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第125話 伝説の竜騎士

「あ、貴方は」

「昨日、転びそうになった時は世話になったね。それで村人を雇いたいとはどういう了見かね。そこの村人はお前達を襲った盗賊だって言うことはわかっているのだろう」


 昨日会ったエルフで年配の女性が歩寄って来る。


「ワインでいいかな。マスター、この人に上等なワインを頼む。まぁ、座ってください」


 俺の申し出にエルフの女性が座る。


「今日は見事に龍気を消していますね。流石は元竜騎士だ」

「ふっ、それで答えて貰おうかね」


 俺とルミアはジメント商会に対抗するための農場用に北の街道沿い土地を買ったことや、冒険者ギルドの設立について説明する。


「なるほどね。それで農場や冒険者ギルドを設立して、お前達に何か得することでもあるのかね?」

「そうだな。少なくとも村人に扮した盗賊に襲われることはなくなるかな」

「ふはは、こいつは傑作だね。まるで昔一緒にパーティーで旅していたシンジのことを思い出すよ」

「え!? シンジさんのことを知っているのですか?」


 俺とルミアは、周りにいる村人達に聞こえないように女性に神事さんとの関係を話す。


「そんなことがあったのかい。良くわかったよ。改めて言うよ、私が元竜騎士のナデア・ライド女男爵だよ。これでも300年前にトルクやマーリン、それとシンジと一緒のパーティーを組んでいたこともあったのよ。でも、今は30年前にヒュドラとの戦いで受けた毒によって右脚を悪くしてからは隠居生活だけどね」


「そうだったのか。俺はノワール・サイド子爵。こっちは妻のルミア子爵です」


「これは驚いたよ。サイド家と言えばレアランド領の領主じゃないか。それに王都での噂は聞いているよ」

「村人達には内緒にして下さい。騒ぎになるのは嫌なのでお願いします」

「ふふふ、そういう所もシンジに似ているわ」


 一通りの話が終わるとナデアさんが村人達を集めて話し始める。


「私から村人達に農場について協力するように言ったよ」

「ありがとう。そうしたら準備するので、村人達と一緒に飯でも食って待っていて下さい」


 俺はマスターに金貨二枚渡して店の外にでる。


 食堂の陰に隠れるとテレポートしてコートダールに行き、ダンカンと話して腐葉土をわけてもらい、商業区で農具や柵等の道具を買い込む。これだけ準備しておけば大丈夫だろう。


 食堂に戻ると村人の数は増えて二十名ほどになっており、農業や商業の経験者もいる


「皆、よく集まってくれた。これから給金を渡した後に、農場予定地に行くので付いて来てくれ」


 俺は村人達に一か月分の給料として一人金貨三枚を渡すと、村人達が驚く。


「ノワールさん。こんなに貰って良いのですか?」

「大丈夫だ。これから農場を作るのにはお前達の力が必要だ、頼んだぞ」

「ジメント商会によって職を無くした俺達にこんなに面倒を見てくれるのが、逆に怖くなってきた。俺達はあんたを信用して良いよな?」

「大丈夫だよ。ノワールとルミアについてはこのナデアが保証するよ」


 村人達とナデアさんを農場予定地に案内すると村人達が話し掛けて来る。


「ノワールさん、本当にこんな荒れ地に農場を作るのですか? この辺りはバッカル湖からの塩害でジャガイモ、ニンジン、キャベツくらいしか育たないし、森に囲まれているので鳥害が酷いぞ」

「ああ、土壌改良や鳥害対策は問題ない」


 村人達は不安そうな顔で辺りを見回す。

 確かに村人達が不安がるのも無理はない。農場地は森のような感じで木々が生い茂っている。普通であれば、ここを更地にするだけでも大変だろう。まぁ、俺達は普通ではないから簡単だ。


「皆、離れていてくれ。ルミア、ここを更地にするぞ」

「わかったわ」


【多重魔法 エアーカッター】

【多重魔法 エアーカッター】


 俺とルミアはエアーカッターで木をなぎ倒しながらアイテムボックスに次々と収納して、あっという間に300メートル四方の空き地を作る。


 村人達は次々に木が伐採され、伐採された木がその場から無くなるので驚き、呆気に囚われながら見ている。


 そんな村人達とは違い、ナデアさんは俺達が魔法を使うところをじっと見る。


「よし、ルミア。伐採は終わったから伐根して土を掘り返すぞ」


【多重魔法 ストーンウォール】

【多重魔法 ストーンウォール】


 ストーンウォールで地面の下から堀上て地面の上に寝転がせると、伐採した木と同じようにアイテムボックスに収納する。


「ノワール、ルミア。私は村人達と同じように呆れたよ。僅か数時間で、あの森をここまで更地にするとは。だが、この痩せ細った土をどうする? このままだと作物は良く育たないぞ」

「それなら大丈夫です」


 俺はナデアさんと村人達に腐葉土について説明する。


「土が改良できることはわかったけど、作物に必要な水はどうするのかね」

「それも大丈夫です」


 俺とルミアは龍気を使い、マッピングの情報と照らし合わせて地下水脈を確認する。


 その様子を見て、ナデアさんが話し掛けて来る。


「薄々感じていたが、ノワールとルミアは龍気が使えるな。ただ、龍気が使えるのは竜騎士のみ。なぜ、龍気が使えるか教えて貰えるかな?」

「わかりました。後で話しましょう」


「ルミア、井戸を掘るぞ」

「わかったわ」


 俺とルミアはストーンホールで穴を掘り水脈を探り当てると、エアーストームとエアーンプレッサで掘った穴の壁を滑らかにして、空気圧で固め崩落しないようにした。それからアイテムボックスから取り出したモルタルとレンガで壁を作って、滑車を設置して水を汲めるようにした。


 村人達は森を更地にしたように呆気に取られながら見るのであった。



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