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第13話 いざ、冒険者ギルドへ


 約束通り俺はソアラさんと一緒に冒険者ギルドへ向かったが、ソアラさんと一緒にいると色々な声が聞こえてくる。


「おはよう、ソアラちゃん。あら、そちらの若い方は彼氏さんかしら?」

「おはようございます。やだー おばさん、まだ彼氏ではないの」


 ソアラさんが頬を赤く染めながら雑貨屋のおばさんに返事すると、ドワーフのおばさんは慌てる。


「あんた大変よ!! あの男を寄せ付けなかったソアラちゃんが、男の子と一緒に歩いているの」

「なんだって!! 一大事だ」


 こんなやり取りが幾度なく交わされ、俺の顔がどんどん町に知れ渡っていくぞ。

 それに、商業ギルドの外で会ったエルフの女性からも言われる。


「あら、ソアラちゃん、若い男の人と歩いているのを初めて見たわ。それでそちらの若い人は?」

「はい、ノワールさんで命の恩人で大切な人です」


 この子はとんでもない子だ。

 無意識ではあると思うが、誤解が生まれるような発言が多い。


「えーと、シェリーさんは?」

「お母様も認めています」

「ええ!! みなさん、大変だわ」



 女性は商業ギルドの中へ急いで入っていった。


 なんだが完全に外堀から埋められている……


 やっと冒険者ギルドに着いたところには、俺はクタクタに気疲れしていた。


「やっと、着いた」





 冒険者ギルドは受付、依頼板、魔獣の引き取り所と酒場等が入っており、2階建てで地下には訓練場もあるようだ。


「おはようございます。シャルアさん」

「あら、おはよう、ソアラちゃん」


「珍しいわね。ソアラちゃんが冒険者ギルドに来るなんて、今日はどのような御用かしら?」

「今日は、こちらのノワールさんの冒険者登録にきました」


「ノワールです。これが仮身分証明書です」

「あら、冒険者になる人なのに言葉使いが丁寧ですね。手続きがあるのでこちらへどうぞ」


 そう言って俺を部屋に案内して椅子に座らせる。


「まずは、こちらの鑑定玉に手をかざしてみて下さい」


 俺は鑑定玉に手をかざすと鑑定玉に文字が浮き上がってくる。



 種族   人族

 名前   ノワール

 性別   男

 年齢   27

 クラス  魔法戦士

 レベル  28

 犯罪歴  なし



「特に問題ないようですね。手続きをしますので、受付前でお待ち下さい」


 俺達が待っているとカイン達が近寄って来る。


「おお、ノワールじゃないか。早速、冒険者登録しているのか?」

「ああ、そうだ」


 そこにシャルアさんが戻って来る。


「では、ノワールさん。冒険者の登録試験をしますので、準備が整いましたら地下室の訓練所まで来てください」


「おお、ノワールと試験官との模擬試合が観られるぞ。これは楽しみだな」

「もー カインって楽しみだではなく、頑張ってねでしょ」

「そうよ。ノワール君、頑張ってね」


 ルミアさんとナシャさんは応援してくれたが、カインは仲間内に面白い模擬戦が観られるぞと言わんとばかりに急いで出て行く。


 模擬戦があるのか? 知らなかった。





 俺は地下の訓練所に行くとそこは周りが2m程度の塀で囲われ観客席があり、既に二十数程の観客がいる。


「おい、あの若いのがソアラちゃんの彼氏らしいぞ」

「なんだって。くそ―― 試験官やっちまえ!!」

「ぬぉ―― エロエロエッサイム 我に光を!! ソアラちゃんとあいつが別れますように!!」


 なんだか酷い言われようだし、訳の分からない呪文まで唱えているヤツがいるぞ……


「おい、あれが白銀の翼を盗賊から助けたヤツか?」

「見ろ、ギルド長のゴンザレスが来ているぞ」


 良くわからないが、色々な意味で注目度が高いな。


 俺は訓練場の中央に行く。


「私は試験官のチータスで、ランクはBだ。お前の力量を測るため、これから模擬戦を実施する。そこにある模擬用で好きな武器と防具を装備しろ。俺は両手剣で行くぞ」


 俺は言われた通り、模擬用の片手剣とバックラー、そして防具を付ける。


