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042「宇龍会の切り札と救世の勇者【その4】」

「この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません」



「「ただいま~」」



 俺とメグは家に帰るといつもように声をかける……………………が、


「ただいま~…………お母さ~ん! 今、帰ったよ~! お~い……!」


 メグが声を張って声をかけるが反応が…………ない。


 俺とメグはとりあえず居間へ行くと、テーブルに『書き置き』が置いてあった。


「お、お兄ちゃん…………こ、これ……」


 メグが俺にその『書き置き』を渡す。


"『母親は預かった。宇龍会の事務所まで一人で来い。もし、警察にチクったりしたら、それがわかった時点で母親を殺す』"


 ブワッ!!!!!!


「きゃっ!?」


 俺の『圧倒魅了デスピア』を超えた威圧のようなオーラを横で受けたメグが1メートルほど吹き飛ぶ。


「お、お兄…………ちゃ…………ひっ?!」


 メグは拓海の『圧』に思わず、悲鳴を上げる。


 ちなみに、後日、その時の俺の様子を聞くと、『まるでお兄ちゃんじゃないお兄ちゃんがそこにいた』と言っていた。


 俺は、家族…………しかも『母親』という俺にとって『かけがえのない存在』に手を出したこの現実に一瞬、暴走しかけそうなレベルの怒りをはじき出してしまった。


「メグ……お兄ちゃん、ちょっと行ってくるね。お前はお家で待っておくんだよ」

「え、あ…………あ、あたしも……お兄ちゃんと……一緒に……」

「メグっ!…………メグはちゃんと聞きわけがあるよね? ダメだよ? 今日はお兄ちゃんの言うことを聞くんだ…………いいね?」

「え、あ…………は、はい」


 メグはその時、裏山で拉致されたところを拓海に救われた時の『まるで別人の拓海』を思い出し、思わず、他人行儀な『敬語』で返事をした。そんな『敬語』で接する自分がどうしてなのか……メグは今、はっきりと理解した。それは…………『拓海を怖い』と感じたからだ、と。


「……まったく……本当に…………この世界ってのは………本当に理不尽というか……やりたい放題の奴らがゴマンといるんだな…………みんなが言っていた通りなんだな、この世界ってのは…………狂ってるよ、本当に」

「お、お兄…………ちゃん?」

「ちょっと行ってくるよ、メグ。あと……」

「えっ……?」


 メグは拓海の手が青白い光が集まりだす光景を目にする。


「S級防御付与魔法…………『絶対守護結界ガーディアン』」


 すると、拓海の手から発せられた『青白い光』がメグの体を包み込んだ。


「えっ……?! な、何? こ、これ……?」

「心配しなくていいよ。今、メグの体の周囲に『守護結界』を展開した。これでお前を傷つけることは誰にもできなくなった。だから、メグは家で待っていてくれ。な~に、これはお兄ちゃんの『暗示』みたいなものだから、何も問題ないからね?」

「お、お兄ちゃん……」

「いいね? 家でちゃんとお留守番しておくんだよ…………じゃ」

「お、お兄ちゃん……」


 そう言うと、拓海は不安げな表情を見せるメグを尻目に『鬼の形相』で家を飛び出した。



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