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化け物勇者の少女  作者: 四季 冬潤
始まり ~日本(パラレルワールド)~編
13/22

第七話 白熱戦

前回選ばれた選択肢

1.魔法アリ

 今までに私と戦って好成績を残した人は一人しかいない。しかもそれは私が9歳の時なので、多分その人ともう一回戦ったところで私の圧勝で終わってしまうだろう。つまり、過去に全力で戦えたのはその一回のみ。正直、また全力で戦いたいと思っている。

「アリでいいよ」

 なので、こう返した。

「わかりました。私も全力を尽くします」

 女の子は、両腕を前に突き出す構えをとった。魔法を使う気だ。

「ルールは簡単! どちらかが戦闘不能、または降参したら終了!」

 桜がルールを言うのに合わせ、私も構えをとる。

「それでは……はじめっ!!」

 桜が開始を宣言した途端。


 私の視界は真っ白に染まった。

「……!」

 声が出ない。息ができない。何が起こったのか瞬時に理解できず、軽いパニックに陥る。

「私は、氷属性に適性があるんです。窒息死するまでそのままでいてもらいますよ」

 女の子の声がくぐもって聞こえてきた。私は今、氷の中に閉じ込められているようだ。そして彼女は、私を……殺すつもりでいる。

 まずい。このままでは、死ぬ……っ! 意識が酸素不足で朦朧(もうろう)としてきた。

「流石のきゅ……の貴女でも、これには……もできないでしょう?」

 手先、指先の感覚が無い。体の芯が凍り付いているかのようだ。

 最終手段を使うしかない……っ!

 私は、魔力を全開放出する。私は魔法適性がほぼ無いくせに、魔力保有量はとんでもなかった。その魔力を大量に使うことで、燃費は悪いが初級魔法までは何とか使うことができた。

 とんでもない量の魔力を身に受けるとどうなるのか。それは、気を失うのはまだいい方で、魔力中毒や魔力暴走を引き起こすこともある。

 そんな量の魔力を放出することにより、氷にひびが入る。

「そんな……!? 私の魔法でもダメなの……!?」

 残念ながら、氷を割りきることはできなかった。後は自分の体を使って氷から脱出する。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 体が酸素を求めて喘ぐ。朦朧とする意識が急速に回復する。

「まだ、今なら……いけるっ!」

 まだ少しふらつく私に少女は襲い掛かってくる。どうやら彼女も魔力をかなり使ったらしい。先ほどの様に氷に閉じ込めてくる事は無かった。

 多少ふらついているとはいえ、私をなめてもらっては困る。鳩尾を狙った手刀を左手で捕らえると、そのまま自らの馬鹿力で背負い投げをする。私の馬鹿力の所為で大抵の人は叩きつけられて気絶するのだが、

「くぅっ……!」

 少女はうめき声をあげるだけだった。すぐに立ち上がり、体勢を立て直す。そして今度は氷魔法を駆使した乱舞で私を追い詰めようとしてくる。が、悪いけど隙だらけ。いとも容易く押し倒すと、彼女の首に手をかけて、いつでも首の骨を折ることができる、ということを分からせる。

「くっ……参りました……」

 さすがに私が少量混ぜた殺気に気付いたか、あっさりと降参してくれた。往生際が悪い人は、これでも抵抗してくるので私としては嬉しい判断である。

「勝負あり! 勝者、アマナイ・ニファー!」

 わっ、と歓声が沸き起こる。あの氷でみんな、肝を冷やしたことだろう。その反動か、いつもより歓声が大きい気がする。

 何とか勝ったものの、正直危なかった。しかも相手は殺す気満々。よく生還できたと思う。

「死ぬかと思った……」

 思わず口に出してしまった。

「……」

 当の本人は黙り込んでいる。

「ニファー、大丈夫!?」

 今の言葉を聞いたのか、かなり慌てた様子で桜が声をかけてくれた。

「うん、何とかね……」

 私はそう答えるも、実はまだ足の感覚がない。

「とりあえず、少し休憩した方が良いよ。座っていてよ」

 桜がそう言ったので、私は休んでおくことにした。

「で、あなた……って、え?」

 桜が少女の方を向くと、


 いなくなっていた。


「え? え、あ、あの子、は?」

 桜が動転した。滅多に見られない光景ではあるのだが、私も動転しているのでその状態を楽しんでいれない。

「え、えっと、消え、た?」

 私も動転していて、まともに発音できない。

「今まであの子、いた、よね?」

「う、ん。いたよ」

 確かにさっきまでいた。痛みを感じていたし、決して幻ではない。

「でも、お化けとかではない。だってさっき、ちゃんと触れたし」

「……考えても仕方がないね。そういう物だと考えておこうか」

 と、桜が気にしない宣言をしたので、そっちの方がいろいろ良いかと思って私も気にしないことにした。

「あれ? やけに静か……!??」

 気にすることをやめた途端、周りが静かなことに気づき、今まで視界に入っていたが意識に入らなかった周囲を見ると、全員気絶していた。

「……あぅ」

「桜っ!?」

 桜が倒れてしまった。


「ごめん、もう大丈夫だから」

 桜の自室に桜を運び、ベッドに寝かせていたが、今さっき起きて、もう大丈夫と訴えてきた。ちなみに他の人は叩き起こして帰ってもらった。なかなか起きない人も居たので多少手荒な方法もとったが。

