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029「告白と救世の勇者」



「何すんのよ、あんたたちっ!!」

「れ、麗香……」



 突然、俺たちの目の前に2台の黒のワンボックスカーが急停止すると、中から出てきたチンピラに襲われそうになったが、麗香が俺の前に立ち、チンピラを撃退した。


「「「なっ……!? あ、兄貴ーーーーっ!!!」」」


 麗香に倒された男はどうやらこのチンピラの『兄貴分』だったようで、いきなり、その兄貴分を倒されたことに動揺した5人のチンピラは、


「ち、畜生……何が……どうなってやがるっ?! と、とりあえず、全員攫さらっちまえーーーーーーーーっ!!!!!」


 そう言って、チンピラが一斉に麗香に向かってくる。


 麗香は相手の攻撃を避けながら動いてはいるものの、チンピラも一人一人が中々の相手のようでさっきの不意打ちのような感じで倒すことはできずにいた。


 俺はそんなチンピラを見て『黄龍』の関係者もしくは、その上の…………もしかしたら『ヤクザ』か? と思考する。


 そんなことを考えていると、麗香が少し息を切らし始めた…………その時、麗香の死角から鉄パイプで殴ろうと男が突っ込んでくる…………が、


 バキッ!


「「えっ……!?」」


 俺と光也は目の前で起こった光景に驚いた。というのも……、


「助太刀いたす…………レイカ嬢っ!!」

「やるじゃん、静流っ!!」


 静流が………………あのアニオタの静流がっ!…………麗香に鉄パイプで襲い掛かった男に対し、手刀で鉄パイプを叩き落とすと同時に、顔面の急所である『人中』へと遠慮なく肘を入れた。


「うごぁっ?!」


 静流に肘を入れられたチンピラはその攻撃で意識を飛ばされたらしく、重力に逆らわず静流の目の前にズルズルと倒れた。


「え……? 静流? 何で、お前がそんなこと……」

「し、静流君…………すごい」


 俺と光也は静流の初めて見たその『体術』にただただ唖然としていた。


「タクミ氏っ! 詳しい話は後で話す! とりあえず今は……」

「うんっ! このチンピラをやっつけるわよっ!!」


 そう言って、麗香と静流の二人は上手い事連携しながら残りのチンピラを倒していった。特に麗香に関しては、これまでメグと冗談半分で組み合っていた時とは明らかに異なるレベルの『身体能力』で屈強なチンピラたちを簡単にねじ伏せていく。



――十分後



「ハアハア……こ、これで…………全部ね」

「ハアハア……う、うむ…………と、とりあえず……これで全員……やっつけたようで……すな……ハアハア」


 麗香と静流がチンピラ全員を倒した後、パシッ! とハイタッチをして笑い合う。


「「いやいやいやいやいやいや…………………………説明しろっ!!」」


『蚊帳の外』状態となっていた俺と光也が二人に説明を声を大にして求めた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「拓海はさ、お師匠さん…………お父さんのこと…………どこまで知ってる?」

「えっ……?」



 麗香が突然、何故か俺の父さんの話を出してきた。


「な、何で……ここで……父さんの話が出てくるんだ?」


 当然、俺は麗香が何を思って父さんの話を出してきたのかわからなかったので質問を返す。すると……、


「タクミ氏…………本当なら、タクミ氏の親父さんから話をする時が来ると思うのだが、吾輩とレイカ嬢は『早いほうがいい』と判断してこれから話をする…………」

「な、何だよ……早いとか……遅いとか…………」

「まず、一つ一つ説明する…………。まず、単純にタクミ氏が聞きたいのは…………吾輩のことだよな?」

「そ、そうだっ! 麗香は空手を父さんから習っていたから強いのはわかる…………が、お前はそんな格闘技なんてやったこと…………」

「タクミ氏っ!…………実は、吾輩は小学3年の時から父上より体術を習っていた」

「はぁ~っ?! ウソだろ?! お前からそんな話聞いたこともないし、中学の時、町で不良に絡まれて殴られてお金せびられていたこともあったじゃねーかっ!!」

「……ああ、そうだな。でも、その時、返り討ちにしなかったのは目立たないようにするためだ。下手に対抗できる力を見せても『得』をすることなんてないだろ?」

「ま、まあ……それはわかるけど…………でも、そもそも、何で体術を習っていたことを俺たちに隠す必要があるんだ?」

「それはこれからする話に関わってくる。そして、それは…………お前を中心にした話になる」

「えっ…………?!」


 すると、今度は麗香が話を始めた。


「拓海…………たぶん、気づいているかと思うけど、私がメグちゃんとやり合っている時と今の私の強さが全然違うのもこれから静流が話す内容に関わってくるわ」

「…………麗香」

「……あと、光也!」

「!? な、何……?!」

「光也には巻き込んだ形になってしまって申し訳ないけど、ちゃんと私の父のところから警備の者を頼んであるから心配しないで」

「け、警備の者?…………麗香のお父さんって、あの『雨宮ネオインダストリー』の社長だよね? ていうことは、君のお父さんも関係してくる話なのっ?!」


 光也が麗香の言葉を聞いてすぐに質問を返す。


「ええ、そうよ。もっと言えば、私の父と、静流の父親、それと…………拓海のお父さんが関わっている話よ」

「ええっ?! と、父さんが…………?! れ、麗香…………何を言って…………」

「タクミ氏っ! これからする話は正直言って吾輩も初めて聞いたときは信じられなかった…………だが、それは真実であり、そして、すべては前から準備されていたものなんだ」

「前…………から?」

「とりあえず、ここから離れましょう。またチンピラが来るかもしれないし、そもそも、こんな監視カメラがいっぱい設置されているような街中で話す内容じゃないわ! 光也は…………どうする?」

「もちろん! ボクも行くよっ! 協力できることはないかもしれないけど、話は聞いておきたいから…………親友として…………」

「……わかったわ」


 そうして俺たちはその場をすぐに離れ、『秘密基地』へと向かった。



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