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047「宇龍会の切り札と救世の勇者【その9】」

「この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません」



「か、母さんが……1000年前のアルヴァゼロの…………リザスター王国の第一王女……」

「そうだよ~。びっくりした?」



 ビックリするわっ!?


「ちょ、ちょっと待って…………そ、それじゃあ、俺って…………お、俺から見ても…………自分が転移した時代のアルヴァゼロの王家の血筋の人たちって…………」

「うん! すっごい遠いかもしれないけど拓海の子孫とも言えるかもねっ!」

「な……な……」


 なんじゃそりゃ~~~~~~~!!!!!!!!!


「あれ? もしかして拓海…………アルヴァゼロ(むこう)にいたときにリザスター王家の関係者と…………何かあった?」


 ギクッ!


「え? あ、いや…………別に……何も……」

「もしかして……お姫様あたりと……………………やっちゃった?」

「や、やってねーよっ!? ていうか、母親がそう言うこというなよっ!!」

「え~、でも、それってけっこう大事な問題だよ?」

「うっ!?」


 完全に正論である。


 などと、前話から続いている『朝比奈家』の空気読まない会話にさすがに業を煮やした男…………いやさ、少年が口を開く。


「おい……。お前たち、ずいぶんと余裕があるじゃないか。舐めてるの…………かいっ!!」


 そう言ってナンバー10が『何か』を俺と母親に飛ばしてきた…………が、


 パシンっ!


「…………えっ?!」


 俺が片手でその『何か』をいとも簡単に弾いた事実にまたもや呆気に取られるナンバー10。


「いや……"えっ?!" じゃなくて……。今、飛ばしたのはただの『風』だろ? まあ、具体的には『風を圧縮させたもの』かな?」

「なっ?! ど、どうして、それを…………」

「いや、わかるだろ、それくらい? まあ、実際、何回か見せてもらわないと確信には至らなかったけど……もし『風の圧縮』以外の何か『特別なもの』であればこうも簡単には理解できなかったけどな……」


 拓海はまるで当たり前のような調子でナンバー10に説明をする。


 それもそのはず。拓海は異世界で一年間魔物が棲む森やダンジョンなどで戦いに明け暮れる毎日を送っていた。その為、戦闘が始まったとき、いかに早く相手がどういう敵か、どの程度の敵か、ということを判断する必要が出てくる。しかも相手は『魔物』という人間とは異なる存在(まあ人間の敵も時にはいたが……)。そんな、魔物と戦うような世界で培われた『経験』は結果、『特別な経験』として地球に帰ってきた今でも大きな武器となっており、そして、それが今、発揮されているのだ。


「それに……えーと……ナンバー10だっけ、お前の名前? まあ、どうでもいいけど。とりあえず、お前……さっき俺が堂島のところへ移動したとき、俺の動き完全に見えてなかっただろ? はっきり言ってその時点で『お前程度は俺の敵じゃない』と判断できた」

「!? こ、この……や………………!!!!」


 フッと目の前の拓海が消えた……と思った瞬間、


「ほら、な?」

「っ!?…………」


 拓海がナンバー10の背後を取ったと同時に、手刀をナンバー10の首に『トン!』と置く。


「~~~……っ?!」


 目の前の現実を受け入れられず、ただただ、『怒り』と『驚愕』と『恐怖』の混じった状態で体を震わせるナンバー10。


「とりあえず、あんたらは宇龍組とは直接は関係ないらしいから、このまま引き下がってくれるならそれでも構わない。だが、それでも俺に敵対する気なら…………やるよ?」


 ゾクリ!


 拓海が『確実なる殺意』を言葉に含ませてナンバー10に問いかける。


「い、いいだろう…………ここまでコケにされて……黙ってられ…………」

「お待ちくださいませ……」

「!?」


 その時、


 一つの影が拓海とナンバー10の間に割り込み入った。


 それは拓海でさえ気配を感じられないものだったため、拓海はその『老人』に警戒レベルを上げる。


「なんだ、あんた……?」

「お初にお目にかかります。私は『かすみ』と申す者…………ナンバー10様の執事にございます」


 老人はそう言って深々と頭を下げる。


 その姿、所作だけでも、その老人が『只者ではない』ことを物語っていた。


「申し訳ございません。今回は我らはここから退散させていただきます」

「霞っ!?」


 かすみは迷うことなくその言葉を発し、その後ろでナンバー10が吠える。


「そうか……わかった」

「ご慈悲、誠にありがとうございます」

「お、おいっ!? 霞っ!! お前、一人で勝手に……何を……」

「ナンバー10様、ここは一旦離れます」

「はぁ?! ふざけたこと抜かす…………なっ?!」


 そう言うと霞は、ナンバー10に『何かスイッチのようなもの』を向けた。するとその瞬間、ナンバー10の体が硬直する。


「……それでは」


 一言だけ言って霞はナンバー10を軽々と抱え、屋上から下へと飛び降りた。拓海はすぐにその霞が飛び降りた手すりへと向かった…………が、そこにはすでにその姿はなかった。


「イルミナティ・ナンバーズ……か」


 拓海はこの事を皆に報告しようと考えた……………………が、その前に、


「母さんっ!!」

「はい。“母さんの話、詳しく”…………でしょ?」


 相変わらずのマイペースの母親がニコッと微笑みながら話を始めた。



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