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第100話 姉御の言う通り

 

 俺はダンカン達の所から直ぐにロバート侯爵の屋敷へ向か。


【マッピング】


 よし、ロバート侯爵は部屋の中に一人でいる。俺は他人に謁見したことを知られたくないので、今が会うチャンスだ。

 

 早速、屋敷に忍び込み扉をノックする。


『コンコン』 


「誰だ?」

「ロバート侯爵、ノワールです」

「これは驚いた。まぁ、入るが良い」


 ロバート侯爵は俺が扉の前にいたので驚いている表情ではあったが、部屋の中に招き入れてくれる。


「ノワール、どうした」

「すみません。突然、訪問しまて。実は、火急の要件があります」

「わかった。座って話そう」


 俺は、公共施設使用料、ユース伯爵、スクイ男爵について話す。


「公共施設使用料? そんな徴収は命じた覚えはない」

「では、ユース伯爵の勝手にやっていることですか? それならば、直ぐに徴収を止めるように命じてください」


 ロバート侯爵は、しばらく考え込んでしまった。


 俺は事を急ぎ過ぎてしまったかと焦っていると、ロバート侯爵が真剣な表情で話始める。


「ノワール、この件は闇が深いぞ。実は、ユース伯爵はミスリル高騰事件に関与したキルト公爵と関係がある。それは、ユース伯爵が廃嫡となったキルト公爵家の次男デキドと友人であり事件に協力した関係だ。そのことがあって、王都落ちしてコートダールへ来たが、徴収した金で、いずれは王都へ返り咲くことでも考えているかも知れないぞ」


「なるほど。理由はどうあれ俺は皆が徴収で苦しんでいることに我慢できません。不正の証拠を掴んで調停式で決着をつけたいです」

「異論はないが、簡単に証拠を握られるような相手ではないぞ」


「ロバート侯爵はお忘れですか? 俺は隠密に特化した忍者です」

「そうだったな。だが、決して油断するな」


 俺はロバート侯爵に頷くと、その場から姿を消す。


「むむ、見事なものだ」





 一方、ルミアは獣人区の路地裏にある酒場にいる。


「ヒュー 若いお姉ちゃんが昼間からこんな酒場に来るとは、今日は運が良いぞ」

「ひひひ、お姉ちゃん、俺と一緒に飲もうぜ」


「ふっ、誰がお前みたいな昼間から酒を飲んでいる馬鹿なヤツと一緒に飲まないといけないのさ」

「ほぅ、随分と威勢の良い姉ちゃんだな。胸でも揉ませろや」

「ぐはっ」


 男はルミアの胸に手を伸ばそうとした時、ルミアが男に腹パンを決めた。


「やったな、姉ちゃん。このままでは返さねぇぞ」


 男達は拳を握りしめると、ルミアに襲いかかる。


「ぐはぇ」

「ぎゃぁ」

「……」

「うぇっ、うっ」


 ルミアは、あっと言う間に男達に腹パンを決め、一発でダウンさせた。


「さぁ、次の相手は誰だ?」


 酒場の一番奥にあるテーブルから大男が立ち上がる。


「姉ちゃん。ここが闇ギルドの酒場だ。ここまでされたら、俺達にも面子があるから後には引けないぜ」

「ふっ、そんな面子は今日からドブにでも捨てな」


 大男が合図すると、奥の部屋から武器を持った男達が現れる。


「今なら身ぐるみ全部置いて出て行けば見逃してやるぜ」

「いいから、かかってきなよ」


「お前達、死なない程度に叩きのめせ」



 男達は一斉に武器を構えて襲い掛かるが、ルミアは余裕で交わして腹パンを決めていく。


「さぁ、残りは、あんたひとりだね。どうする? 土下座して謝する?」

「ふっ、俺は元冒険者でBランクのバイルだ」

「あら、自己紹介がまだだったわね。私はルミアよ」


「ルミアか、悪いが痛い目に遭ってもらうぜ」


 ガイルはそう言い残すと、素早くルミアの脚に向かって剣を突き立てる。


「なっ!? ば、馬鹿な、剣が刺さらない」


 それもその筈である。ルミアとバイルではランクとレベルによるステータス差が大きく、バイルでは拳ルミアを傷つけることはできない。


 バイルは剣を数回ルミアに突き立てるが、全く傷を付けられないので、やがて諦めて剣を落とす。


「俺達の負けだ…… 好きにしろ」


 バイルは、そう言うと床に座り込むと、部下達も武器を捨てて同じように床に座り込む。


「私の勝ちね。これから私の質問に答えてもらうけど、その前に床に転がっている連中が邪魔だから待っていてね」


「エリアハイヒール」


 ルミアは回復魔法を唱えると、倒れていた男達が目を覚まし、仲間達に支えながら椅子に座る。


「みんなに聞くわ。この中で貴族から依頼されて取立人をやっている人は手を挙げる」


 『しーん』と静まる酒場。


「もう一度聞くわ。取立人は手を挙げる。黙っている人は、腹パンのおかわりかな?」

「ひーい、俺は取立人をやっています」

「俺もです」


 男達は、次々と返事する。


「誰からの依頼かしら?」

「姉ちゃん、いや、ルミアさん、それは俺から説明させてくれ」


 バイルはルミアの前に座る。


「俺達はここで闇ギルドをやっているが、実は潜りの闇ギルドだ」

「潜りってどう言う意味よ?」


「ここは獣人区のスラム街だ。ここにいる奴らは、俺も含めほとんどが元冒険者やはみ出し者だ。仕事がない奴が手っ取り早く金を得るには、犯罪に身を染めるしかない。しかし、俺達にもプライドがある。だから、俺達は誘拐や強姦や殺人等はしないことを決めている」

「そうだ、いいぞ」


 仲間達がバイルを煽る。


「俺達に取っては、取立人の仕事は丁度良いのさ」


 ルミアは、その話を聞いて怒りが込み上げてくる。


「随分と自分達に都合が良い解釈ね。プライド? そんなプライドは今日からドブにでも捨てな」

「なに!!」


 ルミアは叫んだ男をひと睨みして黙らせる。


「今朝、一人の少女が私の所に来たわ。その少女は徴収で苦しめられた自分の姉が、満足に治療を受けられないので元気にしてほしいと私に依頼してきたの。依頼料は銀貨二枚。その少女が大事に稼いで貯めたよ。私は彼女がどれだけの思いをして、私達に銀貨二枚を差し出したことを思うと胸が張り裂けそうだわ」


 男達は黙ってルミアの話を聞く。


「それなのに貴方達は恥ずかしくないの? 殺人していないから犯罪に加担しても良い? いつまで甘えているの!! 貴方達は少女と同じような気持ちがあれば、もっと違うプライドを持って生きていける筈よ」


 男達からすすり泣く声が聞こえる。


「すまない、ルミアさん。いや、姉御の言う通りだ。俺達は甘えていた」


 男の後に続いて、奥の部屋で話を聞いていた女性達がルミアの所にやってくる。


「私も楽な方に行こうとして甘えていたわ。姉御の言う通りです」


 続々とルミアに懺悔する。


「良いかお前ら。これからは、私がお前達を鍛えなおしてあげるから覚悟しな」

「はい、姉御!!」




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