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第102話 ダンカンの覚悟


 俺の方は取り敢えず終わったな。ルミアの方も大丈夫だろう。

 俺はネックレスを使い、ルミアと連絡を取り宿で落ち合った。


「ルミアの方はどうだった?」

「ええ、取立人と闇ギルドとの関係が把握できたわ。それと、徴収した金額が分かる帳簿を手に入れたわ。この帳簿から、農場と住民から二重に徴収したことがわかるから国法違反よ」


「そうか。俺はロバート侯爵とキルト公爵の父親同士が結んだ盟約が書かれた証文と、徴収はユース伯爵とスクイ男爵が王都へ復帰するために企んでいたことがわかった」


 俺はユース伯爵とスクイ男爵の企みをルミアに説明する。


「許せない。自分達の利益のためにレイカさん達を苦しめるなんて。それで、これからどうするの?」

「準備は万端だが、まだ細工でできていない。これにはダンカンの協力が必要だ。それと、ダンカンとレイカさんは幼馴染だし、ダンカンにはレイカさんのようなしっかり者が必要だと思うんだよな」

「あら、あなたにしては良く気が付いたわね。それじゃ、明日、ダンカンさんの所に行きましょう」





 翌朝、俺達はダンカンがいる農場に向かったのだが、ダンカンの姿がない。マッピングで確認すると、ダンカンはレイカさんの孤児院にいることがわっかた。


「結構、ダンカンさんって積極的なのかしら。私達も、向かうわよ」


 俺達は、孤児院に着き入り口からレイカさんを呼んでも返事がない。仕方だないので、もう一度大きな声で呼ぼうとした時に子供から話しかけられる。


「ノワールお兄ちゃん、大きい声を出さないで。静かにして、こっちへ来て」


 子供は俺の袖を掴みながら部屋の前に案内すると、他の子供達が窓から中の様子をのぞき込んでいる。

 一体何をやっているんだ?


「そっと見て、今、レイカ先生とダンカンお兄ちゃんが良い感じなんだ」


 俺達も子供と一緒に様子を見る。


「幼馴染なのだから、もっと俺を頼ってくれてもいいじゃないか」

「そうだけど、私は貴方の邪魔にはなりたくなかったので、頼りたくても頼れなかったの……」

「……もう大丈夫だよ、レイカ」


 そう言うと、ダンカンはレイカさんをそっと抱き寄せる。


「ノワールお兄ちゃん、見て見て、これからチューするぞ」

「そうだ、レイカ先生とダンカンはラブラブだ」


 子供達が騒ぎ出すので、ダンカンとレイカさんに気付かれ、レイカさんがこっちに向かってくる。


「こら――!! 何を見ているのですか?」

「わぁ――」


 子供達は、蜘蛛の子を散らすように自分の部屋に走って戻っていく。


「あっ、ノワールさんにルミアさん、……来られていたのですね」


 俺達の姿を見て、ダンカンとレイカさんは顔を赤くするので、なんだかこっちまで恥ずかしくなる。

 ここは、話題を変えるため本題について話す。


「レイカさん、土地の税金や公共権使用料は取立を止められそうです」

「ノワールさん、本当ですか?」

「そのためにはダンカンの協力と覚悟が必要だ」

「俺の覚悟?」


 俺達はダンカンとレイカさんに、これからの計画を説明する。


「正気か? 本当に俺が男爵となって、農場と獣人区の領主になるのか?」

「俺の計画ではそうだ。それから強くなってもらうぞ」


「そうよ、レイカさんを守らないとね」

「ルミアさん、からかわないでください」


 レイカさんは、ルミアの言葉に顔を真っ赤にする。まんざらでもないようだし、俺も二人が幸せになってほしい。


「ダンカン。早速だが、ロバート侯爵の所に行くので付いてきてくれ」




 俺達はロバート侯爵に謁見を願うと、直ぐに対応してくれた。


「ノワール、証拠は掴んだか?」

「はい、準備は万端です。そこで、ロバート侯爵にお願いがあります」


 ここからは俺が考えている細工だ。

 俺とルミアは、これまでの調査についてロバート侯爵に説明する。


「やはり、スクイ男爵とユース伯爵は王都に返り咲くことを考えていたか。だが、私の父上とキルト公爵の父上との間で盟約があったとは知らなかった」

「盟約に関しては、形式上であったと思われますので、ロバート侯爵の御父上もお話はしなかったのでしょう」


「そうだな。それで、これからどうする?」

「はい、俺は農場と獣人区で領主の権限をダンカンに与えられないかと考えています」

「ダンカンに権限を与えることには賛成だが、そのためにはダンカンを貴族する必要があるぞ」

「その通りです。だから、ロバート侯爵からダンカンを男爵に推挙して頂きたいのです」

「わかった、ダンカンを推挙しよう。だが、それにはダンカンの覚悟が知りたい」


 ロバート侯爵はダンカンの眼をじっと見つめる。


「ロバート侯爵。これからも農場と獣人区の代表者として尽力します。どうか、私を男爵に推挙願います」

「よし、漢が覚悟を決めた時の良い眼をしている。まだ、陛下は滞在されているから、ノワールも推挙すれば認められると思うぞ」

 

 俺達は、善は急げと陛下に謁見を申し出るのであった。



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