第131話 模擬戦
俺はナデアさんとワーク達とパーティーを組んでから模擬戦を始めることにした。
「ノワール、これはどういうことだい?」
「ナデアさんは模擬戦とは言え久しぶりの実戦だから、俺のスキルの効果で勘を取り戻すことを早めることができる」
「なるほどね、急激にワーク達が強くなった理由もこれだね」
俺が頷くとナデアさんとワーク達は準備を整えると模擬戦を始まる。
先にワーク達が仕掛ける。
【武技 地走り】
【武技 シールドバッシュ】
ワークが小手調べに武技を放つと同時にダギアが間合いを詰め、シールドバッシュを放つが、ナデアさんは華麗なステップで避ける。
俺が思っている竜騎士とは違い、ナデアさんは素早い動きだ。
ナデアさんはワーク達の攻撃を避け後ろに下がると、今度はクカナさんとユーミさんが同時に魔法を放つ。
【ハイエアーストーム】
【ハイストーンバレッド】
エアーストームがナデアさんを襲い右ステップで躱すが、エアーストームが死角となりナデアさんはストーンバレッドの追撃を受ける。
「くっ、無詠唱とはルミアに相当鍛えられたね。それに、私が右に躱すことを予想してストーンバレッドを撃ってくるとは驚きだよ」
「ルミアさんに死にそうな目に遭いながら鍛えられましたからね。どんどん行きます」
「そうかい、それなら私も本気を出すよ」
【龍気】
ワーク達は既に闘気と魔素を練っていたようだが、ナデアさんが龍気を使い始めたな。
これからが竜騎士の真骨頂が発揮されるので見ものだ。
ナデアさんは龍気を纏うと攻防が一転する。ナデアさんは剣と盾を上手く使いながら華麗なステップでワークとダギアに攻撃を放ち怯ませるとクカナさんとユーミさんに接近する。
「ここまで近づけば勝負ありだね」
確かに魔導士の弱点は接近戦だが、ルミアが鍛えたから大丈夫だ。
「さぁ。お終いだよ」
【龍技 龍連撃】
「そうかしら。いくわよ、ユーミ」
クカナさんの呼吸に合わせユーミさんも武技を放つ。
【武技 粉砕拳】
【武技 旋風脚】
龍連撃は粉砕拳と旋風脚に阻まれ、お互いの武技の威力で相殺される。
「!?」
「驚いたかしら」
クカナさんが得意気に言う。
「隙あり!!」
【奥義 剛重撃破斬】!!」
「くっ」
【龍技 龍の咆哮】
ナデアさんはワークの奥義を受け止めたようだが、後方に吹き飛ばされ倒れる。
『おおお』
観戦していた村人達からやっと声が漏れる。
「模擬戦とは言え凄い戦いだ。あまりの凄さに今まで声がでなかったぞ」
「そうだな。それにナデアさんやワーク達の動きが早すぎて目で追うのがやっとだよ。俺は目が回って倒れそうだ」
「これがSランクの竜騎士とAランクのパーティーの戦いか。凄い、凄すぎる!!」
「凄いぞ!! ワーク、がんばれ!!」
「俺達のナデアさんが負けるわけがない。ナデアさん、ファイト!!」
声援に後押しされるようナデアさんは立ち上がる。
「やれやれ、最近の若い者は年寄りをいたわると言うことを知らんのか」
「あれ? ナデアさんはお年寄りだったのですか?」
「言うようになったね、クカナ」
クカナさんは悪戯気に舌をペロっと出す。
「あんな小娘に言われているようでは私も焼きが回ったかね。ここからは竜騎士の真骨頂を見せるよ」
そう言うとナデアは剣を鞘に納め、盾を背中に背負う。
「来たれ!! 龍神の槍」
ナデアがそう言うと槍が吸い寄せられるようにナデアさんの手の中に納まる。
あれは俺の刀と一緒で意思を持っているな。自分が主と認めた物しか扱えない槍だ。
ナデアさんは槍を持つと確かめるように槍の中心を持ち、風車のように回転させると旋風を巻き起こす。
「さぁ、再開するよ」
ナデアさんは風車のように回転させワークに攻撃するとワークが盾で防ぐが弾き飛ばされる。ナデアさんはワークが弾き飛ばした槍の反動を利用して再度風車のように回転させながらダギアに襲い掛かり、同じようにダギアを弾き飛ばす。
【ハイファイアアロー】
【ハイアイスアロー】
クカナさんとユーミさんが放った魔法は、風車のように回転させながらナデアさんの槍捌きによって掻き消される。
なるほど、これが竜騎士の戦い方か。
俺はもっとリーチの長さを活かして突くように攻撃してくると思っていたが、回転させながら使うとは想定外だった。
「これで終わる俺達ではない、行くぜ」
体制を整えたワークとダギアが再び剣を振りかざして攻撃しようとする。
「無駄だよ、同じ攻撃は私には通用しないよ」
「それならこれはどうだ」
走りながら剣を持って近づいて来るワークとダギアに対して、ナデアさんが対応する瞬間、ワークはニヤリとする。
【ファイアアロー】
【サンダーアロー】
ワークとダギアが放った魔法を躱しきれずナデアさんが当たる。
「くっ、まさか剣士ではなく騎士だったのかい? それも聖魔法でなく属性攻撃魔法とは驚きだね。それに盾がないと魔法攻撃のダメージが低減できないことを知っていて攻撃しているところが憎いね」
「それは褒め言葉と受け取って良いのですか?」
「ワーク、そうだね」
それにしてもワーク達は相当に鍛えられているな。俺の目から見てもワーク達の強さやコンビネーションを見るとA+相当の実力はあるな。
「それでも勝つのは私だよ、これでお終いだよ」
「望むところだ」
全員が武技や魔法を放つ。
【龍技奥義 龍剛翼破斬】
【奥義 剛重撃破斬】
【奥義 真空連撃刃」
【フレア】
【ブリザード】
『ドォ―――ン』
ナデアさんの龍技奥義とそれぞれの奥義と最上級魔法がぶつかり合い、轟音と激しい衝撃波が訓練場に吹き荒れる。
これは不味い。
【忍術 結界の術】
間に合って良かった。あのままだったら訓練も被害を受けるが、村人達にも怪我人が出たかも知れない。これは流石にやり過ぎだと思い止めようとすると女性の怒鳴り声がする。
「貴方達、何やっているのですか!!」
振り向くと鬼のような形相をしているカルシャさんが仁王立ちしていた。
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