第119話 魔人化とは
俺とルミアは龍神のダンジョンに行き、バハムートに魔人化について聞いてみる。
「なるほど、町ではそんなことがあったのか…… 魔人化は禁断の術だ。儂は決して許さない!!」
「どうした、なぜ、そんなに怒っている?」
「久しぶりに会いに来てくれたのに大声を出してすまなかったな。お前達は魔人化の丸薬が何で出来ているのか知っているか?」
「知らないから聞きに来たのだが……」
「そうだったな。丸薬の主な材料は龍族の血で、それも生き血を魔道具により濃縮させた物だ。生き血は儂のような大型の龍族ではなく小型の飛竜の血だ」
飛竜を倒すにはAランクのパーティーが必要だと聞いたことがある。Aランクのパーティーの行動は冒険者ギルドで行動を管理しているので、ビスマはどうやって丸薬を手に入れたのか気になる。
「なぁ、ノワールよ。丸薬をあったと言うことは、飛竜の里が心配だ。様子を見に行ってもらえないだろうか? 儂が行くと大騒ぎになるので、行きたくても行けないのだ」
「別にいいぞ」
「おお、感謝する。礼と言ってはなんだが儂の知っている秘術を教えてやろう。お前達は、闘気と魔素、それに龍気を極めているので使うことができるだろう。聞いて驚くな、それは転送魔法だ」
「ああ、それって『テレポート』だろ」
「ぐっ、なぜ、知っているのか? 今から550年前に儂の先祖から伝わる魔法だ。何でも渡り人が聞いたそうだ」
「ああ、言い忘れていたが、俺は渡り人だからな」
「何だと!! そうだったのか……」
俺とルミアはバハムートからテレポートのやり方を教えてもらう。
やり方は、マッピングで座標を指定して、龍気により座標を固定後、闘気と魔素を練り合わせて発動散させることでテレポートができるらしい。
取り敢えず言われた通りにやってみると、最初は3m程度しか移動が出来なかったが、何回か練習するとコートダールの町まで一瞬で移動して、戻って来ることができた。
「コートダールの町まで移動することができたぞ」
「会得したようだな。まさか数回で成功するとは儂も驚きだ。ただ、テレポートを使う上で気を付けてくれ。決して座標が固定されていない内は使うな。祖先の話では、座標を固定できずに使った者は別世界に飛ばされ、二度と帰ってくることが出来なかったそうだ」
「気を付けるよ。だけど、なぜバハムートの祖先は別世界に飛ばされたことがわかったのか不思議だな」
「むむむ、確かに…… まぁ、細かいことは気にするな」
俺達が帰ろうとした時、バハムートからお土産だと言われて大量の素材や装備を貰うことになった。詳しく話を聞くと、久しぶりに外の様子を見た時、グレートワイバーンの群れやオーガキングが率いるオーガの集落を狩った時にドロップした物だそうだ。
折角なのでアイテムボックスにしまっていると、まだ入るだろうと言って色々な物を渡された。装備の中には何やら怪しげな闘気や魔素を纏った物も渡された。まぁ、後で鑑定して変な装備だったら突き返そう。
そんなことを考えていると、ルミアが辺りを見回してからバハムートに聞く。
「あれ、変ね。あそこの場所は、もう一体バハムートが暮らせそうなスペースが出来たけど、気のせいかしら」
「な、なにを言っているのだ!! さぁ、時間もないことだから町に戻った方が良いぞ。それと、儂の所に来る時はテレポートではなく、入り口から来てくれ。儂にもプライベートがあるのでな」
バハムートは物凄く焦って早口で言うので、これは絶対に何かあると思うが気が付かない振りをしておこう。
【テレポート】
俺とルミアは、マッピングで誰も周りにいないことを確認して、豆腐屋の近くに路地へテレポートして豆腐屋に入る。
「あっ、ノワールさん、ルミアさん。大丈夫でしたか? 心配しました」
キャラさんに話を聞くと、早速、噂でクリド公爵の屋敷でルギー侯爵による反逆があったことが伝わっているそうだ。
「安心してくれ、全てが片付いた。ここには二度嫌がらせをするような者は現れないよ」
「ありがとう、ノワールさん。無事に商売ができ、カザトさんの料理人達も修行を終えることができるでしょう」
「それは良かった。そうするとコートダールでもすき焼きを堪能できる日が近いな」
俺とルミアはすき焼きを食べ、散歩しながらこの町が穏やかになっていることを確認するのであった。
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