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028「接触してきた宇龍会と救世の勇者」



――月曜日



「はぁぁあぁあ~~………やっぱり難しいですなぁ~~~……召喚魔法の作成」


 お昼休み。


 俺と静流と光也、麗香といったいつもの4人は屋上で弁当を食べていた。


「そりゃそうよ。だって、そもそも召喚魔法が簡単に作成できるなんて思っている静流の頭が問題よ」

「そうそう」

「うう……レイカ嬢、光也………………手厳しい」


 昨日、俺が飛翔魔法の最大出力で飛んでみたものの静流たちが期待していた『空間に穴が空く』とか『異世界の入口が出てくる』といったことはなかった。


「まあ、それが普通だって言ってんだろ、静流。俺は『魔法が使える』ことはあっても『魔法を作る』こと自体は無理だと思うぞ」


 俺は静流に改めて主張する。しかし、


「ダメだよ、拓海! そんな最初からネガティブに考えちゃっ!!」

「そうよ、拓海っ! まだ、試していないことはいーーっぱいあるんだからっ!!」

「そういうことだぞ、タクミ氏っ!」

「!?…………は、はい」


『召喚魔法は作れない』などと言ったネガティブ発言を口にすると、静流だけでなく光也や麗香から総ツッコミされてしまう。


 なんだかんだで、光也と麗香も『異世界へ行ってみたい』という願望があるらしく、その可能性を潰すような発言は厳しいツッコミを受けるというのが現状である。


 要するに、面倒くさい状況だ。


「とにかく、拓海は魔法をいろいろ使えるんだからさ、例えば、可能性のありそうな魔法と魔法をくっつけてみるとか……そういうのはできないの?」


 麗香がふと、俺にそう尋ねる。すると、


「なるほど。そうだな……レイカ嬢の言う通り、まず召喚魔法は置いといて何かの魔法と魔法をくっつける……いわゆる『魔法の合成』から試してみるのはどうだろう?」

「「おお~、いいね~~~~!!」」


 俺以外の三人はノリノリ。


「ということでタクミ氏。早速だが『魔法の作成』の前に『魔法の合成』をやってみるのはどうだ? ていうか、それもやったことないのか?」

「魔法の合成……か。う~んどうだろう? やったことないからわからないけど、それは………………できそうな気がする」

「「「おおおおおおっ!!!」」」


 三人のテンションが一気に上がった。


「ちょ、ちょっと待てっ!! い、今、ここでやれってか?!」

「ああ。大丈夫……ここは屋上だし、しかも今、吾輩たち以外誰も使っていないから問題ない。な~に、誰も派手な魔法をやれって言ってるのではないぞ? 目的は『魔法の合成』なんだから、地味な奴で構わないぞ。どうだ?」


 静流が怒涛の説明で、俺は丸め込まれていく。


「わ、わかったよ。う~ん、ちょっと待ってくれ……」


 そうして拓海はしばらく考え込むと、


「それじゃあ、火属性と風属性の魔法を合成してみるよ」

「「ひ、火属性と風属性の魔法…………だとっ!?」」


 静流と光也がテンション爆上げで反応した。


「タ、タクミ氏……………………いいな~、すごくいいな~……吾輩もそんなセリフ言ってみたいんですけど」

「まったくだよね、静流。拓海じゃなければただの中二病発言なんだけど……それが現実できちゃうなんて、正直…………うらやましい」


 静流と光也……特に静流のジト目と圧が半端ない。


「ま、まあ、目で見える魔法っぽいもののほうが検証もしやすいと思ってさ…………はは」

「おい、タクミ氏。早く、召喚魔法を完成させるぞ! そして、召喚魔法を完成させた暁には、吾輩も異世界へ行って…………魔法を身に着けるんだ!」


 静流が『フラグっぽい物言い』を始めた。


 う~ん…………正直、異世界に行っても魔法が使えるかどうかはわからないんだけどな~。俺はチート能力をもらったから魔法も使えるようになったんだけど…………そう言えば、神様経由なしで異世界に行った場合、魔力とかスキルってどうなるんだろう?


 俺は、いろいろと疑問が湧いたが、とりあえず、『魔法合成の実験』をしないと噛みつかれかねない状況であったのでいったんその疑問は横に置いておいた。そして、


「じゃあ、いくぞ…………まずは右手に火属性魔法『リルフレイム』、と……」


 ボッ!


「「「!!!!!!!!!」」」


 拓海が魔法名を言うと、その右手に『50センチ程度の火柱』が立った。


「す、すごい…………拓海の右手から……火柱が……」


 麗香が三人の心の声を代弁するかのような言葉を漏らす。


「次に…………左手に……風属性魔法『リムウィンド』を、と…………」


 ビュウゥゥゥ!


 今度は目には見えないが、拓海の左手から上へ向けて吹き上がる風を三人は感じた。


「そして…………これを…………くっつ……け……る……」


 拓海は右手の火属性魔法と左手の風属性魔法を制御しながら近づける。すると……、


 ビュゴウゥゥーーーーッ!!


