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第126話 冒険者ギルドを作ろう

 俺達は農場の場所を更地にして井戸を作り、今日の作業は終えることにした。


「よし、今日の作業は終了だ。食堂に行って夕食を食べようぜ」


 村人達は夕食を食べると落ち着いたようで、話し声が聞こえる。


「おい、俺が見たのは夢か? 一日で森を更地に変え、井戸まで掘ってしまうなんて女房に言ったところで信じないだろ」

「何言っている。俺は未だ信じられない」

「彼らは一体何者なのだ?」

「でもよ、何者だろうと俺達にとっては救いの神だ。それにナデアさんが信頼しているようだから問題ないだろ」


 俺は食堂のマスターに金貨60枚を渡して、これから一か月間の食事を村人達やその家族に振る舞ってもらうように頼む。マスターは快く引き受けてくれた。


「今日は初日だったから皆には見学してもらった。明日からは土慣らしや腐葉土作りの作業があるから忙しくなるぞ。しっかり食べて皆頑張ってくれよ」


 あまり返事はなかったが、食事をガツガツ食べているので問題ないだろう。


「あと、家族のいる者はこの食堂に連れて来て食べてもいいぞ。マスターには話してあるから、一か月間の食事は無料だ」

「おい、マジかよ。あの人は俺達だけじゃなく家族のことも考えてくれるのか。皆、明日から頑張ろうぜ」

『おおお』


 飯で釣ったとは言え徐々にではあるが、村人達から信頼されてきたようだ。



 ◇



 翌朝、俺は村人達に農具や柵を作る材料や道具を渡すと村人達からやる気が感じられる。


 俺はストーンホールで作った穴にダンカンの農場から持ってきた腐葉土を置き、村人達に腐葉土の作り方を教える。その際にはマスクを与えて臭いを対策した。


「このマスクと言うのは凄いな、全く臭いが気にならない」

「そうだな。それにこの腐葉土だ。コートダールの農場と言えば噂で知っているぞ」

「これなら俺達でもやれそうだな」


 村人達はやる気を溢れ、一週間で種を植えられるところまで出来た。


「ノワールさん、鳥害対策はどうする?」

「このカイトがあれば大丈夫だ、心配するな」


 俺はバンプー材と布でカイトの作り方を村人達に教えながら、カイトを設置していく。


「なるほど、これならカイトに恐れて鳥も近寄ってこないな。それで植える作物はどうしましょうか?」

「とりあえずジャガイモ、ニンジン、キャベツを植えるか」


 あとは、作物が育つように手入れしてやれば大丈夫だろう。

 俺達は作業を終えて食堂で夕食を食べていると、ナデアさんが村人達に聞こえないように話し掛けてくる。


「お前達には呆れたよ。僅か一週間程度で本当に畑を作ってしまうとは」


 ナデアさんは少し考えながら言う。


「お前達のことだ。農場だけではなく他も作りたいって顔をしているよ」

「流石です。実は農場以外に冒険者ギルドを設立したいと考えている」


「なんだって!? 冒険者ギルドとは驚いたよ」

「ジメント商会に対抗するには、飛竜の里が自給自足できるような村にしないと駄目だ。農場で作物を育て野菜や果物が確保できる。あとは、肉や素材等を確保できるように冒険者ギルドが必要だ。ここは龍神のダンジョンから馬車で二日なので立地も良い」

「でも、冒険者ギルドを新規に設立するのには他の町にいるギルド長三名の推薦が必要だよ。それにギルド長とAランクのパーティーも必要だ」


 Aランクのパーティーか、それは知らなかったな。

 あいつらは、まだこの町にいるから誘ってみるか。


「まさか、自分達でギルド長とAランクのパーティーで登録するのかね?」

「違います。実はギルド長をナデアさんにやってもらうことで考えています」


 ルミアが言うとナデアさんは一瞬驚きの表情を浮かべるとニッコリ微笑んで言う。


「嬉しいね。こんな老いぼれでも頼ってくれる人がいるなんて。でも、私の右脚は自由に動かすことができないから無理だよ」

「じゃ、右脚が治れば大丈夫ですね」

「ルミア、悪い冗談はお止め。この傷はヒュドラの毒によるものだ。マキシマムポーションやマキシマムキュア等と色々試したが無理だったよ。これ以上は秘薬エリクサーぐらいしかないが、無理な話さ」


 俺は立ち上がって村人達に聞こえるように大声で言う。


「皆聞いてくれ。これからナデアさんの右脚を治し、冒険者のギルド長になってもらう。そのために皆には協力してほしいことがある。それは、俺達がナデアさんの右脚を治したことを絶対に誰にも言わないでくれ」


 村人達は驚いていたが、それぞれ相談を始める。


「本当にナデアさんの脚が治るのであれば、俺は絶対に言わない」

「普段からお世話になっているナデアさんの脚が治れば、俺も言わない」


 ナデアさんは村人達の言うことを聞いて覚悟を決めたようだ。


「ここまでされたら引き下がれないわね。頼むよ」

「わかりました。準備があるので、明日の朝やりましょう」



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