いいよ
蜘蛛が糸を吐く
朝露が捕まる
糸が切れる
表通りに太陽はないよ
代わりに裏道に街灯もない
等しくこの街には
光がない
ずっと向こう側まで
抽象の雲が広がっている
みんなの頭から出てきた雲
晴れる気配などなく
誰も知らない雲がある
浮き足立った
ぼくらの歩み
人類史の早送り
伝記の遅回し
枯らした言葉の水平線
ぼくら糸を吐く
何かを確かめたい
捕まえたのは
朝露だけ
それも重くて
糸が切れる
糸は世界で
ぼくらで
言葉で
どうしたって
留まらないことを知る
だから
もう、いいよ
終わった言葉と
ダンスしてるだけ