「模擬訓練と言ってもケガをする可能性があるので、Cクラスの魔導士やマキシマムポーション等を用意してあるから、存分にかかってくるがよい」


 Bクラスか、俺はCークラス相当だ。


 俺が勝つためにはスキルと武技を組み合わせた奥義を使うことになるが、大勢いる前では使いたくないな。特にあのギルド長は厄介だ。


 まぁ、勝たなくてもある程度粘れば合格できそうだしなって思った時だった。


「ノワールさん、頑張って――」


 黄色い声援の方を見るとソアラちゃんが一所懸命応援していた。


 一方、観客席からは負けろと言う闘気が放たれ、なぜか試験官のチータスからも闘気が放たれていた。


「俺は彼女もいないのに、くそっ」


 完全に公私混同だ。



「準備は良いですか? それでは始め!!」


「ノワール、いつでもかかってきて良いぞ」

「いくぞ」


 俺はそう言うと身体強化により一気に間合いを詰める。


「速い!!」


 不意を突かれたチータスは完全に後れを取って防御姿勢に転じた。俺は剣で切りかかると、チータスは剣で受けにでた。


 狙い通りだ。


 俺は剣で切りかかるのを止め、突き上げるようにバックラーで殴りかかるとチータスは上から剣の柄で抑えにかかった。


「忘れてないか? 俺は魔法戦士だ」

「ん!?」


 チータスは状況を理解していないようだったが、ここぞとばかりに俺は魔法を放つ。


「フラッシュ!!」


 俺は光魔法のフラッシュでチータスの目を眩ませると、脚払いで地面に転がせるが、流石はBランクだ。


 俺が追撃しようとすると素早く真空刃が飛んできたので躱すと、その隙にチータスは素早く立ち上がり、真空連撃刃により連続して真空刃を飛ばしてきた。


 うかつに近づくと真空連撃刃の餌食だ。


 うーん、困った。まともに戦うとレベルによるステータスの差が露呈するな。

 そんなことを考えていると、チータスが真剣な表情で言う。


「油断がなかったと言えば否定しない。ここから本気で行くぞ」


 チータスの猛撃が始まり、俺は何発か被弾するが隙を見つけてはヒールで凌ぐ。


 そんな戦いの中、チータスのスキルの使い方には強くなったり弱くなったりとムラがあることに気が付く。このムラを利用して奥義を放てば戦えば勝てるが、ここでは奥義は目立ちすぎるので発動できない。

 

 それならばゲームオタクの戦い方でいこう。


「ファイアバレッド、アイスバレッド、ファイアバレッド」


 俺は炎と氷の弾を交互に何発も繰り出す。


 これに対してチータスは剣で受け止め躱していたが、しばらくしてチータスが苛立ち始めた。


「いいかげんにしろ!!」


 チータスは一気に間合いを詰め重撃を放ってきた。


 よし、狙い通りだ。


 俺も重撃で向かい合い、二人の剣がぶつかり合う。


『ガキィ―ン』


 激しい衝突音と共にチータスの剣が折れた。


 俺の狙い通りである。

 俺の狙いは、温度変化により鉄の剣が金属疲労を起こし、剣に圧力をかけることでチータスの剣を破壊することだ。


「それまで!! 勝者 ノワール!!」

『おおおおお――』


 観客からは割れんばかりの歓声が響き渡った。



「負けたよ、ノワール」

「いや、剣がたまたま折れたから良かった。今の一撃の後、俺には次の手が見つけられなかった」


「謙遜するな、ノワールよ、お前は強かった」


「私のノワールさん、おめでとうございます」


 ソアラちゃんから声援に対して、俺は皆の前で大きな声で答える。


「私のではなく、私のところのだ。俺はカザトさんと縁があって、居候している身だからな」


 その言葉を聞くと何故か皆が安堵した……


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >観客からはいつの間にかヤジや声援がなくなり、皆固唾を呑んで観ている。 模擬戦やってる最中にそんな所に気を回すなんて、 実力的には勝てそうな相手とは言え余裕こき過ぎな気が。
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