は全て的を射抜く。


「おまえ若いのに凄いな、合格だ。早速、頼むよ」


 しばらく畑で待っていると、カラスぐらい大きさの赤い鳥が群れで飛んできた。


「あのレッドバードを退治してくれ」


 俺が鑑定すると、レッドバードはランクE相当でその身は固いが旨味はある魔獣だ。


 これが意外と厄介だった。


 群れで飛んで来るが、気配を察知してこちらが弓を構えると離れて行き、少しでも隙を見せると畑に降りてきて作物を食べ始める。


 夕方までに5羽仕留めたが、はっきり言って切りがないのだ。


「なんとか5羽を仕留めたが切りがないな」


「ああ、そうなのだ。これが夜や朝方にも飛来するのだ」


「う――ん、根本的な解決策が必要だな」


 俺が解決策を考えるが良い考えが浮かばない。


「まぁ、今日はお疲れ様だ」


「ところで仕留めたレッドバードはどうする?」


「仕留めた獲物はノワールが持ち帰ればよい」


 周りを見渡すと獣人の子供達が物欲しそうに獲物を見ている。


「そうか。だが、これから夕食に誘われているので、この獲物は持っていけない。ダンカンの方で処理してくれないか?」


 俺の気遣いを察したのか、ダンカンは快く受け入れた。


「悪い。助かるよ」





 俺はカザト邸に戻ってから、ずっと害鳥対策を考えていた。


 そう言えば良く地方に出張したとき、畑に鷹が描かれたカイト()が飛んでおり、畑の作物を食べる鳥を追い払っていたぞ。


 そうだ!! 


 カイトを作れないだろうか。明日、カザトさんに聞いてみよう。



「おはよう。カザトさん」

「おはよう。ノワールさん。何か言いたそうな顔をしていますが、お困りごとですか?」


 俺は昨日の畑のことを話して、カイトが作れないか相談してみた。


「それで、木のような素材で竹やバンプーって聞いたことがありますか?」

「はい、バンプーはあります」


「よかった。あと雨に強い紙や布はありますか?」


「水を弾くようにした布ならあります。そうだ、ソアラに売っているところを案内させますので、ついでにカイトの製作を手伝いさせましょう」


 いつのまにかソアラちゃんがおり、俺とカザトさんの話を聞いていたようだ。


「そうね、お父様。私は裁縫のスキルがありますし、ノワールさんのお役に立てるのであれば喜んで行きますわ」


 問題は場所なのだよな。


「えーと、実は畑の場所が獣人区のところなのですが……」


「ノワールさん、娘のことなら心配ないですよ。社会勉強になりますし、危ない時はきっとノワールさんが守ってくれますよね」


「はい」


 俺がそう言うと、何故かいつの間にかいるシェリーさんが、満面の笑みで微笑む。



 翌朝、俺とソアラちゃんは一緒に畑へ向かう。


「おーい、ダンカンいるか?」

「ああ、ノワールか」


 イケメン狼。

 やっぱりカッコいいと思っていると、ダンカンの挙動が怪しい。


「おい、そ、そちらの女性の方は?」


「俺が居候しているところのマラッカス商会のお嬢さんであるソアラさんだ」


「ダンカンさん、初めましてソアラです。よろしくお願いしますね」


 スカートの端を持ち上げて丁寧にお辞儀するソアラちゃん。


「人族からお辞儀されたのは初めてだ。ちょっと照れる」


「ははは、これが普通だ。俺はこの普通なことをお前達と一緒に分かち合いたいと思っている」


 ダンカンは照れていたが、周りで聞いていた獣人達は俺の言葉に驚いていた。


 それからだ。俺がカイトの製作方法をソアラちゃんと一緒に説明していると、何人かが手伝いを申し出てくれた。


 俺は畑の見回りと製作を同時に行って、お昼までには3個のカイトを完成させることができた。


「早速、実験だ」


 俺達は生育が一番良い畑にカイトを設置して、隣の畑と比較して効果を確かめることにした。


 うん、いい感じでカイトが飛んでいる。


 結果は一目瞭然で、カイトがある畑にはレッドバードは近寄らなくなり、被害が全くなかったのだ。


 俺達は、効果があるとわかったので、俄然とやる気が出てきた。


 午後には5個のカイトを作ることができたので設置したところ、畑の半分をカバーすることができた。


 どんな成果が出るか明日が楽しみだ。

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