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牛乳を買いそびれたスナイパー 1

作者: 森島十也

しくじった


狙撃手(スナイパー)としては依頼人からの信頼、名誉を落とすのと同義の言葉である


もちろんそれは仕事の上での話ではあるが、一人の人間として、家族があれば夫として、父としても同類である


昨日の仕事終わりにスーパーへ寄り、少なくなっているだろうトイレットペーパー、食パン、卵・・・夕飯の材料諸々を買い家に帰る


はたから見たらこんな良い父親は居ないだろ・・・でも


そして牛乳1本を買い忘れただけで愛する妻と溺愛する娘から冷たくあしらわれてしまう・・・


だって疲れて帰るんだぜ、そりゃぁ忘れてしまう事もあるさ、人間だもの


それに仕事だって気を張ってじっとしてなきゃなんないんだよ、狙撃手(スナイパー)なんだもん!!


幼稚園の娘には


「牛乳が無い一日なんて・・・」


と朝から不機嫌になり、妻からは小言のように


「ダメなパパだねぇ」


と何度も小言を言ってくる


え、牛乳1本(3本買って帰るつもりだったって)だけこんなに愚痴られるの、牛乳そんなに偉いの?俺より偉いの?牛乳が勝ってるのは微量のタンパク質とカルシウムだろ、今日帰りに買って帰るから良いだろ?


内に秘めた怒りで思わずトリガーを引きそうになったが、冷静さを取り戻し自分を抑える


ふぅ


全身に酸素を巡らせるように大きく静かに呼吸をする


今日の仕事は特殊部隊が強襲した倉庫から逃げてくる指名手配犯、テロリスト、殺人鬼などの撃ち漏らしの足止めだ


そもそも何で、こんなところに凶悪犯共が集まってるのか疑問だが、私がこの任務に失敗したら明らかに市民に危険が及ぶのが目に見えてる・・・


私情でしくじる事はできない、緊張感を持つんだ!胸骨を閉めるように力む


そして俺はスコープを覗き 突撃の合図を待った


照準を合わせてるついでに小窓を見つけたので中の様子がどうなってるのかを見ると


シルエットが見えるだけで顔までは確認できない・・・が・・・あれは・・・


俺が見つけた中に居る奴が手に持ってる物・・・1Lの牛乳だった


ゆるせねぇ・・・謎の怒りが湧いた瞬間に隊長からの


「突撃!」


合図がかかり閃光弾の発光と催涙弾の煙が立ち昇る


デデデ・・・デデデ 低い小刻みに撃たれる銃弾


煙の中から勢いよく二人の男が出てくる


片方の男は小銃を構え外で待機してる隊員を打とうとしていた


「させるか」


標準を男に合わせ引き金を引こうとした時、もう片方の男が持ってる物、牛乳パックが見えた


トーンっ


俺の放った銃弾は牛乳パックを破裂させ、もう片方の男の持っていた銃を吹き飛ばした





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