「ほんとに大丈夫?」

「うん。ちょっと驚きすぎただけだから」

「多分、桜が気絶しなかったら私が気絶してたけどね」

 むしろ、桜はかなり過保護な面があるので、そうならなくて助かったというのもあるけど。何をされるか分かったものじゃない。

「大丈夫? ご飯は食べれる?」

 現在時刻は7時15分。もう夕ご飯の時間だ。今日はどうやら桜のお母さんの方も居ないようなので、私がご飯を作った。野菜炒めポン酢味。

「うん、だいじょーぶ」

「ほら、あーん」

 一応倒れた人なので、ご飯を口に運んで食べさせる。

「この年になってあーんって……///」

「ほーら、ぐちぐち言わないで食べる!」

「むぐっ」

 恥ずかしさにより食べようとしないため、無理矢理口に押し込んでやる。

「んぐ……美味しい。また料理の腕を上げたね、ニファー。これならどこにお嫁に行っても恥ずかしくないね!」

「まだ行く予定はないけどね~」

 残念ながら、私はその程度のセリフで動転はしないのだ。


「じゃ、私は帰らせてもらうよ」

「うん、ありがとうね。看護してくれて」

「看護なんてそんな立派なものじゃないけどね」

 ふふ、と二人で笑った。今は8時3分。そろそろ帰らないと妹が心配しだす頃だ。

 桜の家を出て、自分の家へと向かう。もうすっかり暗くなっている。8時だから当然か。街灯の光がなんとも心強い。

 幸い、変な人に会うことも無く無事帰宅ができた。自分は巻き込まれ体質だから(認めたくはないけど)、用心しすぎてちょうどいい。

「ただいまー。ごめん、遅くn」

「おねぇぇぇちゃあぁぁぁぁぁん!!!」

「おっと」

 家の玄関の扉を開けた瞬間、妹がすごい勢いでリビングから飛び出して抱き着いてきた。でも難なく受け止める。

 妹の名前はソティアナ(愛来)。一応漢字も用意されている。それは私もそうだが、普段はほぼ使用していない。せいぜい書類だけだ。ちなみに私の名前を漢字で書くと天奈 狐尾になる。ニファーは何処の言葉かは知らないが狐の尻尾と狐の毛皮を意味するらしい。ソティアナはソティで愛らしい、ティアナで未来だそうだ。

 ソティアナ――ティアは私と全く似ていない。髪色はサファイアブルー、目は右目がエメラルドグリーン、左目がアメジストパープルとオッドアイで、外に出るときは眼帯をかけているが今はかけていない。以前、オッドアイを理由にからかわれたことがあったので、それを今を引きずっている。そして体格は私よりもいろいろと小さい。どうやら隔世遺伝をして、私とは全く似ていない容姿になったのだろうというのは母の言葉。現在中3で、高校は私と一緒が良いとのこと。

 そしてティアは……シスコンである。すご~く私の事を慕ってくれているのだが……時々ティアの愛が怖いことがある。

「お姉ちゃん♪ おかえりぃ~」

「あ、うん。ただいま」

「お帰りニファー。遅かったわね」

「ただいまお母さん。人生で初めて負けるかと思った相手だったよ」

「あらあら、それは大変ねぇ」

 全く大変だと思ってないだろ、この人。

「うそっ!? お姉ちゃん、それは何処のどいつ!? 私がO☆HA☆NA☆SI☆してくるっ!」

「行かなくていいから!」

 ティアをホールドして外に行かないようにする。この子は冗談抜きで何をするか分かったものじゃない。放置するとあの女の子を殺してきかねないので止めておく。いや、逆に殺されるかもしれない。とにかく、止めておかないと。

「あらあら、まあまあ。ティアは夜になっても元気ねぇ~」

 だからお母さん! 見てないで止めてよ!

 うちには変な人しかいないのかー!

どうも、四季冬潤とかいう者です。

もう片方の小説と同じく、こちらも1回の文字数を増やしていきます。


次回投稿は9月15日前後になると思います。

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