「「「!!!!!!!!!」」」


 拓海の両手の平から上へと『らせん状』に昇る『火柱』が出来上がった。


「で、できた……っ!!」


 拓海もこれまでやったことのなかったことだったので、テンションが上がっている。だが……、


「「「す……すご…………っ!!!」」」


 三人は、拓海とは対照的に目の前の光景に驚き過ぎてポカーン状況だった。


「あ、そうだ…………この魔法を『登録』しなきゃ」

「「「?? と、登録……??」」」

「ステータスオープンっ!」

「「「ええっ…………っ!?」」」


 拓海がステータス表示を指示すると、三人の目の前に拓海の『ステータス』が可視化された。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 職業:救世の勇者(地球人)(魔王討伐者)


 称号:『覚醒者アウェイカー』


 HP:437000


 MP:48300


 SP:15600


 魔法:すべての魔法を習得

  ※詳細はさらに指示して確認


 スキル:『成長スピード100倍』『技能獲得スキルゲイン』……その他

  ※詳細はさらに指示して確認


 耐性:全耐性取得

  ※詳細はさらに指示して確認



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「な、なに…………これ……」


 麗香が突然目の前に現れた『ステータス』を見て呆気に取られる。


「こ、これは…………まさか、タクミ氏の異世界で身に着けた『ステータス』ってことなのか?!」

「HPとかMPって…………本当にラノベやマンガ、ゲームみたいだ……」


 麗香は訳が分からないという感じだったが、静流と光也はラノベやマンガで知識があった分、冷静だったがそれでも実際に目の前に『ステータス』が表示されていることに驚きを隠せないでいた。


「この魔法を……合成魔法『フレイムフューリー』として登録する」


 拓海がそう呟くと、ステータス画面に『合成魔法『フレイムフューリー』として登録しました』と表示された。


「ふぅ~……いやあ、思ってた以上に簡単に合成できてよかったよ。ははは……」

「「「あ、はい、そう……ですね……」」」

「?? お~~~~~い……」


 拓海が意外に簡単に魔法を合成できたことに一人喜ぶ中、三人は目の前のステータスに心奪われて拓海の言葉には無反応だった。


 その後、三人からは『魔法合成』の成功よりも、『ステータス』について怒涛の質問攻めにあった。


 結局、そのお昼時間は三人の『ステータス』の説明をしたところでタイムアップとなった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



――放課後



 お昼の件もあったので、俺たち4人は『秘密基地』へと直行することとなった。ちなみに麗香はこの日もバイトは休みだったのでがっつりと『魔法合成』に付き合うと息巻いていた。


「とりあえずタクミ氏…………魔法の合成があんなに簡単にできたということであれば、冷静に考えても『新しい魔法を作成する』ということも可能ではないかと吾輩は思うぞ? そして、タクミ氏も同じことを思ったのではないか?」

「あ、ああ。俺も試したことなかったとはいえ、あそこまで簡単に魔法の合成ができるとは思っていなかった。もしかしたら新しく魔法を作成することは…………可能かも」


 俺も静流と同じ認識だったので、『もしかしたら……』という思いが強くなっていた。


「すごい……すごいよ、拓海っ! これなら本当に……召喚魔法も……」


 麗香が言葉を震わせながら興奮気味に話す。


「う、うん…………拓海! いけるよ、拓海ならっ!!」


 光也もまた麗香と同じく興奮気味に言葉をかける。


「召喚魔法……か。でも、その前に『新しい魔法の作成』ができるかどうかを実験しないとね」

「うむ、そうだな……。しかし、それが、もしできたのならば、次はいよいよ……………………『召喚魔法作成』の現実味がかなり帯びてくるな」


 静流は二人と違って段階を踏む必要性を言いつつも、『召喚魔法作成』がこの時点でけっこう現実味を帯びているという認識でいるようだった。そして、それは俺も同じだった。


 俺たちは『秘密基地』で行う『新魔法作成』について、あーでもない、こーでもない、と話ながら歩いていた。すると……、


 ブゥゥーーーン…………………………キィィィッ!


「「「「!?」」」」


 突然、『黒のワンボックスカー』が2台俺たちの前に急停止するや否や、中から人相の悪いチンピラが6人ほど降りてきた。


「やあ…………君、朝比奈拓海君だよね?」


 そのチンピラがヘラヘラ笑いながら近づいて拓海に尋ねてきた。


「……はい。そうですが……………………あなたたちは?」


 拓海がそう返事をするとそのチンピラがクックック……と笑いながら、


「へぇ~~なるほど。カシラが言ってたとおり、少しは度胸があるようだな。これだけの『本職』に囲まれてもそこまで冷静な態度でいられるなんてただのバカか、あるいは『本物』か…………」


 そう言って、ヘラヘラしていたチンピラがキッと極悪な表情に一変。そして、


「……とりあえず、お前が『バカ』だろうが『本物』だろうがどうでもいい。一緒に来てもらうぞ…………朝比奈拓海」


 チンピラはそう呟くや否や、拓海に『改造式スタンガン』を向けてきた…………が、


 バキッ!!


 拓海にスタンガンが当たる寸前、麗香がそのチンピラの手を『足刀蹴り』で叩き伏せる…………と同時に、その流れで『裏拳』をお見舞いした。


 バキャッ!!


「ぐはっ…………?!」


 そのチンピラは予想していなかった麗香の攻撃をモロに食らい、その場で倒れこみ気絶した。


「何すんのよ、あんたたちっ!!」

「れ、麗香……」


 麗香は俺の前に立ち、戦闘態勢を取った。




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