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第112話 弟の結婚

 ロックが冒険者ギルドに着くと、有無も言わさずルミアとギルド職員の女性達に囲まれ、何やら相談を始める。


 当然、蚊帳の外である俺は何を話しているのかわからないが、話が終わるとロックは真剣な顔でシャルアさんの所へ向かう。


「こんにちは、シャルアさん」

「えっ、ロック伯爵、なぜここに?」

「先日の合同結婚式では危ない目に遭わせてすみませんでした。今日は、そのお詫びとして一緒に食事に行きましょう」


 シャルアさんはうつむき考え込むと、意を決したように話す。


「大変嬉しいです。でも、それはもう叶わないことでしょう。今やロック伯爵は上級貴族です。私のような平民の娘とは釣り合わないし、周りの者達が許さないでしょう。ですから、お食事することはできません……」

「わかりました。それならば、食事に行かなくて結構です」


 ロックの言葉を聞いて、シャルアさんの目から大粒の涙が零れ落ちる。

 

 俺はそんな言い方はないだろうっと思ってロックに話し掛けようとしたが、ルミアに止められる。


 どうなるのか見守っていると、今度はロックが意を決したようにシャルアさんの前で跪き、小箱を開けてネックレスを見せる。


「それなれば私と結婚して下さい。そうすればもう誰からも文句は言われません。いえ、決して言わせません」


 突然のプロポーズにシャルアさんは目を見開き驚いているが、深呼吸してから笑顔で答える。


「見かけに寄らず結構強引なのですね。はい、よろしくお願いします」


「おめでとう!!」

「きゃ― 素敵――」

「あああ、私もこんな風にプロポーズされたいわ」


 様子を見ていたギルド職員達から祝福の言葉が沸き上がる。


 騒ぎを聞きつけたゴンザレスさんが部屋から出て来る。


「おお、ノワール達ではないか。この騒ぎはなんだ?」

「ああ、俺の弟とシャルアさんが結婚するぞ。めでたいだろ」

「はぁ、何が一体起きている」


 そこからのロックの行動が早かった。


「兄さん、姉さん、ありがとうございます。早速、父上に二人で報告に行きます」

「お、おめでとう」


 あまりに唐突な出来事だったので、俺は『おめでとう』しか言えなかった。


「ゴンザレスさん、シャルアさんをしばらく借ります」


 そう言い残すとロックは、シャルアさんをお姫様抱っこする。


「シャルアさん。これから父上の所に行きます。空を飛んで行きますので、俺にしっかり掴まっていて下さい」

「はい」


【ドラゴンウィング】


 ロックは、シャルアさんを抱え空に飛び立って行くのであった。


「なぁ、ルミア。こんな展開になると思っていたか?」

「まさか、プロポーズするなんて思っていなかったわ」

「大丈夫かな?」

「上級貴族のお見合い結婚だったら、お互い顔も知らなくても結婚するから、それに比べれば大丈夫よ」

「そんなものか……」


 異世界恐るべしである。



 ◇



 翌日、俺とルミアは、久しぶりにカザト邸を訪ねる。


「これはノワールさん、どうぞ中へ」


 執事のジェフさんに案内されカザト邸に入る。


「ノワールさん、お久しぶりです」


 カザトさんが赤ん坊を抱え、シェリーさんと出迎えてくれた。


「見てください。息子のミントです」

「おめでとうございます」


 俺とルミアが祝福していると、奥からソアラちゃんとバルクさんが姿を現す。

 おお、ソアラちゃんのお腹が大きくなっている。


 その様子を見ていたカザトさんが満面の笑みで話す。


「ノワールさん、見てください。ソアラが子供を授かりました」

「それは、おめでとうございます」


 俺とルミアは、ソアラちゃん達と喜びながら雑談していると、カザトさんが神妙な顔で話し始める。


「ノワールさん、お願いがあります。先日、豆腐の修行に行った者達より問題が発生していると連絡がありました。どうも、豆腐とすき焼きについて、貴族からの嫌がらせを受け困っているとのことです。私とバルクは子供のことがあり、今はここを離れるわけにはいきません。どうか、グランディアまで様子を見に行ってくれませんでしょうか?」

「わかりました。様子を見に行って来ます」


 俺達は、急いで水の都グランディアへ旅立つのであった。


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