第130話 竜騎士の装備
「カルシャさん、資材を持ってきたけどどこに置けばいい?」
「はい、その辺りにお願いします」
俺は取り敢えず言われた場所に資材を置く。
「えええ、どうやったらこれだけの資材を用意できたのですか?」
「まぁ、色々とあってな」
ちょっと、カルシャさんには引かれたが、工事は順調に進んでいった。
◇
それから二カ月経過して農場の作物は順調に育ち、冒険者ギルドは内観の作業も出来上がっていた。
明日、ルミアとワーク達がダンジョンから帰ってくると連絡があり、竜騎士の装備も出来上がりそうだから、ライゼンさんの所に行くことに決めた。
「ライゼンさん、いるか?」
「おお、あんちゃんだな。出来上がっているぜ」
ライゼンさんは俺を奥の部屋に案内され中に入ると、竜騎士の装備が用意されていた。
「どうだい、あんちゃん。ベースはゴッズの装備と同じだが、龍の素材を使っているから濃い紫色の装備だ。性能は攻撃とダメージが30%から15%に半分になっているが、龍の素材の効果で龍気が20%アップと属性ダメージが20%低減される」
「ライゼンさん、凄い」
この装備なら聖騎士の装備にも引けを取らないし、槍を装備している時は攻撃力では勝っている。きっと、この装備だったらナデアさんも喜んでくれるだろう。
俺はライゼンさんに礼を言い別れた後、推薦状を送ってくれた冒険者ギルド長に挨拶したり買い物したりして飛竜の里に帰るのであった。
◇
翌朝、ルミアからネックレスを通じて連絡があったので食堂で待ち合わせして会う。
「ルミア、どうだった?」
「うん、完璧に仕上げたわ」
「ノワールさん、死にそうになったよ」
「そうですよ、生きているのが不思議です」
「だから死にそうな目に遭うと言っただろう。だが、自分達でも信じられないくらい強くなっただろ」
ワーク達を見ると全員がミスリル装備を着ている。俺から見ても順調にレベリングができたことがわかる。
ワークは剣士、クカナさんは魔導士、その他二人も剣士と魔導士に仕上がっており、闘気と魔素が練れている。
俺達が雑談していると、朝食のためにナデアさんと村人達が現れる。
「おおお、ワーク。帰ってきたな。」
「元気そうで良かった。それにしてもミスリル装備とは凄いな」
「ルミア、久しぶりだね。ワーク達の修行は無事に済んだようだね。装備だけではなく、闘気と魔素が充実しているのがわかるよ」
「流石はナデアさんです。しっかりと鍛えましたからAランクのパーティーとしては十分の実力です」
「そうだね。だけど私は新しい冒険者ギルドのギルド長になるから、ワーク達の実力を見てみたいね。丁度、訓練所が出来上がったので、模擬戦をしようじゃないか」
「おおお、凄いぞ。ナデアさんとAクラスが模擬戦なんて滅多に見られないぞ」
「そうだ。今日は作業も休みだから皆で見に行こうぜ」
村人達は模擬戦が見られることで興奮しながら冒険者ギルドへ向かう。
俺達は後から訓練場に着くとナデアさんが困っている。
「参ったよ。模擬戦をやりたいが、肝心の装備はヒュドラとの戦いで駄目になってしまったからね。仕方がない、クロム装備で我慢するか」
「ナデアさん、この装備を使ってください」
俺はライゼンさんの装備をアイテムボックスから取り出して渡す。
ナデアさんは、俺が何気なく差し出した装備を見て驚く。
「この装備は…… まさか、テンゼンさんの装備かい?」
「いや、ライゼンさんが作った」
「はぁ? あのライゼンが本当にこの装備を作ったのか? 竜騎士の装備はテンゼンさんがライゼンに教えることなく亡くなったことを知っている。どうやって作ったのかい?」
「テンゼンさんがライゼンさんの夢の中に現れてで教わって作りました」
「不思議なことがあるのだね、でも、あのライゼンが…… わかった、有難く使わせてもらうよ」
ナデアさんは改めて装備を見ると驚愕する。
「昔、私が竜騎士になった時に王国から褒美として授与された国宝級の装備より凄みを感じる素晴らしい装備だ。ノワール、この槍に銘はあるのかい?」
「そうだな、強いて言うなら龍神の槍だ」
「ノワール、まさかこの装備の素材は? いや、今の質問は野暮だったね。いい装備だよ」
「喜んでもらえて良かった、ライゼンさんもきっと喜ぶよ」
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