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第10話 盗賊との戦い


 翌日、俺は三か月間過ごした家を出発して、マッピングで道を確認しながら人がいそうな街道沿いに向かって歩く。


 ん? マッピングに妙な点が映っているぞ。



 3個の点が固まっており、その周りを6個で取り囲んでいるが、その内の2個が動いていない。更に、それらを10個で取り囲むようにしているのだ。


 俺はなんだか胸騒ぎがするので、身体強化を使いながら急いで森の中を走って向かうと、なんと馬車が盗賊らしき集団に襲われている。


 良く見ると護衛は6名で内2名が負傷により動けなくなっており、残りは馬車の前後に2名ずつ分断されている。


 俺は鑑定スキル発動する。


 周りを囲っている10個の点はやはり盗賊で、レベルが25~32か。

 俺よりもレベルが高いヤツがいるが、実力的には問題ないだろう。


 更に良く見ると、盗賊の方は馬車の両脇を2名ずつで見張っており、前後3名ずつで護衛を攻めている。


 やばい、このままでは護衛が負ける。

 今の俺で助けることはできるか? 

 それに初めて人を殺すことになるかも知れない。


 色々なことを考えるが、チュートリアルのお陰か人と戦うことに恐怖は全くない。

 まだ、盗賊は俺に気付いていないようだ。

 よし、やるぞ!!





 俺は、集中のスキルを発動、武技の一点集中を使って矢を放つと、馬車の横で見張っている盗賊の右胸を射抜く。


『ドサッ』


 射抜かれた盗賊は崩れ落ちると動かなくなり、反対側にいるもう一人が倒れた音に気が付き、倒れた盗賊に駆け寄る。


 チャンスだ。


 俺は駆け寄っている盗賊に向けて矢を放つと、さっきと同じように右胸を射抜く。


 今度は倒れた音で盗賊達が異変を感じ、後にいた盗賊が馬車横に駆け寄ってきたので、今度は右足を射抜く。


「ぐおっ、敵襲!!」


 騒がれるのは想定済みだ。


 俺は慌てずに例の魔法を試す。


「スタングレネード」


 俺とマーリンが開発した新魔法だ。


『ドォォォ―――ン 』


 風属性と光属性の複合魔法だ。


 凄まじい光と爆発音が辺り一面を覆い、護衛や盗賊の動きが一瞬封じられる。


 狙い通りだ!!


 俺は森影から飛び出し、馬車の後ろにいる盗賊に向かって武技の真空刃を放ち吹き飛ばすと、残り一人との間合いを詰めて連撃を発動し倒す。


 よし、これで5人は倒したぞ。


 残りは半分だ!!


