049「改めて! 母さんの告白」
「この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません」
「そう言えば…………………………何の話だっけ?」
「いや、母さんの出生の話だよっ!!」
母さんはすっかり『話の内容』を忘れていました。
「あ、そうそう……ごめんなさい」
母さんは屈託のない笑顔を見せながら舌を出して謝る。50代にはまるで見えない若さとノリ……。
「拓海~……今、何かとても失礼なこと…………思ってなかった?」
ドキィィィーーーーー!!!!
「え? え? な、何も……何も思ってないよ。な、なななに言ってんだよ、母さん……あは……あははは」
「そう? そうなの? 母さんの勘違いだったの? ごめんね、疑うようなこと言って……うふふふ」
母さんの勘の鋭さを忘れていた俺は肝を冷やす。
そんな、やりとりの後に母さんは話を始めた。
「最初に言った通り、母さんは拓海がいた異世界……アルヴァゼロという世界のリザスター王国の第一王女だったのよ」
「お、お母さんが…………お姫様っ!?」
メグが目をパチクリさせる。
「まあ、拓海がいた頃より1000年前の時代の…………だけどね?」
「え? 1000年前? ど、どういうこと?」
メグは驚きから一転、顔を思いっきり曇らせる。
無理もない。
「母さんも理由はわからないわ。でも、それを言ったら…………そもそも拓海が『母さんと父さんがいた異世界』に……しかも母さんがいた時代の1000年後のアルヴァゼロに転移するなんて、いくらなんでも出来過ぎよ」
「たしかに……」
俺は母さんの言葉に同意し、共に考え込む…………が、
「ちょ、ちょちょ、ちょっと待ってっ!? お、お父さんも、異世界に行ってたのっ……?!」
メグ、再び目をパチクリさせる。
「そうよ。お父さん…………誠一さんがアルヴァゼロに来てくれたおかげで、母さんは父さんと結ばれてあなたたちが生まれたのよ…………ウフフ、誠一さん、かっこよかったな~……」
母さんは話をしながら昔を思い出したのか、思い出し笑いを始めている。
「お母さんっ!?」
「は、はい!」
「マジメに話して……っ!」
「……ご、ごめんな……さい」
メグ、マジ怒り。
母、マジ謝罪。
ということで、母さんはとりあえず父さんとの出会いのきっかけから魔王討伐の話……そして討伐失敗後の魔王封印の話まで話してくれた。
「ちょ、ちょっと待って、お母さん! 話をまとめさせてもらっていい?」
「いいわよ」
「ありがと。え~と……まず、お父さんと、麗香お姉ちゃんのお父さん、そして、静流君のお父さんがお兄ちゃんがいた世界の1000年前の時代の異世界アルヴァゼロに転移したってことであってる?」
「ええ、あってるわよ」
「で、お父さんたちは『救世の勇者』という存在で、お兄ちゃんがいた時代のアルヴァゼロでは『世界を救った英雄』として語り継がれていたけど、実際はその魔王を倒すことはできなかったが、何とか封印することはできた……」
「ええ、そうよ。そして、父さんたちは異世界で活動できる期限が『転移してからの1年』までだったから、討伐する為の力を身に着ける時間はなかったの。それでお父さんたちは地球へと戻ってきた。そして、私はお父さんたちと……お父さんと一緒にいたいということを言って特別に地球に一緒に戻ることを許可してもらったの」
「「許可してもらった? 誰に?」」
俺はメグと一緒にハモるように母さんへ質問をした。
「え? そりゃ~………………神様よ」
「「はっ……?」」