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002「無双する救世の勇者」



 現在、俺は5人の不良グループに拉致され、校舎の裏山にいた。



「…………さて、拓海よ~。お前、病院で生き返ったのは何でも『奇跡』だって言うじゃねーか」


 リーダー格の男がアーミーナイフで俺の頬をペタペタしながら話しかけてくる。


「まあ…………医者はそう言っていた……けど…………」


 俺は普通にその男の言葉に答える。すると後ろから、


「何、冷静に答えてんだ、この野郎っ!」


 ゴッ!


 190センチ近くある丸坊主の巨漢の男が俺の後頭部を思いっきり殴った。


「ぐっ?!」


 俺は殴られた後頭部の痛みを両手で抑えながら苦悶の表情で膝をつく。


「おい、やめろっ! いきなり後頭部に思いっきりパンチ入れるなんてアホか! こいつが一発で失神したら面白くないだろうがっ!」

「す、すんません……」


 リーダー格の男が大男に笑いながら注意する。


「ごめんな~、拓海。こいつ、見境い無くってよ~。俺はそんな一発でお前に失神されるとよ~、楽しみがすぐになくなるから俺は嫌なんだよ。わかるだろ~、その気持ち?」

「…………」

「お前にはもっとこう……………………じっくり痛めつけて恐怖を植え付けたいんだよっ!」


 そう言うと同時に、リーダー格の男が手にしていたアーミーナイフを俺の頬にスパッと、何の躊躇もなく入れた。


「…………はっ?」


 そんな、素っ頓狂なセリフを漏らしたのは俺………………ではなく、そのアーミーナイフで切りつけたリーダー格の男だった。


 どうして、そんな素っ頓狂なセリフが漏れたのかというと、それは俺の…………アーミーナイフで切りつけたはずの俺の頬が、血はおろか、切りつけた痕さえ付いていなかったからだ。


「え? 今、俺…………確かに、こいつの顔にナイフを入れた…………よな?」

「は、はい……」


 リーダー格の男は、取り巻きの仲間に確認を取る。


 だが……、


 俺の頬にはそのリーダー格の男が切りつけたナイフの後は一切なかった。


 そりゃあ、そうだ。だって、俺の体………………異世界あっちからのステータス引き継いでいるし。


 ちなみに、さっきの大男の不意打ちの後頭部への攻撃もわかっていたが、あえて殴らせた。理由は殴らせたところで大した痛み…………というより何の痛みも感じないだろうということが直観的に理解できていたからだ。


 ただ、その時、苦悶の表情で膝をついた『フリ』をしたのは、こいつらの手の平であえて踊ってみて、俺をどうするつもりかを見極めようと思ったからだ。


 すると、このリーダー格の男はいきなりナイフを俺に切りつけてきた。


 普通の人間なら下手したら一生傷が残るようなことをこいつは何の躊躇もなく平然と行った。もう、それだけで俺はこいつらを見極める必要はないと悟った。


「お、お前…………何しやがったんだ?」


 リーダー格の男の表情からはさっきまでの上から目線の下品な笑い顔は消え、今は嫌な汗が流れる、なんとも言えない不安な表情を浮かべている。


「…………まあ、言っても信じないだろうし、俺がこれからお前らを叩きのめしても誰も信じないだろうから言うが、俺はこの一カ月の間、異世界に行っててさ、そこで、そりゃあもう…………バカみたいに強くなったんだよね」

「は? 異世界?」

「ひゃははは、こいつ、やっぱアニオタだわ。異世界に行ってきたとかアホじゃねーかっ!」


 周りの取り巻き連中は俺の言葉を聞いて一斉に笑い罵倒する…………しかし、リーダー格の男だけは笑っていなかった。


「てめー、いいかげんにしろよ、この野郎ーーーーーっ!」

「ぐがぁあああ~~~~!!!」


 取り巻きの一人とさっきの大男が俺に殴りかかってくる。しかし……、


「え? あ、あれ?」

「ぐがっ?!」


 俺は一瞬でその二人の『背後』に周りこんでいた。そして、


「よいしょ、と!」


 ドゴン!


 ゴガッ!


 俺は、かな~~~り手加減をして二人にパンチを当てた。しかし、その威力は俺が思っていた以上だったようで、大の男二人が斜め上の上空へスコーンと飛んでいった。距離にするとだいたい100メートルといったところか。


「あれ? これくらいでもこんだけの威力あんの? ウソでしょ?!」


 俺は、今の『かな~~~り手加減パンチ』が想像以上の威力だったことに驚いた。


「「ば、化け物…………」」


 そう言うと、リーダー格以外の二人の取り巻きの男たちはそそくさと逃げていく。


「……お、お前、いったい、何なんだっ?! 今のパンチなんだよ! あんなの人間ワザじゃねーだろがっ! ああっ!?」


 そう叫ぶと同時に、リーダー格の男は再び手に持ったアーミーナイフで俺の目を狙って突き刺してきた。


「よっと!」


 俺は、そのナイフを右手の人差し指と中指で目の前で止める。そして……、


「えいっ!」


 ポキン!


 俺は奴のアーミーナイフを小枝のように折った。


「?!…………そ、そんな……バカなっ?!」


 リーダー格の男は真っ青な顔をしている。


「あんたらさー、俺をイジメるのはもうやめろよな。次、そんなことしたら………………殺すよ?」


 俺は『威圧』と『覇気』を混ぜたような圧…………『圧倒魅了デスピア』をかなり抑えめではあるがそれを男に向ける(全力でやるとショック死しちゃうからねっ!)。


「ひっ?!」


 男は、俺の『圧倒魅了デスピア』により、まるで俺を『悪魔』でも見るかのように怯えた顔をする。


 そして、俺はさらに『トドメ』と言わんばかりに、今、刃を折ったアーミーナイフをさらに両手で握りボキボキ力を込める。すると、そこにあったアーミーナイフは原型を留めないレベルでボロボロになり、それを見たリーダー格の男は腰を抜かしたのかヨロヨロと地べたに座り込んでしまった。


「あと、俺の大切な仲間や妹、家族に何かしても、不安にさせても殺すから。あと、俺のこの『力』のことを言っても殺すから。まー、こんな『アニメ』みたいな力のことを言ってもバカにされるか、頭がおかしいと思われるだけだと思うけどな」


 俺はリーダー格の男にそう告げると、


「それじゃ、そういうことでっ!」


 そう言って、二人が待つファミレスへと向かった。


 一人になったそのリーダー格の男が声を震わせながら呟く。


「な、なんなんだ、あいつは…………あんな…………人間離れした悪魔のような力…………一体、何者なんだよっ?!」



 男はずっとそこで腰を抜かしたまま夜更けまで座り込んでいたそうな。



作者自身も予定ではなかった、まさかの…………四連投。


きっと、作者はMなんですね。

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