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第133話 飛竜

 スタンドロック山脈の麓に着くと、グレートベアーやグレートボア等とCランクの魔獣が襲ってきた。どうやらスタンドロック山脈では魔素の影響により強い魔獣がいるようだ。


「驚いたかい。昔、ここは竜騎士の訓練場にもなっていた頃もあってね」


 ナデアさんは竜騎士のことについて話しながら魔獣達を倒していく。この魔獣でも持っていけば飛竜の餌になるだろう。


「さぁ、ここが飛竜の巣だ」


 そこは山の中腹で周りがゴツゴツした岩場に囲まれているが、横穴や縦穴が何カ所か開いており何故か穴の周りには緑で生い茂っている。


 ナデアさんは収納袋から小さい笛を取り出す。


「この笛は竜騎士が従属契約した飛竜の牙から作った笛で、飛竜を呼び出す時に使うのだよ」


 ナデアさんは俺達に説明すると笛を吹く。


『ピ――』


 甲高い笛の音が周りに響き渡る。


『ピ――』


 ナデアがもう一度笛を吹く。


『キュ――』


 弱々しい鳴き声が聞こえる。


「チュリちゃん、どこにいるの?」


『キュ――』


 僅かだが俺の気配察知に反応があった。


「ナデアさん、こっちです」


 俺はナデアさんを連れて、横穴に近づいて行くと女性の声が聞こえる。


「ナデアちゃん、ここよ、ここ」


 横穴と言っても高さが3m程度あり奥の方は大きな部屋がある。良く見ると、床には藁が敷き詰められ奥に飛竜の姿が見える。


「この前までは動けたのにどうしたの?」

「うん…… 最近になってヒュドラの毒が進行してきて動けなくなって」


 飛竜をよく見ると痩せ衰えて元気がない。


「ナデアちゃんは元気そうでよかったわ。私はもう……」

「チュリちゃん、そんなことは言わないで。今日は貴方の怪我を治せる人を連れたきたから大丈夫よ」

「でも、手遅れかも……」


「ダメもとで俺達に任せてくれないか?」


 チュリは驚いているようだ。


「貴方は私達の会話が聞き取れたの?」

「聞き取れるぞ」

「そ、そんな。本当だとすれば貴方達は竜騎士ですか? 飛竜との会話には龍気を扱える者でないと聞き取ることができません」

「竜騎士ではないが龍気は扱えるぞ」


 俺とルミアは龍気を解放する。


「す、凄い。これほどの龍気を扱える者は竜騎士でも稀です。一体、貴方達は何者ですか?」

「何者であるかはこの際関係ない。俺達に傷の治療を任せてほしい」


 チュリはナデアさんの顔を見る。


「わかりました。それならば龍気を込めた治療はできますか? 飛竜の治療には龍気も必要です」

「できるぞ」


 俺とルミアは装換して装備を着替える。


「ええ! その装備は……」

「チュリさん、まずはこの血を傷口の方に塗りますね」


 ルミアはチュリの傷口に血を優しく塗る。


「さぁ、準備ができましたよ。チュリさん、魔法を唱えますからそんなに力まないで力を抜いていて下さいね」


 俺とルミアは龍気を込めて魔法と忍術を放つ。


【魔法の極み マキシマムクリーン】

【魔法の極み マキシマムキュア】

【魔法の極み マキシマムヒール】

【魔法の極み マキシマムエナジー】


【忍術の極み 超回復の術】


 チュリの身体は神々しい光に包まれ、やがて光が体の中心に向かって吸い込まれるように消えていく。


「チュリちゃん、調子はどう?」


 チュリは立ち上がると右の翼にあった傷口を確認する。


「全然苦しくないわ。今までの苦しみが嘘のように体が軽いの。まるで、生まれ変わったみたい」


 ナデアさんはチュリの身体を見て驚く。


「チュリちゃん、大丈夫? 身体が大きくなっているわ」


 俺達もチュリの身体を見ると驚く。俺達が治療する前に比べると、一回りいや二回りは身体が大きくなっている。


 チュリも自分の身体を確認する。


「ナデアちゃん、本当に私大きくなっている。それに今までにないくらいに龍気が満ち溢れている。ちょっと、そこをどいて。この身体では入り口が狭すぎで出られないからブレスで大きくする」


 そう言うとチュリは龍気を貯め、ブレスを吐く。


『ゴオォオ――』


 このブレスはただのブレスではない。俺の見立てではこのブレスはドラゴンブレスだ。


 入口の穴は今までより二回り以上大きくなった。


「あれ? 変だわ。かなり手加減してブレスだったのけど、こんなに威力があるとは思わなかったわ」

「何はともあれ元気になって良かったわ」

「うん、ちょっと外に出て久しぶりに空を飛んでみるわ」


 チュリは大きく身体で這いつくばって外に出ると翼を広げると龍気を纏うと飛び立つ。


 周りを見ると数匹の飛竜が集めっており、チュリが飛んでいるところを見ている。


「あんなに苦しそうだったチュリさんが、元気よく空を飛んでいるぞ」

「俺達の姉御が帰ってきた」


 集まってきた飛竜達の言葉を聞いていると、チュリはこの飛竜達のリーダーのようだ。


 チュリは気持ち良く飛んだようで俺達の方に降りてきた。


「ナデアちゃん、私は本当に元気になったわ。ありがとう。それで、その人達は一体どのような人達なのですか?」

「それはね、待って、何か来る!!」


 遠くの方から凄い龍気を纏った何かが、高速で飛んで向かって来る。


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