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第101話 盟約の証文

 ◆


 ルミアはバイル達が改心したところで冷静に言う。


「バイル、ちょっと話がそれたけど、取立人の依頼主は誰かしら?」

「依頼主は、ここの通りから一番奥にある闇ギルドの連中だ」


「えっ、そうすると貴方達は依頼主から見たら孫請けじゃないの?」

「うーん、そうかな」


「呆れたわ。それなら、その闇ギルドへ案内しなさい」

「姉御、あの闇ギルドはやばいです。俺達と違って何でもありですから」

「私の事は心配しないで、自分達の心配をしなさい。万が一、お前達が報復されるかも知れないから、このお金でしばらく身を隠していなさい」


 ルミアはバイルに金貨50枚を渡す。


「……姉御、頼む。足手まといにならないようにするから、闇ギルドまで案内させてくれ。お前達は、この金を分け合って雲隠れしろ、いいな」


  バイルは仲間に金貨を渡すと、ルミアを外に連れ出そうとするが、ルミアが止める。


「ちょっと、待って。私は、気配を消して後に付いて行くから、闇ギルドの近くまで着いたら合図して」


 ルミアは隠密により気配を消した。


「わかったぜ。あれ? どこだ?」

「お前の後にいるから大丈夫だよ」

「流石は俺達が見込んだ姉御だ」

「無駄口は叩かないで、さっさと案内して」


 バイルは、ルミアを闇ギルドの建物に連れて行くと、離れた食堂の中から誰にも気付かれないように建物の様子を見る。しばらく、バイルは建物の様子を見ていると、建物の入り口が開き次々と男達が建物の外に放り出されていく。


「あれは姉御の仕業か?」


 あまりに不思議な光景に建物の近くには人だかりができ、誰かが近衛兵を呼び行く。


 そして、近衛兵が着く頃には、20人程度の獣人や人が道端に気絶して転がっていた。そして、最後は建物が一瞬で氷漬けになったかと思うと、バラバラになって倒壊する。


「す、凄い。俺には何がどうやって建物が倒壊したのかわからないが、……これも姉御の仕業か」


 近衛兵達は、気絶した闇ギルドのメンバー達を逮捕すると建物の瓦礫を見て、瓦礫の中に取り残された者がいないか確認する。


 バイルは、一部始終を見終わると人混みに紛れて姿を消すのであった。



 ◆



 俺はロバート侯爵の所からスクイ男爵の屋敷へ向かう。


『マッピング』


 ここがスクイ男爵の屋敷だな。ロバート侯爵の忠告通りにここは忍者装備に着替えて忍び事にする。


 忍び込んでわかったが、この屋敷にはドアに鈴が付いており防犯対策が施されている。どうやら、スクイ男爵は用心深い人物のようだが、俺には重力操作があるから簡単に忍び込むことができた。

 

 早速、見つけたぞ。この人がスクイ男爵だ。


 しばらく、俺はスクイ男爵を観察していると騒がしくなってくる。


「スクイ男爵、失礼します」

「何事だ、騒々しいぞ」

「申し訳ございません。実は、取立人を依頼しておりました闇ギルドのメンバーが、何者かの仕業で近衛兵に全員捕まりました。それに、隠れ家だった建物は倒壊しました」


「なに!? 直ぐに馬車を用意しろ」


 スクイ男爵は、部下が部屋から出て行くのを確認すると、本棚にある隠し箱から書類を取り出すと懐にしまい部屋を出て行った。



 俺は後を着けて行くと、馬車はユース伯爵の屋敷に入っていったので尾行する。


 スクイ男爵は、屋敷に足早で入って行くと急いで部屋の中に入って行き、俺も気付かれないように部屋の中へ入る。中には一人の男が机の椅子に座っていた。


「スクイ男爵よ、火急の用とは如何した」

「はい、ユース伯爵。税金や公共権使用料の取立人である闇ギルドが、何者かによって壊滅されました。闇ギルドに依頼していたことが、直ぐにわかるでしょう」

「そうか。だが、準備は万端であるな」


「はい、想定内です。闇ギルドへの依頼は、私が騙されていたことにすれば問題ないでしょう。土地の税金や公共権使用料も、国法で決められている最大3割以内までは認められておりますので、問題はないでしょう」

「そうだな。それに私には徴収できる権利がある。領主であるロバート侯爵の先代との盟約で、獣人区の税収だけは徴収できる権利をキルト公爵から譲り受けたからな」


「証文は持って来たであろうな」

「こちらにあります。しかし、この証文にはロバート侯爵とキルト公爵の父親同士が結んだ盟約であり、一代限りとありますが大丈夫でしょうか?」

「案ずるな。そのためにキルト公爵には徴収金の半額を渡し、その他の貴族にも残りの半分を賄賂として渡しているのだ。獣人区の農場は経営が右肩上がりだから、あと十年この田舎町で我慢すれば私達は王都へ帰れるだろう」


 ユース侯爵は、机の中にある隠し箱に証文をしまう。


「そうですか、安心しました。獣人区の領民には、一生懸命に働いて徴収金を増やしてもらって、私達が王都へ帰れるように頑張って貰いましょう」

「そうであるな。仮に徴収金のことが問題になっても、ロバート侯爵よりキルト公爵の方が爵位は上だから恐れることはないだろう。さぁ、スクイ男爵よ。向こうで一緒に食事しながら談笑でもしようではないか」


 ユース侯爵とスクイ男爵は、部屋から出て行く。


 俺は、机の隠し箱の中から証文を取り出し、証文の上に紙を置くと忍術を使う。


【忍法 念写の術】


 よし、これで証文を複製できたぞ。これがあれば、すり替えられたことには気が付かれないだろう。


 証拠は掴んだぞ。 


 俺は、複製した証文を隠し箱の中に戻し、本物の証文をアイテムボックスにしまい込み、屋敷を後にするのであった。


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