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ディザスターゲーム  作者: 神谷秀一
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02

 気が付いたらここに私はいた。

 ふと我に返ったら、思い出したようにここにいた。

 でも、それ以上に違和感だけしか感じない。

 なぜならここは、私の家ではなく、闇に包まれた樹々しかなかったからだ。

「どういうこと?」

 鼻につくのは青臭い植物と土の匂いだ。

 少なくともこんなところにいる記憶と理由が無い。

「私は梓 美咲」

 わかりきっていることだ。言葉にした上で現状を認識する。

「でも、ここはどこ?」

 わからないことを口にする。

 こうなる直前の記憶を思い出そうとする。


「・・・だめね」


 私が私という記憶はある。けれど、ここにいる経緯が思い出せない。それこそ浴びるように酒を飲んだりしたというのならわかるでしょうけど生憎と飲酒の習慣はそこまでない。なんせ未成年だしね。

 でも、そうでなければ誘拐? それこそあり得ないし、そうであるならば拘束されてしかるべき。

 しかし、そんな形跡もなければ記憶もない。

 私は私であって記憶の混濁もない。

 私は梓 美咲であって。高校二年生。だからこそ、身に着けているの高校指定のブレザー。スカートの丈は学校指定のままだけど、流行を無視したルーズソックスが個人的な個性かしら? まあ、身長が170近くというか突破しかけているのも個性の一つでしょうね。

 そんな女子高生が闇の深い森の中にいるという現実。

「ありえないわ」

 一瞬、世界で流行している異世界転移物ののアニメを思い出すけれど、

「違うわね」

 周囲に生えわたる木々が私の知っているものだ。少なくとも杉なのよね。花粉が怖いわね。と言ってもシーズンではないけれど。

 というか、そんな簡単に異世界に行かれても困ってしまうし、トラックに轢かれたような記憶もない。

 でも、こうなった過程の記憶を取り戻さないことにはどうしようもないし、過程の記憶を取り戻したとしても、ここからどうするかを決めないと、それこそどうしようもない。

 時間はわからない。とはいえ夜じゃない。周囲は樹々が生え薄闇に包まれているけれど、少なくとも夜じゃない。街灯のない本当の闇は人の視界では見通せないからね。月明りなんて本当に気休めに過ぎない。

「少なくともここにいるべきじゃないわね」

 なぜここにいるかも思い出せないけれど立ち尽くしたままで事態が好転するわけじゃないわ。

 だからこそ、私は足を踏み出す。


 歩きながら思う。

「草が少ないわね」

 舗装された大地というわけではないのだけれど、雑草が少なすぎるのよ。

 森の中に放置されたというなら自然が奔放しているはずなのに、私の歩く周囲は土がそれこそ地面として広がっている。

 ありえない。

 どこかの庭園ならともかく、ここまで徹底的に歩きやすい森林なんてあり得るはずがない。

 そのくせして見上げる空は樹々の傘に覆われ緑のカーテンしか見えないのよ。

 それこそハンターが行き来する森林のような歩きやすさよ。といっても、現実の世界だし上手にできましたーの焼肉器もないしね。あ、でも、あのゲーム。初期は焼かないと肉手に入らなかったけど、半ばから自動で焼けるようになったわよね。今考えると時間の無駄でしかなかったけれど、なおかつアイテムのスペース圧迫していたけれど、それでも上手に焼けたら少し嬉しかったのよね。

 ・・・思考がそれたわね。

 歩き続けながら果てのない闇の中で緊張感が無かったわ。

 でも、あのゲームでも、こんな闇を歩いたことがある。とはいえ、こんな軽装じゃなかったけれどね。

 虫の鳴き声も聞こえない。

 本来なら森と虫はセットのはずよ。けれど・・・


 きぃきぃ


 と思った直後にそれは耳を叩いた。

 思い出したように緑の世界に虫の声が鼓膜に届く。

「どういうこと?」

 さっきまで完全な無音だった。

 それこそあり得ないことを今になって思い出す。

 けれど、現実は今になって虫の存在をアピールし始めた。

 おかしいでしょ?

 いえ、これまでの状況もおかしいけど、何もかもがおかしい。

「私、変な薬飲んだことないんだけど」

 緑の匂いが濃くなる。それこそ、アマゾンに迷い込んだように。

 ・・・行ったことないけど。

「ラン〇スでも出てきそうね」

 武器の一つも持ってないけれどね。

 ちなみにシリーズ通して大剣使いよ? 

 歩きながら思うのは肌にまとわりつく空気は軽い。多少の湿気は感じるけれどそれだけだ。

 ここにいる理由は意味不明だけれどそこまでストレスは感じていない。

 とはいえ、誰かに出会うとか多少のきっかけは求めてる。ラ〇ポスは御免だけれどね。


 でも、


 嫌なことこそ起こり得る。

 最悪を想定して動けばその最悪が起こることもある。

 その最悪が最低であっても、あぁ、良かったって思える時があるの。

 それでも、


「ふざけんじゃないわよ・・・」


 ギィギィと声を鳴らして、葉なり散らして、

 それは姿を現した。

 私の身長と同じ頭高の異形。少なくともトサカを生やした異形の爬虫類。

 それがゆっくりと姿を現していく。

 そして、私は叫ぶ。


「ランポ〇!」

モンハンネタはありますがネタだけです。

ちなみにガチ大剣使いです

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