 『ピ――』


 馬車の前にいた盗賊が指笛を吹く。


 盗賊は素早く動き、俺を牽制しながら負傷した仲間をハイポーションで回復させ、素早く森の中へ退散していった。



「こちらも体制を整えよ。周りを警戒しながら負傷者を回復するぞ」


 護衛隊のリーダーらしき人物が、指示を出しながら俺に歩み寄って来る。


「まずは、支援を感謝する。お陰で盗賊から馬車を守ることができた。礼を言うぞ」


 俺はそんな言葉を聞き流し、負傷者に駆け寄る。


「ハイヒール」


 仲間の治療士がハイヒールで回復を試みるが、一人は無事に回復して立ち上がったが、もう一人の仲間はハイヒールをかけてもぐったりとしたままだ。


 やばいぞ!! よく見ると左足が切断されかけており重症だ。


 それを見た仲間の顔は青ざめている。


 俺は収納袋からマキシマムポーションを取り出し、躊躇することなく負傷した左足に振りかける。


「おい!! お前これはマキシマムポーションだぞ」

「ああ、何か問題があるのか?」


 制止するように護衛のリーダーが俺に向かって大声で言ったが、俺は構わずマキシマムポーションを使い切る。


 効果は抜群だ。負傷者の傷はみるみるうちに傷が治り、顔色も良くなって動けるようになった。


「ふー、回復が間に合ったな。これで元のように左足を動かせるから問題はないだろう」


「回復を感謝する。俺は白銀の翼でリーダーのカインだ」


 白銀の翼のメンバーの全員がお辞儀する。


「別に気にしなくていいぞ。俺が勝手にやったことだからな」


「そういうわけにはいかない。俺達は冒険者だ。君が使ったマキシマムポーションが、どれだけ高価であるか知っている。全額は直ぐに出せないが、できる限りの礼はさせてもらうぞ」


「そうよ。そうさせてね」



 白銀の翼とやり取りをしていると、馬車から中年男性が降りてきて歩み寄ってくる。


「助けてくれてありがとうございます。私はこの先のコートダールで商いを営んでいるマラッカス商会のカザトです。是非ともお礼がしたいので貴方のお名前を伺いたい」


「俺はノワールです。あまり気にしないでください。俺が勝手にやったことですから」


「そう言われましても、私も名の知れ渡った商人です。それに貴方は私の護衛に金貨50枚以上はするマキシマムポーションを使われています。故に、このご恩は必ず返しますぞ」



 そんなやり取りをしていると、馬車からもう二人が降りてきて歩み寄って来る。


「お父様は一度言ったら後には引かないタイプなので諦めた方がよいですよ。私は長女のソアラです。そしてこちらがメイドのエリスです。この度はお助け頂きましてありがとうございます」


 二人はスカートの両脇を軽く持ち上げお辞儀する。


「ところでノワール様はどちらから来られてどこに行きますか? 良かったらご一緒しましょう」


「様はなんだが恥ずかしいので、ノワールと呼んでくれ」


 俺はここで女神達と話した渡り人であることを、皆に告げることにする。


「それに…… 俺は気が付いたら森にいて、良くわからずここまで歩いてきて、気が付いたら皆さんを助けるため戦いました。なぜかと言われるかも知れませんが、自分で良くわからない……」


「なんと、自分でも良くわからないとは」


 カザトさんを含め、皆がお互いの顔を見合いながら困惑する。


「では、自分の両親や出身地もわからないのか?」


「わからない。年は27歳でクラスが魔法戦士だ」


 ソアラさんは嬉しそうに言う。


「ノワールさんって、私よりひとつ年上だったのですね」


「魔法戦士? 珍しいな。器用貧乏のクラスではあるのだが、実に見事な戦いぶりだ」


「最初の魔法は何の魔法だ。それに真空刃を使っていたぞ。高ランクの冒険者か?」


「言葉使いが丁寧ですね。とても冒険者には見えなく貴族の出身ですかね」


 皆が俺を見て様々なことを言っている中、カザトさんが口を開く。


「皆さん。今はノワールさんを詮索するより、彼はこれからどうして良いか困っているでしょう。今度は私達が彼を助けましょう」


 カザトさんは俺の手を握りながら言う。


「商人は人とのご縁をとても大切にします。ノワールさんが私達を助けたのも何かのご縁があり、私達がノワールさんを助けるのもご縁でしょう。今度は私達がお助けしましょう」


「ありがとうございます。それでは同行させてもらいます」


 俺はみんなにお辞儀した。



「よし、出発の準備に取り掛かれ」


 カインが言うと白銀の翼のメンバーは護衛体制を整えた。


「ノワール。冒険者になるつもりなら言葉使いを直したほうがいいぞ。もっと雑でよい。そうしないと舐められるぞ」


「ああ、わかったよ、カイン」

「はは、そんな感じだ」


 出発の準備が整い、俺も白銀の翼と一緒に馬車を護衛する。


「あっ、ノワールさんは馬車の中にきてね」


 ここは言われた通りにするか。


 俺は馬車の中に入りコートダールへ向けて出発するのであった。


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